- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591133880
作品紹介・あらすじ
ビルマ女子→難病女子→おしり女子→有袋類…謎の変貌を遂げてきた大野更紗。新聞、雑誌に寄稿したエッセイをはじめ、糸井重里氏、古市憲寿氏、重松清氏、石井光太氏ほか、話題の人との対談を収録。
感想・レビュー・書評
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思えば、更紗さんの『困ってるひと』がきっかけで読書に目覚めたかもしれない。
今回の「さらさらさん」も楽しみに待ってました。
さらさらと読めると思いきや、新聞、雑誌に寄稿したエッセイをはじめ、糸井重里氏、古市憲寿氏、重松清氏、石井光太氏ほか、話題の人との対談がびっしり!最後の対談なんか虫眼鏡が必要な文字のフォントにビックリ。でも、諦めず読了。
内容が濃すぎて勿体ない感じでした。それにしても、更紗さんの頭の中を覗かせて頂いたようで、勉強熱心さに凄い!!と脱帽するばかりです。体調お悪い中、ご無理なきようにと伝えたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「困ってるひと」でデビューした著者の書評やエッセイや対談が詰め込まれた本。
私は正直福祉全般に疎い人間だけど、読み切って思ったことは語ることの難しさ、言葉そのものの難しさ。
大野さんの言葉に対する姿勢に感銘を受けた。
中島岳志さんとの対談が自分にとっては一番すっと入ってきた。世代で語るのは好きじゃないけど、同い年の犯罪というものはどうしても深くというか余分に考え込む。当然か。 -
「困ってる人」の大野さんの対談を中心に、あちこちに発表された文章を収めたもの。最初に載ってる糸井重里さんとの対談が面白かった。
でも…、うーん、正直に言うと、読み進めていくうちにだんだん興味を失ってしまった。大野さんは、その壮絶な闘病生活ということを抜きにしても、とても勉強熱心で鋭い洞察力の持ち主だと思う。ただどうしても、なんでこの子の勉強につきあわにゃならんのかという気持ちがわいてくるのを抑えられなかったのだった。 -
大野更紗さんが作家になってからこれまでの対談やエッセイなどを集めた一冊。
大野さんと対談している相手(古市憲寿さん、石井光太さん、乙武洋匡さんなどなど)の本を手にとってみたくなる、広がる本でした。
個々の問題にラベル付けをしてそのラベルに該当した解決策をあてはめてきた従来の手法から
個別の問題に対してそれぞれの対応が取れる制度への変換が必要になってきているんだなぁと感じた。
これは社会福祉の分野だけではなく、色々なジャンルでも同じなんじゃないかな。 -
出版が2013年なので、視点が2013年だなと思った(あたりまえ)
そのときひどいと言われていた状況が改善されていることもあれば、悪化していることもある -
様々な媒体に掲載された文章やインタビューを収録。ボリュームたっぷり。賢い本をたくさん読んできたんだろうな、すごいな。という感想です。
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対談が良かった。特に印象に残ったのは、後半の熊谷晋一郎さん、川口有美子さん、猪飼周平さん。医療系というか福祉系というか、社会保障系というか、とても勉強になり考えさせられた。
そして、それらの専門的な分野の対談とは違うが、一番最初の糸井重里さんとの対談が、今の私に直接的に響いた。
糸井重里さんという人を好きなのか嫌いなのか自分でよくわからない。判断がつかない。ただ、この対談での発言はとても私に効いた。3ヶ所あげる。
1.若い人に向けての言葉と思うが「弾んでる人」と仕事をしたい、と言っておられる。大野さんの「健全な好奇心」という言葉にも強く反応された。
私はもう若くないが、「健全な好奇心を持つ弾んでる人」でいたいと思った。なんだかとても嬉しくなり励まされた。
2.「自分は過去に間違った、何度も。でもその時にそうなる自分というのは運みたいなもので、否定するわけにはいかない」と言われている箇所。
ここは自分のことを言っておられるのだが、これを読んで私は「他人の間違いを責めるのも違うな。たとえその選択が間違いだったとしても、それは運みたいなものだなという解釈をすればいいなぁ」と思った。そう思った方が楽になる。相手を責めたところで、自分も辛いし、終わったことは変わらないし、あまりいいことはない。否定せず、その人の運みたいなものだなと思った方が絶対いい。自分も含めて必ずみんな間違うんだから。
3."その都度間違いつつ進む、それでOKなんですよ。" 63ページ
大野さんの本の感想というより、糸井さんの感想になってしまったが、「困ったひと」「シャバはつらいよ」を既に読んでいて、もっともっと読みたいと思って手に取った。
そしてまだまだこれからも読み続けたいと思っている。研究者としてご活躍のようだが、一般向けのこのような本もまた出版してほしい。 -
「困っている人」の、大野更紗さんのお話です。
本のレビューから、対談まで。
357ページに及ぶ分厚い本です。
なかなか、考えが難解でした。
日本の医療制度に精通し、深い考えを持っているのみならず、
なんというか、「対談力」もあるんだな、と。
アウトプットのクオリティが高いんです。
それだけ、インプットしているということでしょうか。
ともかく、自分は、日本の社会制度について、これだけの考えを持っていないなー、
対談してと言われても、まったく、自分の考えというものを話せないだろうなと、
ただただ感心したというか。
正直、やはり「難解」である、というのはぬぐえない印象でした。
私なんかは、「どうせ国は何もしれくれない」「動けなくなったら死ぬしかない」という思いが強いのですが、
大野更紗さんは、「そこをなんとかせんといかん」という思いが強いのです。
難病に冒されながらも、そのバイタリティたるや、本当に感服ものでした。 -
対談の相手がなかなかの秀逸な相手。読んでいて興味深かった。
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困ってる人 の 大野更紗さんの対談集
当事者だから言える事がある
分かる事がある
「ゆらぎ」「グレーゾンン」に関しては納得。
その幅に対応するためには一辺倒な評価ではくくれない。
さらに
支援することも直接的な支援だけでは人としての生活は成り立たないということ。
そして
「時間がかかってもできる」ことが必ずしもその人が求めている事ではないという事。
対談:重松清
○小説というのは行間を読んだ英、余韻を味わったりするものだと思ってるんだけども、それにはリテラシーが必要で、読み慣れてないと、宙づりの終わり方というのに耐えられない人が多いんだなって。
○テキストにはその幅(想像力)を広げる力があるとわたしは信じています
対談:川口有美子
○「無駄な延命」の「無駄」は患者にとっての「無駄」じゃなくて、医療者やケアする側の自己評価なんです
○「かわいそう」なのは「しんどい」のはその言葉を発している「周囲」なのかもしれない
ポプラ社 2013年 -
著者が2011年から様々な媒体で書いた文章・対談をまとめたモノ。発売時の購入したまま今まで積読してました。ぐは。
個人的には、この本を読まなければ、今後一生出会うことがなかっただろう人や本の存在を知ることが出来たのは本当に良かった。特に対談が面白くて、著者が最も関心を持たざるを得ない分野なせいか、熊谷晋一郎、川口有美子、熊谷周平らとの対談は、何度も読み返したくなりました。
(特に熊谷氏との対談は文字ポイント小さくて最初ぎょっとしたけど、読み終わった後は小さくしても全文掲載しててありがとう!と思ったくらい。自分の研究について意識的な、頭の良い人の話は、実に判りやすくてすごいな、と思いました。)
著作もメモったので、絶対入手して読みたいと思っています。 -
どの対談や再録もそれぞれ気づきがあって良かったのだけれど、手にとった時期が、ちょうど実家に中期滞在しており、両親や家のゆるやかな老いを目の当たりにした時期と重なったので、川口有美子さんとの対談が一番印象に残った。
終末期の家族のあり方やリビングウィルへの考え方が、今後私自身が経験しうることとして、自分ゴトとして捉えられたからだと思う。川口さんの本も読みたいと思った。
他にも本書中、さまざま、大野さんの思考を構成する材料になっているだろう本の数々が紹介されていて、参考になる。紹介されている本も読みたいし、制度についてももっと勉強したいと思う。 -
図書館で借りて読みました。対談、エッセイ、本の話や映画の話から成る本で、読み応えたっぷり。残念ながら返却期限までに読み切ることができませんでした。著者のまえがきに「どこから読んでもいい」とあったので、私は対談中心に読んでみました。糸井重里さん、重松清さん、乙武洋匡さん、川口有美子さんとの対談が良かったです。特に川口さんとのの難病患者のQOLや尊厳死についての話が印象に残りました。もう一度きちんと読みたい本だと思いました。
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対談とエッセイと書評と。いろいろ入っているので、自分の状態によって、興味深いものあり、よくわからないな…と思ってしまうものありと、入り混じり。けれど、いろんなものと関わっていこうとする大野さんの姿をこれからもフォローしたいと思った。
なるほどと思ったのは、グレーゾーンやゆらぎについて。どちらも、対談者の実践もしくは観察の中から出ている考え方なので、説得力がある。 -
2015.3.30読了
わたしと同じ20代とは思えない、大野さんのバイタリティーに圧倒され、臆病で頭でっかちな自分を反省した一冊でした。
政策について一番印象に残ったのは、熊谷さんの対談で言われた、障害は「ゆらぐ」ということ。
障害だけでなく、わたしが関心を持つ高齢者の状態を考える上でも、今まで意識しなかったけど重要なポイントだと思いました。
昨日までは「正常」だったけど、はい今日からあなたは認知症です、なんてことはなくて、症状は日々ゆらぎながら進行していく。ゆらぎを認識することは、本人も周りも、現実を受け入れていく過程に絶対必要だし、政策もゆらぎに対応してこそ生活を支えられるものになると思います。
だけど何より、今のわたしに一番響いたのは、猪飼さんの「若者」としての大野さんへの言葉でした。
「二十代に見えていたものと、三十代に見えていたものと、今見えてるものは全く違う。それに、年輪を経ることで、言葉に重みが出る部分はどうしてもある。焦って動いてあちらこちらで話をしてもわ全く何も動かないという経験をする可能性もあると思うんです。何が動かない原因だったかというと、出番が早すぎたという可能性もあり得る。僕自身は二十代に出ていったら絶対ダメだったし、三十代でも早すぎたと思う。個人的には、今でもまだ早いと思っています。
僕が大学院時代の指導教員の森建資先生に言われたことで、自分の研究の基本となっていることに『自分のテーマの中で、これだけはどんなやつよりも世界の誰よりもよく知っているときう領域をきちんとつくることが大事だ』というこのがあります。そういうものを作る。それを軸に広げる。そこから議論を展開してゆく。そうするとやはり時間がかかるじゃないですか。自分の仕事をマキシマイズしようと思うなら、逆に焦らない方がいいかもしれないという気もするわけです。」
今自分が取り組んでいる仕事は誰かを幸せにしているのか。最近そんなことばかり考えて焦っては、転職サイトに登録しまくっていたわたしにとって、首根っこつかまれて叱られてるような気持ちになる言葉。猪飼さんの言葉を噛み締めることで、当面の目標が見つかったし、焦らず努力することを覚え始めた気がします。
だから、今読んで本当によかったと思える一冊でした。 -
病気、社会制度、福祉、文学と、縦横無尽に語り合う、各界著名人との対談集。それにエッセイ、新聞コラムなど盛りだくさん。不条理に直面したとき(つまり、難病に罹患したとき)ひとは言葉を失う。沈黙、もしくは、期待される健気な姿。お涙ちょうだいの闘病記。そんな、難病業界に初めて現れた、自分のことを自分で語る言葉を持った難病患者、大野更紗。一度失い、そして取り戻した言葉は嘘が無く、力強い。難病患者であるわたしにとって、今、彼女と同時代に生きていることはせめてもの慰めだなぁ。
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赤木智弘はないわ。あと古市憲寿も開沼博も、ない。
「困っている人」で感じたいい意味での違和感は、こういうところにつながっていくのかー・・・、と感慨深かった。
ただ、赤木智弘はいくらなんでも、ない。 -
さらさらと。巻末に著者の読書遍歴が少しのっていて、それも嬉しかったです♪
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「困ってるひと」とは一転して舌鋒が鋭いなぁという印象。
前回のエッセイと視点が異なるのかと言えばソレはない。
言い回しの違いと言えばいいんだろうか?
前回は医療関係者や日常的に病院に関わらない人にも分かるように、平易なことばで書かれていたけれど、今回は対談相手が医療関係者である場合、専門用語が頻繁に出てくるので「おや? あれ?どんな意味だっけ」となる事が多かった。
対談のメンバーは普段、私が目にする方とは違うので、この機会に一般向けにアピールを狙ったほうが良い議題ではあると思う。まじめに読むと実に興味ふかい(といってもそんなに理解出来てるとも思えないけど)
一般向けに書くならば、編集者さんはもっと注釈入れるなりことばをひらくようにしたほうがよかったんじゃないかしら、と。
内容は面白いのに、構成の読みつらさもあり、若干もったいない気がしている。もし文庫化されるのであればぜひそのあたりをソフトに!と願うばかりです。 -
購入して手元に置いておきたい本。
対話大切。そこから新しく生まれてくるものたくさん。
特にあたしは人に話すことで、聞いてもらうことで整理ができる気がする。
それにしても更紗さんはすごい。
この本厚いけどそれ以上に熱い。
昔読んだ鶴見和子の本じゃないけど、難病になったからこそ湧きいでてくるものがあるのかもしれない。
語りざるを得ないということも含めて。
頭の回転早い人、思考が整理されてるひとってすごいなー。
印象に残った言葉メモ。
「原発にかぎらないですけで、逃げられところから見える景色と、本当に逃げられないところから見える景色はぜんぜん違う」 (大野更紗)
世の中(=社会)の標準設定から外れた身体の持ち主と、社会のあいだに生じる齟齬を「障害」とみなすのが、「社会モデル」。逆に、普通じゃない身体が悪いというふうに言うのが、「医学モデル」。想定外の身体に合うようにカスタマイズされない社会が悪いのか社会に合うような身体に治療しないのが悪いのかと、いう対立軸。(熊谷晋一郎)
日本では未だに、痛みを一種のスティグマ化して「嗤い」にする。葛藤を抱える人がどれだけ世の中にいるのかと考える想像力が、多くの言葉から失われてしまっている。(中島たけし) -
何かの深みというか凄みというか、というものの、片鱗をのぞき見する。難病患者というレッテルが多少はがれて、作家としての大野さん、という視点が少し生まれた本
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彼女が書くことで開く扉がきっとある。
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明日、同じ立場になるかも。
その時は、この人を目標に行きていこう。 -
難病・社会保障・医療・福祉・フクシマを著名人と対談していく内容。最終章の猪飼さんとの対談が興味深く。病院の世紀の理論を読んでみよう。猪飼さんが言っていた精神障害者は私宅鑑置以外の方法で地域に存在していたこともあった、というのはどの文献に書いてあるんだろう。五体不満足もちゃんと読んでみよう。秋葉原事件の加藤智大の著作も読んでみたくなる。そんないろんな分野を横断的に言及しているので、脳が刺激される。
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「困ってる人」大野更紗さんが、ますます困りながら綴ったエッセイと、精力的に語り合った対談が満載の大記録。
「さらさらさん」というタイトルに似合わぬ"ガツガツ"の内容。本の厚みをはるかに超えるボリュームで圧倒する。でも、読後感は爽快。
「困ってる人」のライトな語り口も、本書で綴られたヘビーな感性の裏返しだと思った。
巻末の「困ってる人の本棚」(2012/6/1~30 @MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店)で掲げられていた大野さん渾身の手書きPOPも、実際に見た(私のような)人はもちろん、見逃した方、そもそも知らなかった方の心に響いて本を読みたくなるはず!
さあ、大野更紗ワールドへ、あなたも… -
ごめんなさい、困ってる人を想像していましたが、ちょっと長くて読みきれなかった
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ざっくり読み。
精神疾患のゆらぎの話はとても興味深く。
かるいほど揺らぐらしい。
正直目に見ることはできない。
なら、あえて一番ひどい揺らぎを伝えてくのが最終的に自分にも周りにも親切なのかも、しれん。