(P[ま]4-1)ぼくと猫と満月の夜 (ポプラ文庫ピュアフル)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591129418

作品紹介・あらすじ

小説家の父親とともに、夏休みを港町で過ごすことになったカズヤ。
ひょんなことから、ミステリーマニアの同級生・ミルツと知り合い、町一番の資産家で偏屈な老婦人の遺産を巡る謎を追う羽目に。月の光と金色のピアスをした猫に導かれ、カズヤが知ることになった「秘密」とは?

個性豊かな登場人物(と猫)が織りなす、ユーモラスで爽やかなひと夏のミステリー。
書き下ろし短編「小早川ミツルと消しゴムの謎」を特別収録!

『フリッツと満月の夜』から改題されました。

感想・レビュー・書評

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  • 子どもらしい可愛らしさはある。謎と謎解きはあるのだけど、ミステリーというより児童書っぽい雰囲気。[more]総額がいくらになったのかは判らないけど、岡持で持ち出したのか?

  • お父さんの知り合いの港町で夏休みを過ごすことになったカズヤ。
    小学生にしては難しめのミステリーを読むミツルと友達になり、事件を解決。
    猫の秘密を知るのがカズヤだけというのが、かわいそう。
    ミツルはいつ気づくかな。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 父親とふたり夏休みを港町で過ごすことになったカズヤ。食堂の息子でミステリマニアのミツルと知り合ったカズヤは、町一番の資産家が残した財産の謎を追うこととなった。

    元は児童書で出されていた作品。魅力的な謎と少し不思議な出来事が、見事に調和されています。
    ミステリマニアの少年を出すことにより、ミステリとしての面白さが教示されます。ここがポイントだ、ここが不思議だ、ここがおかしい。次々と起こる事象に対してミツルが説明してくれるのですね。それによってミステリの楽しみ方がわかるようになっているのです。
    だからミステリ入門編としても、お勧めできます。

    またそんなミステリ的な部分だけでなく、カズヤの周りで起こる不思議な出来事。それにより少年たちが犯罪の謎を解くことの不自然さを見事に解消しています。
    これは児童書ならではの手法かもしれません。いや本格ミステリでも超常現象を用いた名作はたくさんあるので、子どものころから狭小なミステリ観に囚われなくなるという意味でも、この手法はいいのかも。

    何が言いたいのかと言えば、この作品によりミステリが好きになる子が増えたらいいなということです! そんなミステリの面白さが詰まった、夏の冒険ものなのです。

  • ほのぼの……
    物騒でないミステリー、ちょこっとファンタジー。
    すごく好きな世界観です。

  • 夏休みを港町の1軒屋で父親と二人で過ごすことになったカズヤは、近くの食堂の息子で同じ年のミツルと仲良くなる。
    町の資産家だった老婦人の残した遺産をミステリー好きのミツルと探すことになる。
    そこに不思議な金のピアスの猫が絡んで謎解きは…。

    猫の存在が唐突すぎて、

  • ミステリとファンタジーの要素を取り入れたジュブナイル。
    この著者の本は、バルーンタウンのシリーズ以外では初めてでしたが、読みやすく、爽やかな感じが良いですね。
    他の作品も読みたいです。

  • 小学生コンビの地域密接な謎解きで、ライトに読める。途中からいきなりファンタジー要素入ってびっくりしたけど。方向音痴な泥棒さんはもう廃業すればいいと思うよ・・・ていうかその設定かなり無理がある。けどそこを突くともう色々成り立たない(笑)

  • 爽やかなお話。港町つながりで、マーニを思い出しました。

  • 「バルーンタウン」シリーズから追いかけている作家さん。

    ミステリー自体は日常の謎なんだけど、それに不思議な世界が溶け込んでいる、ファンタジーミステリーかな?

    子ども向けかな?
    読みやすくスルスル入ってきます。
    ミツル君のその後の話もあって、微笑ましい作品です。

  • 分量的にも軽くて、筆運びもさらさらっとした感じなのに。さほど描きこまれた物語だとは感じないのに。ほとんど何も起こらないのに。

    なのに…登場人物のひとりひとりが素敵で、みんな心に残る。
    たった一夜の不思議が、ストーリー全体をうすい靄で覆ってしまったような、かすかなファンタジー感。

    やはり綿密な構成力を松尾さんは持っているのだと感じる。

    このストーリーは間違いなくファンタジー。猫が話す時点で、それは間違いない。しかし登場する人たちは、ほんの一歩すらも現実の外へは向かわない。

    金色ピアスのフリッツと実際に話したカズヤでさえ、信じてもらえないに決まってるなどという、現実的そのものの冷静さで、そのことをミツルにすら話さない。仲直りをした両親と、何事もなかったように東京で暮らし始める。ひと夏の経験が彼を大人にした…とか特殊な何かが備わったとか、そんな非日常は欠片も訪れない。

    誰もが普通に過ごす日常の中に一瞬紛れ込んで、すっと消えてしまう非日常。
    そんな味わいが、この小説には、ある。

    何よりも作者の構成力の確かさに、とても心惹かれている。もっともっと。そう感じさせてくれる作家さん。

    あと一作読んで、作者への心象が変わらなければ、私はこの人の追っかけになりそうだ(笑)

  • 「フリッツと満月の夜」を改題

  •  寝耳に水な話だった。だって突然、夏休み中の3週間、父さんと一緒に海辺の小さな町で過ごす事になったのだから。
     小学5年生のカズヤは、妙ななりゆきから小説家である父親と共に、家から遠く離れた港町で過ごすことになった。母さんとは離れて父さんと2人だけの生活。それでも現地ではミツルという友達もできて、それなりに楽しい日々。そんな日々の中で、カズヤは町の資産家の遺産にまつわる謎を追う事に。不思議な猫が導く謎は、意外な事実をカズヤにもたらしていく。

     小さな町で小さな探偵役たちが活躍するひと夏の冒険。読んでみるとわかるのだけど、この小説はミステリーの体裁をとってはいるがどちらかといえばライトノベル風なファンタジー寄りの作品。それは物語を引っ張る不思議な猫の存在があるから。
     度々カズヤたちの目の前に現れては謎めいた振る舞いをする金色のピアスをした猫。この猫が謎の真相へ導いていくのだ。

     筋金入りのミステリーファンならストーリーに物足りなさを感じるかも知れない。謎解きもさほど驚くようなトリックが使われている訳ではないし、悪役が講じる妨害策も大人の読者からすればヌルいものだ。一応ミツルはミステリーマニアという設定になっているのだが、やはりこの小説にミステリー的興奮を求めるとガッカリするかも。
     ではこの小説の何処が読みどころなのかと言えばそれはやはり少年たちの成長物語としての部分だ。そもそもポプラ社のヤングアダルト向け叢書「TEENS’ENTERTAINMENT」として刊行された『フリッツと満月の夜』の文庫化である。
    夏休み、見知らぬ町、新しい友達、月光、そして謎。これだけ揃ってワクワクしない訳にはいかない。夏に経験した特別な日々は、少年たちを一回り「男」に近づけていく。
     自分の少年時代を思い出してみても夏休みってなんであんなに楽しかったんだろうと思う。暑さを吹き飛ばすくらいテンションが上がって、あっという間に過ぎていく日々だった。カズヤは何か淡々としている風だけど、それでもやっぱり夏休みを思いきり楽しんでいるようだ。
     大人になった今となってはそんな日々が眩しくてしょうがない。1ヶ月以上に渡る自由な時間なんて手に入らないし、入ったとしても外の世界へ冒険に飛び出すなんて事はよっぽどエネルギーがなくてはできない事だ。金色のピアスをした不思議な猫が目の前に現れることもあるまい。
     だから羨ましいのだ。これから大きく成長していく可能性が。だから惹かれてしまうのだ。

     と言っても別にミステリー部分がおざなりな訳ではない。少年の成長小説としての側面が強いとはいえ、肝である謎解きの部分も小品ではあるがきちんと書き込まれている。各所に配置された小さな謎が真相解明のカギとなり、すべてが明らかになった際には、そうか、そういう事だったのかと伏線が回収されていく。ここらへんはベテラン作家らしい手堅さで読ませてくれる。

     作者の松尾由美はデビュー作である『異次元カフェテラス』を始めとして、出世作『バルーン・タウンの殺人』や人気シリーズ『安楽椅子探偵アーチ―』など、ちょっとひねった設定の作品が多く存在するから、本作もそのエッセンスが詰め込まれた作品と言えるのだろう。爽やかなミステリーであり青春小説でもある。

     狼男に代表されるように、満月というやつは見る者の心に何らかの作用をもたらすものらしい。それはルナティック(狂気)なものであったり、ロマンティックなものであったりするのだけど。今度の満月の夜は少し外を出歩いてみようか。不思議な猫と出会えるかも知れない。
     そう、そしてこの小説は猫好きにはたまらないであろう猫小説である。出番自体はさほど多くないくせに、強烈なインパクトを残す猫たち。実はちょっとだけ犬も登場するのだけど、やっぱり猫の魅力にはかなわない。ラスト近く、月の光に照らされたあるシーンは絵画を見ているように美しい。
     北野勇作の『どろんころんど』でも印象的なイラストを描いた漫画家の鈴木志保がこの小説の表紙イラストも手掛けている。動物が登場する不思議な物語とは親和性がある人なのだろうか。いい感じに雰囲気を作り上げている。本文中にも小さな猫のイラストがスタンプのようにあちこち描き込まれているのが可愛い。

     巻末に併録のミツルが主人公のスピンオフ短編「小早川ミツルと消しゴムの謎」はオマケみたいなものだとはいえ何となくやっつけ感があって、いくらなんでもこのトリックは無理があるのではと思った。まあ表題作の世界観に引き続き浸りたいなあって人にはいいと思うがどうも蛇足な気がする。表題作が短めの長編なのでサービスの意味もあるのだろう、文庫化の際に書き下ろされたらしいが、あくまでボーナストラックです。

  • ネコが出てくる小学生のひと夏の冒険を描いたミステリー。

    ブログ書くときに改めて出版社が「ポプラ社」さんだとわかり、「ああなるほど」ってなりました。ポプラ社さんの本は小学生の時にたまに読みましたが、そんな小学生の時を思い出して読めた本でした。

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4274461.html

  • 比較的ほのぼのとした、田舎町を舞台にしたミステリー。謎そのものもほのぼのとしていて、難しいところはない。もう少し海辺の町なりの描写とか、少年なりの描写とかあるとよかったかも。
    あとは、ネコがある意味主役でもあるので、ネコ好きにはいいかも。ページの端々にネコのシルエットがあるのも、なんか読んでて和みました。

  • 2012年5月9日購入。
    2013年10月19日読了。

  • 松尾由美も本が出れば買ってしまう作家だ。
    それほどメジャーな方ではないとは思うけれど、結構あちこちの出版社から本を出しているので、玄人向けの作家なんだろうと思う。
    SF的なエッセンスが必ずといっていいほどミステリーの中に道具立てとして入ってくるのだけれど、それを無理なく読ませるのは力があるということなんだろう。
    この本は、夏休みの男の子の冒険物語。佳品。

    ポプラ文庫ピュアフルはセレクトが好み、疲れたときに軽く読めてホッとする。

  • ジュブナイルだった。
    だから、というわけでもないだろうが、謎がちょっと物足りなかったかな。
    もう一波乱あるのかと思ったところで終わってしまったから。
    同時収録の短編は面白かった。こういうスピンオフ的な作品はなんとなくニヤッとしてしまう感じがあって好きだ。

  • サクッと読めた!

  • ジュブナイル?サクッと読めた。

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著者プロフィール

一九六〇年、石川県生まれ。会社勤務を経て作家になる。八九年『異次元カフェテラス』を刊行。九一年「バルーン・タウンの殺人」でハヤカワSFコンテストに入選。主な著書に「ニャン氏の事件簿」シリーズ、『おせっかい』『ピピネラ』『九月の恋と出会うまで』『嵐の湯へようこそ!』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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