- Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594066833
感想・レビュー・書評
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この本は、さてさてさんのお薦め本です。私の本棚に嬉しそうに並んでいます。 ありがとうございました。
本名、中島加代子。三十才。作家。
ペンネーム、相田大樹。なかなか売れず
改名して、有森樹李になる。
加代子は自分のことを、史上最もついていない作家だと思っている。
歴史の浅い、中堅出版社主催での新人賞を獲ったが、それは二名同時受賞でもう一人は元アイドル、加代子は引き立て役だった。作家デビューはしたものの、出版社はいつになっても本を出してくれなかった。
・・・・女は恐い。加代子は10年後、引き立て役にさせられた、この復讐を果たす。
作家になりたい人、この指止~まれ。
そんなことを言ったら、指が何本あっても足りないだろう。
作家が本を出すには、出版社、編集
担当者、書店、そして読者が必要だ。
圧倒的なエネルギーと貪欲さ、物語を生み出す力。貪欲さはいつも持ち続けて
いるべきではないかと思う。
その時の自分の状態に、甘んじていると
向上は目指せない。作家でなくとも、誰でもが同じではないかと、思う。
この本は、本当に面白い。
電車の中で読んでいて、もし面白さに
ニヤついてしまったら、恥ずかしいこと
このうえない。それというのも加代子の性格が何とも言えないからだ。あんなに凄い土壇場で、いい案を思いつき演じきり、窮地を切り抜ける。
この本には、ベストセラー作家の60代
(オヤジ野郎、個人的な感想)の存在が
欠かせない。二人は、何度にも及ぶ
バトルを巻き起こす。この本の見どころ
いや、読みどころだ。
二人は、歳は親子のようだがきっと
いいライバルであり、お互いを高め
合えるいい関係でいるのではないかと
思う。
2021,6,6 読了 -
新人賞は獲ったがその先になかなか進めない新人作家、中島佳代子がパワーとハッタリ、成功に対する執念で文壇の海を貪欲に泳いでいく。最初は無理して泊まった「山の上ホテル」で階上で缶詰になっている大物作家東十条の執筆の邪魔をして原稿を落として自分の短編を捻じ込むためにさてどうするか?から始まるのだがその解決法が可愛らしく思える程次々出てくるピンチに対する対処が大学の先輩編集者遠藤他を巻き込んでどんどん豪快になっていく。これが痛快かつ表現者の闇の深さをびりびり感じてページをめくる手が止まらない。東十条初め嫌な奴!なのに後半は掌返してしまう。実際の作家達や読書メーターまで出てきてにやり。最終章こうきたか!と単なるサクセスで終わらないのがいい。姫川亜弓のカーミラって嫌味過ぎる。表現者はこうできゃ。
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ホテルの話?と思いきや、新人女性作家の復讐劇。連作短編になっていて、テンポよく読めます。ヒューマンエンタメ、とでもいうのでしょうか。柚木麻子さん、女性の心の機微を描くのがすごくうまいと思っていて、読破しようと思っているのですが、中でもこれは特に面白かった。のし上がるための手段、悔しさを晴らすためのえげつないやり方。何かを諦めかけたり、つい言い訳をしてしまう人の背中を強烈に押してくれる1冊だと思います。
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「どうせ盗むなら、売れっ子以外の本もちゃんと盗め!口惜しかったら自分が本当に欲しい本探して盗め!犯罪者のくせして、世の中のものさしに従ってんじゃねえよ!」(有森樹李)
中島加代子の「売れたい!賞が欲しい!」ってパワーがハンパない。佳代子も東十条先生も読み進めていく内にどんどん素敵なキャラクターになっていく。
また実際の作者さんたちが出てきて面白い。
作中、「どこかに「木」が入ると売れる。」と話があったけど柚木麻子さんも意識して付けたのかなとふと思った。 -
柚木作品は「ランチのあっこちゃん」しか読んでいない。宮崎美子のすずらん本屋堂をみて、この本を読みたくなった。そんな気はしていたが、実物の柚木麻子は相当痛い人物だった。そんな作者があんなに照れて語る作品はどんなのだろう…
元ネタがすぐわかる「小説ばるす」東十条のモデルだって、化けて怒り出しそうなぐらいすぐわかる渡辺淳一。直林賞も直球のもじりである。文鋭社は集英社? もはや歴史上の人物である三島由紀夫はともかく、朝井リョウetc.実在の小説家がぱんぱん実名で登場する。どこまでが現実で、どこからが妄想??
手段を選ばない、はちゃめちゃな作戦、それを行動に移すバイタリティ。アホらしくて、どんどん引きつけられて、どんどん読み進めてしまった。そして時折みせる、作家の苦悩と本音がまた深くつきささる。人気商売で、実力の基準もはっきりしない世界なので、やっぱり芸能界と同じような裏はあるんだなぁ。実力だけでもコネや運だけでも通用しない、そして売れることとクオリティの狭間。エンターテイメントの世界は大変だ。
そして柚木麻子は現実の世界でも、直木賞候補になり、本屋大賞候補になった。まさか、カンヌのレッドカーペットも実現するのか?? -
面白かった。加代子って可愛い。一般的な男性にはアピールしない可愛さだろうけど。すごい情熱!渡辺J?を思わせる東十条先生も人間らしくて。
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どんな困難も全力で体当たりしてく樹李が最高!!最初から最後までフルパワーで面白かった。
元気をもらうってこういうことか。 -
初柚木さん。主人公もいいけど東十条がいい。これ、大丈夫だったんでしょうか(笑)。ぜひとも実写で観てみたい。無理かな? 主人公がじたばたもがいて、周りの人まで引きずり落としてしまう様が気の毒であり痛快でもあり。面白かった!!!
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小説家になりたい女性が成り上がっていく物語。
おとなしそうにみえて、強かな主人公に共感してしまう。
小説家の孤独と嫉妬も描かれていて面白い。作中に実在の作家が登場するのが、リアルでなお良い。 -
この人の作品初めて読んだけど、面白い!!!
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柚木先生の冷静に感情を分析しているところに震えます。
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良い意味で、思っていた話と全然違っていて、面白かった!作家の実名がチラホラ出てきたり、作家と編集者、書店員との関係なんかも裏話ぽくて楽しい!
主人公の七変化が痛快だし、恨みや苦悩もリアリティがあり楽しめた。 -
やってくれるわ。少しは読者の気持ちも考えてほしい。
まるでジェットコースターにでも乗ってるかのような展開。おかげで後半は脳ミソの方が展開にしがみつくのに必至だった。
コミカルな展開に突然不意打ちのようにスパイスを効かせてくるテロ行為を、個人的に『ユズキ・スイッチ』と呼んでいる。今回はそれが特に効いていると感じた。
笑顔で「ナイフ」を突きつけられて思考停止。でもそれが快感。早く次の作品が読みたい。 -
題名からは想像できないスカッとするお話でした。読み進めていくうちに主人公や他の登場人物が魅力的に感じていき最終的にはこの人苦手だなぁと感じていた方が好きになっていました。本好きな方や生き生きとした主人公の話が読みたい方にお勧めしたい一冊です。
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加代子のパワフルな行動力と策略に引き込まれる
実在の作家も登場してニヤリとしてしまった -
作家が実名で登場する自伝的小説
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主人公は小説家志望の若手作家。不遇もありなかなか芽が出ない。
30代の著者が明かす、きっとほぼ実話の作家・編集者・出版社との構図がおもしろい。
頭のキレる主人公が手に入れる成功とその先にあるものに、若手社会人はきっと勇気をもらえるはず。 -
トリックのセンス抜群で、めちゃくちゃ面白かった。
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主人公のギラギラの情熱、上昇志向むっちゃ面白かった。
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サイコーにスカッとする本。
小説界?の裏側がよく分かります。
でも、柚木さん。
賞レース、大丈夫かな?
小説界がこのユーモアが分かってくれる
世界であって欲しいです。 -
サクサク読めた。軽いのに心に残るのはなぜだろう。加代子が何度沈んでも浮かびあがるから?良くも悪くも前向きな姿勢にすっとするのかなぁ。
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冴えない新人作家の自ら勝ち取る
シンデレラストーリーฅʕ•̫͡•ʔฅ
…だったらキレイですが、相当悪どい演技派作家です。。 -
超笑える!
実在する人物がちょいちょい出てくるから、
フィクションのはずなのにノンフィクションのような気がしてくる。
朝井リョウの出てくるあたり、
超ニヤニヤしながら読んだ。 -
サバイバル力が必要だ
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最初の短編を『あねもね』で読んだときは、しんみりしたお話の多い中でずいぶんとんでる話を書く人だと思った。彼女の出版された作品を全て読み終わった今、あの短編は彼女の作品の中では少々外れたラインにあることがわかる。短編ならではのぶっとび方だと思っていたら、それを最後までつらぬいて、長編にしたてた彼女の力技に圧倒された。
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面白かった!
不遇を嘆く新人女流作家…だった主人公がイキイキとのしあがっていく様を見るのが痛快でした。
このくらいハッタリがきく、頭の回転が早い人間になりたいと思いました…。
あけましておめでとう
ございます
初コメント、嬉しく思います!
「同士少女・・・」と「私にふさわしい・・・」に共通点...
あけましておめでとう
ございます
初コメント、嬉しく思います!
「同士少女・・・」と「私にふさわしい・・・」に共通点はあるのでしょうか?本を選ぶ時、題名、表紙などで選んでしまいます。
先日珍しく、方舟、読みました。ん~たまにはあのような本も読むといいのかな?と思いました。次はどんな本を読もう?と考えています。
(*^。^*)
「同志少女……」は単に文壇を戦場と見立てて、そこに負けじと立ち...
「同志少女……」は単に文壇を戦場と見立てて、そこに負けじと立ち向かう中島加代子を比喩しただけなので、作品の共通点とかはないですよ。方舟も読まれたのですね、あれは最後にゾワッとしました。
今日、本屋で気になったのは綾崎隼さんの『死にたがりの君に贈る物語』ですね。積読多いので順番回ってくるのは、いつになることやら(笑)