- Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
- / ISBN・EAN: 9784751526118
作品紹介・あらすじ
差別と貧困の国アメリカは、どのようにして生まれたのか?コロンブスのアメリカ大陸上陸から、アメリカ・フィリピン戦争まで、教科書に載っていない恐るべきアメリカの歩み。世界150万部超のベストセラーをわかりやすく編集した特別版。
感想・レビュー・書評
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帝国主義は人に有無を言わせず物事を強制する際に生まれるそもそもの血生臭さを国家の視点から正当化してきたことがよくわかる。強制される側の多数を占めるマイノリティ=一般的な人民から見れば暴力そのものである。ただしアメリカ史に限らず、世界史は、視点を替えれば、おしなべてこのような有様である。多くは、多数のマイノリティが、自分自身はする側であると思い込みたいことによってシステムは回る。個人であるとはマイノリティであるという意味において。
一方では、何度も何度もストや暴動を起こしているマイノリティによって、なんとか、ある意味では勝ち取って来た歴史があることもわかる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
h10-図書館ー2022/12/25 期限1/15 読了1/3 返却1/5
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世界のリーダー、アメリカ合衆国の歴史の影の側面。人権を踏みにじって肥大化していった国家という巨大利権をさらけ出す。
コロンブスといえば小学校の頃はアメリカを発見した偉人だった。幼心にはインディアンがいたのにコロンブスがアメリカを発見したってどういうことなの?と思っていた。もしかしたら川口探検隊が前人未到の洞窟の中に人骨を見つけたのと同じギャグ?とか言ってたかもしれない。その後、中学でアメリゴヴェスプッチがアメリカ大陸を最初に認識したと習い、さらに大人になってからレイフエリクソンがヨーロッパ人で初の発見者だったと知った。それでもアメリカ大陸を最初に発見した人間はネイティブアメリカン達だろ、と思ったことに変わりはなかった。
未だにコロンブスは偉大なアメリカ発見者だと教科書に書いてあるのだろうか。日本では変わってなさそう。アメリカやヨーロッパでは先般のBLM運動の前後で大きくその価値観が変わったのではないだろうか。
この本では、アメリカ大陸にやってきてからアメリカ合衆国をつくり、発展させた中心的な人々、すなわち裕福なヨーロッパ人が裏で何をやってきたかを暴く歴史の教科書だ。「白人以外人でない」という標語が立てられそうなほど壮絶な暴虐と略奪の限りをつくし、アメリカは発展していく。先住民、黒人奴隷、そして女性たちがいかなる立場で白人男性主義の社会と戦ってきたか、が上巻では描かれる。それはもうなんだか目を覆いたくなる黒歴史の列なりなのだけど、こうした黒歴史教科書っていうのはどの国でも作れそうだよな、と思ったことがちょっと衝撃でもあった。日本なら問題なく作れる。むしろ近現代の方がボリュームある教科書になりそうだ。
そんなふうに、振り返って自分の国の黒歴史を思い起こし、繰り返さないようにすることの大切さを認識することこそ、この本の大きな役割のように思った。
下巻では2000年代前半、イラク戦争くらいまでが描かれるとのこと。トランプ政権前に出版されたのがちょっとホッとする。 -
●そこが民主国家である限り、国民は自分の政府の施作を批判する権利を持っている。
●コロンブスがたどり着いたのはハイチ。一度スペインに戻り千人以上でインディアンを襲う。金を持ってこなければ殺すと。アラワク族は自決を選択し、25万のインディアンは半分にまで減る。
●コロンブス以前の南北アメリカ大陸には7500万のインディアンが住んでいた。多くの部族、2000もの言語。
●インディアンは思い通りにはならないので、アフリカから5000万もの奴隷を連れてくる。また白人の奉公人も居たが、基本的に黒人には人権がなく扱いが違う。
●1676ベーコンの反乱。貧しい白人入植者が戦ったのは指導者とインディアン。
●アメリカの独立革命とは、植民地にいたエリートと呼ばれる者たちが、入植者たちの反抗的なエネルギーを、イギリス本国や役人にぶつけることによって、自分の財産と社会的地位を守る方法として考えました。
●ジェファーソンの「独立宣言」は、生命、自由、幸福の追求をする権利を持つものを白人男性に限っていたのだ。
●独立戦争は七年戦争で負け復讐の機会を伺っていたフランスの援軍で勝利を収める。ちなみにインディアンは七年戦争ではフランス側に。独立戦争ではイギリス側に。
●アメリカの憲法を起草した55人の大半が富裕層で貸金業を営む。自分達の支えとなる社会構造を守ってくれる、強力な中央政権を作り出す必要性があった。
●リンカーンは奴隷制は不当だと思っていたが、黒人と白人だ同等だとは考えていなかった。
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インディアン・黒人・女性から見たアメリカ史
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・南部の大農園主がもっとも恐れていたのは、黒人奴隷と貧困白人が結束すること。それを阻止するために、人種差別主義が使われた。もし貧困白人が黒人を見下げていたら、両者が協力して反乱を起こす恐れなどなかった。
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自由と平等を標榜し,世界を正しいあり方へと導いてきた,とするアメリカ人の歴史観・愛国教育が,実態とはかけ離れていることを喝破した内容.ネイティヴアメリカンに対する迫害は,「モヒカン族の最後」などである程度知っていたことではあったが,黒人差別が白人の生来的なものではなく,底辺層の白人と黒人の団結を妨げ,階級内での分断を図るため,富裕層が恣意的に貧しい白人に便宜を図ることで生じていったというのは新鮮だった.先進的と崇められる憲法や独立宣言も,貧民層の怒りを植民地支配を行うイギリス本国に向けるための詭弁でしかなく,保護の対象とする人民に貧民や黒人,女性は含まれていなかった.奴隷解放で有名なリンカーンですら,奴隷の解放を第一義としていたわけではなく,戦局の推移に伴い結果的に奴隷解放を進めたに過ぎず,しかも南北戦争後,戦争中に約束されたはずの,黒人に対する法的・実効的な保護は次第に覆されていった.19世紀後半に中国からの移民がいたというのも意外.過酷な労働環境の是正に向け立ち上がる下級労働者を,政府が武力で鎮圧していた様は,近代の全体主義国家と何ら変わりない.結局,建国当時から,富を持つ者がすべてを牛耳ってきた国だということが,改めて浮き彫りになる.黒人や女性の差別に抵抗する運動がどのようにして起こってきたかということについて,特に勉強になった.
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権力者は常に疑え。どんな流れで今の日米関係があるのかが、なんとなくわかってくる。
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独立戦争とリンカーンの関係を参照。