日本の文化 本当は何がすごいのか

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594067892

感想・レビュー・書評

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  • 海外での経験、チームラボ代表の猪子寿之氏の影響により日本の文化に非常に興味がわき、
    なぜこのような文化が生まれたのかを知りたくなったため手に取りました。


    終始一貫して著者が指摘している日本人の自然信仰と御霊信仰を基本とした神道の影響が大きいことを
    指摘している。西洋が物事を客観的に捉え、物事を支配したがる支配・略奪の文化であることから
    自然も掌握しようとしてきたのに対し、日本は古来より争いの少なく、豊かな文化をはぐくんだ理由は
    共同体として自然に逆らわず恐れ多いものとして万人共通でとらえつつ仏教が個人宗教であることで
    救済することで古墳や仏像などからみれる日本独自の文化を「形」としてみれることを筆者は強く
    主張している。

    富士山を敬う富士嶽三十六景がゴッホに影響を与え、土器からは装飾を施した火焔土器が
    世界最古であること、仏像は性を抽象化し、神を具現化した様子が他の文化と異なること。
    個人的に庭園の違いとして、イギリス式は石や木々を削り、噴水などの水本来の流れを制御し
    ているのに対し、日本は自然本来の姿をできるだけ維持しつつ、庭や物体にその自然の尊厳を
    凝縮させる点からも捉え方が違うことに、日本文化を論じている方からは自明なのかもしれないが
    非常に興味をもった。

    頻繁に西洋との比較を交えながら論じられており、客観的にとらえることの
    できるようになっている。

    継承を重んじる点も、天皇制が125代にわたり継承されている国としての固有性、シンボルとしての
    天皇という独立した象徴を中心とした共同体がはぐくむ共生感によって、老舗の店舗数が世界的に
    最大級であることを示している。(戦争などで文化が不連続にならなかったことも大きいと考えるが)

    他にも

    ・和をつくりだすことを軸にして、お茶を飲む、歌を書く、という日常の行為が儀式になったり
    社会性を膨らます。
    ・流入してきたもの、受け入れたものを作り変え日本スタイルにアレンジする

    などといった点が新しい発見であった。
    もう少し茶や浄瑠璃、歌舞伎や文芸作品の文化的な側面について深く掘り下げみてほしかったが、
    個人的には満足しています。

  • 神道が日本文化の根本思想

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著者プロフィール

昭和17(1942)年東京生まれ。東京大学文学部仏文科、美術史学科卒。ストラスブール大学に留学しドクトラ(博士号)取得。文学博士。東北大学名誉教授。フランス、イタリア美術史研究の第一人者として活躍する一方、日本美術の世界的価値に着目し、精力的な研究を展開している。また日本独自の文化・歴史の重要性を提唱し、日本国史学会の代表を務める

「2024年 『日本国史学第20号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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