風待ちのひと

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591110218

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  • 「海沿いの町」の紙を掲げヒッチハイクをする喜美子。彼女を乗せると幸運を呼ぶと言う。彼女が田舎に帰るため、乗ったトラックには、心の風邪をひき、東京から静養で来ていた哲司だった。

    二人は、哲司の母が遺した岬の家で過ごすように..

  • 心に傷を持った中年二人の一夏。お互いに関わり合う内に心が癒されていく。
    既にひと人生たっぷり歩んできた二人だが、けりをつける。
    熟年の二人の恋は焦ったくもあるが微笑ましくもある。

  • ”心の風邪”で休職中の男と、家族を亡くした
    傷を抱える女。海辺の町で、ふたりは出会った…。
    人の心が解け合っていく過程を丁寧に、
    じんわりと描いた、心にさわやかな風が
    吹きぬける、愛と再生の物語。

  • 読み終わってしみじみとした気持ちになった。
    疲れたときはゆっくりしよう。
    好きな人に会って一緒に好きなもの食べよう。
    行きたいところに行こう。
    そしたらまた次がんばれそう。

  • 仕事や妻の浮気で心の風邪をひいた主人公が休職し、三重県の海沿いにある亡き母の故郷へ。ある女性に夜の海で溺れているところを助けてもらい、食事から母の空家の片付けまで面倒になり、次第に心を癒していく。そしてその女性から「生きる喜び」を教えてもらった主人公は。。。これは大人のファンタジー。妻子ある身で等、細かい箇所にケチを付けては身も蓋もないだろう。

  • ハッピーエンドになりますように、そう祈りながら読んだ。
    読み終えて、思わずモーツアルトのピアノ協奏曲を聞きたくなった。
    そして岬の家。どんなにすばらしい家なんだろう。想像するだけで、心に気持ちの良い風が吹く感じがする。

  •  この本を読み始めてすぐに、心の中に心地よい風が吹きわたりました。
    残念ながら途中で風は止んでしまいましたが、エピローグを読んで、さらに爽やかな風が心を満たしましたo(^∀^*)o
     「海沿いの町」という紙を掲げて、ヒッチハイクしている中年女がいたら、必ず乗せて丁重に扱え。不二家のペコちゃんに似たその女は腕利きの美容師で、乗せるとその礼にかならず髪を切ってくれる。
    そうして男ぶりが上がったドライバーには決まって福が舞い込むらしい。
     そんな素敵な噂を持つ、ペコちゃんこと福井喜美子と、東京から母の亡くなった家の片づけに来た、須賀哲司は知り合う。
     うっとうしがる須賀には構わず、家の中に入り込み、どんどん彼の心の中にも入っていくペコちゃん。
    片意地を張って、心に風邪をひいていた須賀の心を溶かしていく、美鷲の人々。
     途中須賀の奥さん等の障害はあるけど、最後のハッピーエンドが良かった。

  •  いい話でした。
     ただ、あそこまで頑なな人が意外とあっさり心開いたなと。きみちゃんが下品なのか上品なのか。話がうまくいきすぎかなと。ちょっと気になります。

  • 仕事に疲れ、家族に疲れて心を病んだ哲司は、亡き母が最後に過ごした場所で、同じ年の喜美子と出会う。いつも明るく振る舞う喜美子には、家族を失ったという過去があった。

    暖かく、優しいお話。
    以前手にした「四十九日のレシピ」とは違い、大人の恋愛模様も含まれていて、しっとりとした素敵な本でした。
    美鷲の岬の家や、景色が目に浮かぶようで、読み終わるのがもったいないような気持ちになりながら読み進めていた気がします。

    著者の本は2冊目。
    他のものも、是非読んでみたいと思っています。

  • 「ねえ、あなた。あの人にも何かごあいさつを贈っておいたほうがいいかしら。何が良い?レトルトのカレーとかどう。一人ならそういうの便利でしょう」
    「おれはやっぱり‥‥君とはもう暮らせないよ」
    人の別れはこんなことがきっかけだと思う。
    哲司が矢の花峠から喜美子の店に向かうところで二人は寄せ付けられるように出会う。この奇跡がなかったら再び寄り添うことはなかったろう。神様はいるかもって思う瞬間だ。出会いも別れもちょっとしたことから始まる気がする。まるで小学生のような夏を過ごした二人を「その次の季節も一緒にいさせてあげて」と願うように読んだ。気が付いたらマダムたちのように二人を応援してた。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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