- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575526981
感想・レビュー・書評
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人材派遣会社のパンダスタッフで働く福田初芽は、新卒で入社して7ヶ月で戦力外通告を受けてしまう。異動先はAI推進部と称した雑用係だった……。
全7話で構成された連作短篇集。AI推進部に所属するメンバーのそれぞれが理不尽な仕打ちに抗う姿を描く。初芽は全話に登場し、ある重要な役割を担っていく。
「AI推進部=AIにとって替わられる人たちの部署」だそうで、事実上の退職勧奨に等しい。こんなところに押し込められ、雑用やハードな案件をさせられる日々はつらく苦しい。そんな内容をずっと読まされるのかと暗澹としたが杞憂だった。初芽のいい意味での鈍感さが周りを明るくし、非道な上司たちに反抗する力をつけていく。そして最終章で明かされる秘密には胸がすく思いがした。
NetGalleyにて読了。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
使えない社員が異動するといわれるAI推進部。退職勧奨にもめげずに働く姿に励まされる。辛いことがあっても感情は4色ボールペンのように自分で選べる…のくだりが印象深い。
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人生の応援本みたいなお仕事小説でした。
今の仕事に息苦しさを感じている人に読んで欲しい。
思わず相槌を打ちたくなる話、ハッとなる言葉、「もう少し頑張ってみよう」と思える言葉が散りばめられています。
人材派遣会社「AI 推進課」という名の、退職を促されるばかりの社員が追いやられる部署。そこでは、日々派遣スタッフの無断欠勤穴埋めや他部署で嫌がられる業務を代行する日々。
本書のなかには社会の理不尽もモヤモヤもいっぱい詰まってる。
声に出せず心に抱えているだけの苦しい感情が、澱のように溜まり、少しずつ心を蝕んでいく。
作中でのパワハラ上司がとにかくムカついたし、あり得なさすぎて気持ち悪くて震えた -
明日からもまた、頑張ろうと思える物語
中心になるのは、主人公をはじめ人情や自分の中の正義を大切にしたがために非生産的であるとみなされ会社からお払い箱にされている人たち。
これでもかというほど効率が重視される世界の中で、彼らの心もちで世界が変わっていく。
大切なのは、どこで泳ぐかじゃない、どう泳ぐかだ。
暗殺教室で心に染みた名言を、もう一度教えられた気がした。 -
生産性だけで、人は測れない。
確かに。
みんな、成果主義する気はする。
確かに生産性がなくても、社会に必要な人はいる。 -
今の仕事を「辞める」か「辞めない」かで悩んでいる時のヒントになるような一冊。
私は、営業成績のような目に見える形で評価される働き方は苦手で、主人公の初芽みたいな、数字では簡単に評価できないような働き方が好きだなと思った。
また、会社(職場)を一つの水槽に例えると、上手く泳げる魚もいれば、ふとした瞬間に泳げなくなる魚もいるよなと思えるようになり、ちょっと気が楽になったかも。
仕事で悩んだ時にまた再読したい。 -
くさらず真摯にやってたら、見てる人はちゃんと見てる。正直で損しちゃう登場人物ばかりやったけど、不器用でも、仕事って誰かのためにやるものだから、前向いていこう。ちょっと読んでてしんどくなっちゃったから☆3
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生産性、効率化が正義であり、無駄な作業は害悪である。そんな信条のもとに働く人たちの中で、お金にならないけれど人の気持ちに寄り添う人たちは、パワハラやいじめのような言葉を投げつけられ、姥捨山と言われる部署へ左遷される。
偉そうな態度で人を見下す人たちは胸糞悪く、腹が立つけど、それに負けずに「辞めない」と宣言する初芽の態度には、スカッとするものがある。
彼女は決して豪胆な性格ではなく、むしろ言いたいことが言えない子だったのに、物語が進むにつれて、まるでヒーローのように真っ直ぐ、真正面から人とぶつかる強さを身につけていく。
そんな彼女の姿に勇気をもらい、彼女に感化されて変わっていく周りの人たちの姿にも、元気をもらう。
仕事がつまらないなぁ、職場の人と合わないなぁと感じている人は、ぜひ読んでほしい。
きっと、あと少しだけ、がんばってみようと思える、そんなお話でした。 -
色々あり会社を辞めて、新しい一歩を踏み出すというお仕事小説は多いけど、これは辞めずに自分の考え方を少しずつ変えていく、というストーリー。がんばる主人公たちからエールを貰えた。