いまはむかし

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 215
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591126172

感想・レビュー・書評

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  • 武族の家の長子でありながら争いごとが苦手な青年・弥吹は、武官への道から逃げるために家出中。
    幼馴染の朝香との目的地もない旅の途中、二人の少年に出会います。
    キヨとアキと名乗る彼らは、かぐや姫を守る"月守"で、人間のもとに嫁いだかぐや姫とともに下界にもたらされた5つの月の宝を探していると言います。
    彼らの澄んだ、力を秘めた瞳に惹かれ、弥吹たちも宝探しに協力することに…。

    副題に竹取異聞とあるように、著者が竹取物語をもとに生み出した新しい伝説が物語の柱になっています。

    どんな相手にも正面から切り込んでいく、キヨとアキのまっすぐさに惹かれます。
    そのほかの登場人物もイメージしやすいので、好きな人は絵に描きやすいんじゃないかなと思います。
    恋愛要素もありなので、中高生にもおすすめ。

  • 武官となるのを拒み家出した17歳の弥吹と、彼の後を追ってきた幼なじみの朝香が出会ったのは、ある目的のためにふたりだけで旅をつづけてきた「月守」の少年たち。興味をひかれた弥吹は、彼らと行動をともにするうちに、次第に「かぐや姫」にまつわる壮絶な運命の渦へと巻き込まれていく―。エンタメ小説の元祖『竹取物語』を大胆かつ自由に解釈した、大型新人デビュー作(「BOOK」データベースより)

    リボンの騎士と竹取物語を足して2で割ったようなストーリー。
    ややジュブナイルものか・・・。
    失われた5つの宝を探して旅するくだりはわくわくしたけど、その先がきれいに進み過ぎ。
    たぶんこうなってああなってこう終わるんだろうなぁと予想した通りの展開で意外性のない部分が残念でした。
    「竹取物語」は藤原不比等批判として読めるってー説は既存のものなので、彼をからめてくる設定も目新しさを感じないかな。
    こういう爽やかな話はきらいじゃないんだけど・・・、なんとなくのめり込めないところがありました。

  • すごい新人作家さん。文章が上手く読みやすい。竹取物語という題材を巧みにアレンジされていて始終ワクワクが止まらなかった。どうにか阿生と輝夜に幸せになってほしいとおもいながら、読んでいた。帯に偽りなし。
    安澄さんのこれからの作品にも期待します。

    (サイン本)

  • 時代考証を完全に無視し、そういう物語だと思って読めば特に問題ない。小学生が読むのにいいんじゃないだろうか。

  • 『かぐや姫』の壮大な運命に翻弄されながらも、懸命に立ち向かい自分たちの思いを貫こうとするキヨとアキ。それでも少年たちはまだ子供で、絶大すぎる宿命に押し流されそうになる。
    でも彼らは一人ではなかった。
    少し年上の弥吹・朝香・翼それぞれの思いが二人の力になって、新しい竹取物語が紡がれてゆく。
    美しい背景描写に、会話の楽しさ、物語の意外性どれをとっても本当に素敵な一冊。
    最後の一節を読み上げたとき、涙がこぼれました。

    この本を読めて本当によかった!

  • 登場人物が魅力的。あっという間に読めてしまった。
    もうちょっと長くても全然いけるような…

  • 情景が目の前に浮かび上がってくる。
    それが一番に思い浮かんだ感想だった。

    私の歴史の知識は中学の頃に学校で習ったくらいしかない。
    しかし、都の景色、大通りの様子が読んでいる中で3Dの映画を見ているかのように鮮明にイメージすることができた。
    石・竹林・木・傷。そして何より、登場人物の心情が、どんどん頭に浮かんでくるのだ。
    それはきっと、作者の表現の豊かさが与えてくれているのだろう。

    私は本を読むとき、書かれている登場人物と共に主観で話を追っていく。
    話に入り込んでしまうのだ。
    入り込んでいると、たまに先が読めてしまうことがままあるが、この本ではそれがまるでなかった。
    所々に「びっくり」が隠されており、予想外のストーリーが展開される。
    それでいて、読み終えたときに「納得」できた。

    さらに、どの登場人物も印象に残る人々だ。
    少しだけしか出てこない人物までも、濃く、深く、心情が伝わってきて印象に残る。
    その人物の、心のうちに引き込まれていく。
    時に、痛いほどそれが伝わってきて、涙を流さずには読めなかった。


    私は、この本が大好きになった。
    本当にオススメできる一冊。

  •  まず、私がこの作品を読もうと思ったきっかけは、作者・安澄加奈さんの経歴に驚かされ興味を持ったからだった。
     この作品がデビュー作であり、その前にジャブ小説大賞で奨励賞を受賞した「願いの神様」が初投稿の作品だと知った時、一体どれほどのどんな文才を持った大型新人なのだろう思った。そんな作者の、竹取異聞というタイトル通り竹取物語をモチーフにした話ということは、お堅い文章の歴史もので少し難しい話だろうかと想像していたのだ。
     しかし、数ページ読んでその考えは打ち砕かれた。
     難しい言葉などはなく、すらすらと読んでしまう文章の流れで、気づけばあっという間にページを進めていた。
     まるでライトノベルのように、テンポよくキャラ達が動いているのが想像でき、読者をも登場人物たちの旅に誘う感じがしたほどだった。
     そして、読むほどに敵と味方が増えていく展開は、まるでシリーズものを読んでいるような充実感があった。
     普通ならこの様々に変化・展開する話を一冊にまとめようとすると、話がとっちらかってしまいごちゃごちゃとした中途半端な話になってしまいそうだが、この作品ではそれぞれのキャラの想いを活かしつつ上手くまとめられているところがすごいと思った。
     読み終わった頃には、日本最古の物語が生まれる瞬間に自分たちも一緒に立ち会ったような気持ちになり、改めて自分の人生とはどんなものにこの先なっていくのだろうと考えてしまった。

     ぜひ安澄加奈さんの今後の作品も楽しみにしたいと思った。

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