リセット(新装版) (双葉文庫)

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  • 双葉社
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感想 : 150
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575523454

感想・レビュー・書評

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  • 読み進める手が止まりませんでした。
    主人公3人のそれぞれにハッとさせられる言動が文章のそこかしこに散りばめられていました。人生には、その当時には分からなくても、自分が成長してから振り返ってみると気づくことってたくさんありますよね。親や家族との関わり方や、会社での存在意義などなど。3人の人生の追体験をしながら自分のいまを省みることができる、今までにない小説でした。今と違う人生を歩むとしたら自分ならどうするだろう、と夢想しながら読んでいくのも楽しかったです。

  • オーディブルで聴きまくっている。

    リセット
    掃除の本の人だ。
    聴くことにしたのは、ナレーターが柚木尚子だったから。


    「さーいーなーら!」
    高校生に戻ったはるみが、出会うことを回避した男に道端で別れを告げる。


    リセット、このお話、おもしろかった。
    不思議な経験、という気分。
    聴いているわたし自身が、時空を超えて人生を行ったり来たりしているような気持ちになったのだ。
    彼女たちの30年のタイムスリップとリセットの経験を聴きながら、自分ならどこに戻るのか、そもそも戻らないのか、やり直した場合同じく結局はリセットするのか、と自然に考えることができた。
    (エピローグは、みんなあんまりにも上手く行き過ぎだとは思ったけど、それでもまあいいかと思った。)
    つまり、気の持ちようでそれぞれそれなりに上手くいくんだなって。
    それぞれがタイムスリップ中に得た経験をリセット後も活かしていて、そこもうまいなーって思う。


    でもなにより、聴き終わった今、自分自身の時間の感覚がふわふわしていることに驚いている。
    2回分の人生の時間を過ごしたような、何十年もの長い時間、聴いていたような気分になっている。

    つまり、
    いま夫との別れ際で、悲しかったり怒ったり戸惑ったりの毎日を送っているけど、こんなふうにタイムスリップして戻っちゃって、15年別の人生を過ごして、でまたリセットして今に戻ってきたとしたら…たぶん悲しみはとっくに消えているよね。自分がそのリセット後の地点にいるような気分になったんだ。

    いや、でも、ともこは戻ってからも夫の言葉や振る舞いに全く頓着しないという感じでもなかったな。。うん、ちょっとは心は揺れるだろう。それでも彼女は一番難しい選択をこなした。夫を捨てるでもなく、生かして、自分も生かす、という一番難しい選択をしたのだ。ああちゃんとしてる、とドキドキする。

    自分もちゃんとしよう。
    運動してやりたいことして生きる努力を。

  • 少しベタかなーと最初は思ってたけど、よかった。3人の同級生女性のやり直し人生を描く。
    タイムマシンがあっても、結局似たりよったりなのかも。いい作品でした。

  • なんだか非常にリアルでその小説の中に入って自分自身が体験したような感覚を持った。
    3人の人生と3人の思いや後悔、結果的な選択肢もとても共感できた。

    自分自身がそのような立場になったらどうするだろうか…
    私は12歳、中学1年生からやり直したい。
    そこからやり直せるのであれば自分の人生全然変わっただろうし、変えていきたいなと思う。

    そう考えると…今の人生や今の自分は好きだけど違った人生を歩みたかったなぁと思う。

  • みんな色んなこと抱えてるんだなあ。

  • 初めての作者でした。
    とても面白かったです。
    そんなうまくいく⁈と思う部分もありましたが
    女性の感情の描写が素晴らしいと思いました。
    作者を知らずに読んでも、女性が書いたものだ
    ということは間違いなく分かります。
    専業主婦、独身のキャリアウーマン、
    高校生で妊娠するも流産し、ワーキングプア状態の女性
    3通りの全く違う人生を歩んでいる3人なので
    自分に近い誰かを見つけて感情移入をしやすいのかも。
    今いる環境で努力してみる
    大事なことなんだろうなと思わされる作品でした。

  • 「私の人生、覗き見されてます??」と思うくらい、共感できる内容。
    現状に不満や不安を抱えている同級生3人が偶然に再会、人生を体験し直してみるが…というお話。
    垣谷作品は、様々な社会問題を取り上げて、読者の共感を呼び、ほんのり希望を与えてくれるものが多い。この作品では男尊女卑がテーマ。

    自分たちが大人になる頃にはもう少し男女平等になっているかも?と思っていたけれど、そうでもなかったんだなぁと。まだ高齢の政治家が差別的な発言をしてしまう世の中…。
    昭和の世と違うのは、「変えていけるかも?」という雰囲気があること。この作品はそんなエネルギーを感じさせてくれる。自分の人生、ワガママを通すことは出来ないけれど、人の顔色窺って人のためにばかり使っちゃもったいなくない?と感じた。

  • 40代後半の3人が高校生に戻り人生をやりなおすというストーリー。この時代は男尊女卑が凄く、私が子どもの時にもよく言われたなぁと思った。3人の言動が同じ40代後半として共感出来ることがたくさんあった。後半は何もかも上手く行き過ぎかな?男尊女卑という現実的題材がいい感じにでてるのに、最後の皆幸せに暮らしました!めでたしめでたし感が残念に思えた。

  •  Audibleで読了。後半続きが気になって、いつもは運転中に聞いているが、家でも聞いた。高校時代からやり直した三人が、やり直しても上手くいかない。それぞれが元の人生と異なる人生を選んだからというのもあるだろうが、二回目でも人生は上手くいくことばかりではないのだなと思った。私も高校時代からやり直してみたい。
     視点がそれぞれ三人に変わるのは、最初は慣れなかったものの、だんだんとこの小説の面白さの一つだと感じるようになった。深夜2時にともこに電話するはるみは、ともこからしたら迷惑でしかないが、はるみの状況を知ると追い込まれていたと分かる。
     柿谷さんのインタビューも良かった。社会に対する不満を書き、読んだ人が少しでも元気になる本を作る…。この方の本を読んだのは2作目だが、他の本も読んでみたい。

  • おもしろくて途中でやめられず、夜更かし。中学高校の同級生3人が47歳で偶然再会し、不思議な居酒屋に行く。3人とも境遇が違うが、皆不満を抱えていて、人生をやり直したいと思っている。すると、その居酒屋「遠来の客」の魔法(?)で3人は中3の4月にタイムスリップする。
     3人とも、もとの人生でもやり直した人生でも、うまく行かない。でも、どちらでも、それを隠すように嘘を重ねて話したりするところが惨めだ。
     でも、歳を重ねた目で見ると、当時はわからなかった母親の苦労や同級生の本音などがわかるのはおもしろい。確かに、若い頃はわからなかったことってたくさんあるよね。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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