インフレ不可避の世界

著者 :
  • 明日香出版社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784756922069

作品紹介・あらすじ

円安とガソリンや食料品の値上がりが続き、日本でも物価上昇が顕著になってきました。こうした昨今の情勢を受け、長年「インフレになる」と警鐘を鳴らし、金融バブル崩壊が秒読み段階にあると予言するさわかみ投信会長の見解と対処法をまとめます。

感想・レビュー・書評

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  • 2年前に出された本。
    経済予測なので、ほぼほぼ答えが出ているが、澤上さんの言うとおり、かなりのインフレが起きて、米国債を含めた債券が暴落した!

    一つだけ、大きく外れているのが、足下までの株高。さわかみファンドは、応援したい優良株のみをポートに入れているから、売らない!のかも知れないけど、少しは益出しをしたのかな??
    どんなオペレーションをしてきたのか、確認してみようと思う。

    でも、澤上さんの50年単位の長期投資理論からすると、この2年間の上昇なんて、たい焼きの尻尾なのかも知れない。。

  • 社会人になって10年ほど経過した、今から20年程前から株式や投資信託を購入してきましたが、日本円で計算すると計算すると収支トントンで、良い勉強にはなりましたが資産は増えることはありませんでした。

    5年ほど前に、もう投資はやめて地道に積み立て貯金しかないのかなと諦めかけていたところ、この本の著者である澤上氏の本に出会いました。証券会社に勤務されていて、これからのファンドを社内で作ろうとしたらそれが叶わず、だったらということで自分で会社を起こして、自分の理想にあったファンドを作られたという内容でした。お陰さまで、私が体験した投資信託で唯一と言っていいほど、プラスの実績をあげています。

    この本は澤上氏の書かれた最新本(2022.4.29現在)です、彼の主張は一貫性があります、来るべきインフレ時代に備えて準備を進めていきたいと改めて感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・石油ショック時にはOPEC諸国との交渉という道もあった、その交渉で世界中の富が産油国へ流れ込んでいたものを、国家間あるいは民間企業への融資という形で、資金韓流を促すこともできた、ところが今回のコストプッシュ・インフレは多方面から押し寄せてくる一方的なインフレ圧力である(p27)

    ・バフェット指標(株式市場の時価総額が、その国のGDPの何倍か)によれば、米国株は超のつくほど割高になっている、その背景にはGAFAMやテスラといった新興の急成長企業の株価上昇が貢献している(兆円3)

    ・債券投資の恐ろしさは株式市場の暴落どころではない、その恐ろしさが40数年ぶりに襲ってこようとしている(p71)

    ・現在は中央銀行が金融の量的緩和政策の一環として、市中から国債をどんどん買っている、つまり吸い上げてしまう、そうすればいくら国債を増発しようとも金利の上昇は抑えられる(p140)

    ・米国では2000年2月からのITバブル崩壊、01年9月の同時多発テロ、07年8月のサブプライムローン問題、08年9月のリーマンショック、2020年2月のコロナ問題と、数々の株価暴落を経験しているが、それでも不死鳥のように復活して最高値を続けている。その大きな要因として、年金マネーの存在があった(p178)

    ・現在までインデックス運用が良かったのは、株価全般が長期のトレンドを追ってきたから、それも世界的な過剰流動性と年金マネーを中心としたコンスタントな買いが、株式市場をガッチリと下支えしてきたから(p183)しかしこれからは年金マネーは純減のトレンドを追い始めている(p202)

    2022年4月29日作成

  • 2022年3月の本なのでちょっと読むのが遅すぎた感ある。答え合わせのつもりで読むと面白いかも

  • 消費税を「年金税」にして全額給付にあてる。
    眠っている969兆円の1〜3%が世に出回るだけで大きな成長が期待できる。
    出費はしたくないが、もらえるものは欲しい。そして貯金。それでは停滞するばかり。

  • 反リフレ派による経済悲観論。
    ガラガラポンのリセットをした方が強い日本が復活するという主張はその通りかもしれないと思った。

  • ここ数年、SNSで投資を勧めるインフルエンサーの方も増えてきて、私もそろそろ……と思いつつ、やれS&P500やらFX投資やら、何が何だか分からず、先ずは勉強しようと思い、タイトルに惹かれて購入した一冊。

    ベテランの長期投資家の方の話であるから、初心者には理解が難しいかと思いきや、繰り返し説明してくれたりするので、予想していたよりは読みやすかった。

    大筋としては、これまでの40年間が異常であったこと、そしてそれは各国の政府が金融緩和政策を進めているため、金融の世界では金余り状態であることに由来するというような内容だった。

    早まって投資を始めなくて良かったなと思えた一冊でした。

  • 2022年72冊目。304ページ、累計19,793ページ。満足度★★☆☆☆

    2022年3月出版

    現在のインフレ・資源高・金利高の経済に関しての状況描写はまぁまとも

    一方で、約40年間に及ぶ金利低下(債券価格上昇)、アメリカを中心とする株高の原因をいわゆる投資家の機関化現象に理由を求め、世界の年金マネーが株式・債券を買いまくってきたバブルがまもなく崩壊すると言う

    そのため、ごく一部の資産を除き、資産の換金を推奨

    世界の年金資金をめがけて、運用会社がマーケティングを仕掛けている云々のことだが、本書も立派なさわかみ投信の宣伝本であろう

    なお、公的年金の大胆な改革案が実現可能性は抜きにして面白い

    消費税を「年金税」に鞍替えして税率を15%ないしは20%にする。年金税を年金給付に充てる。年金の積立制度?も運用業務も全て廃止。関連する役所の業務も徹底的に減らす

    そして、マイナンバー制度を完全実施すれば、個人の税金が完全に捕捉されるようになり、年金不安も解消すると

    マネー雑誌で毎回同じ様な話をしているので、いつもスルーしていましたが、特に読む必要はない本でした。

    本人の話を近くで聞いたことあり、人を惹きつける力はある方ではありますが・・・

  • 藤巻氏と同じでインフレがいつきてもおかしくない
    現金化と割安のアクティブ長期投資

  • 澤上さんの見立てでは、現在の株式・債権市場は超割高。すぐにでも株や特に債権は売却し、現金に換えておくことを強く推奨している。何よりもリーマンショックからコロナ下の現在に至るまでの、世界的な超金融緩和製作が近々金融市場に大きな混乱をもたらすと断言している。日銀によるETFの買い支えについても大きな懸念をもっている。”日銀が豪腕でもって市場機能を叩き潰してきた咎だ”確かに全くその通りだと思うが、暴落が何時発生するのかは誰にも解らない。著者は日本国債の暴落懸念を10年くらい前から警告している。ここがなかなか難しいところ。
    新しい目線として今まで年金資金が世界中の株を大量に買ってきていた。しかし年金資金はこれから支払いが急増し残高は現象にむかう。大口の買い手が減ってしまうのは確かだ。
    ESGもSDGsにも辛辣。長いこと株式投資をしていた人なら覚えているだろうが、以前にSRI投資がもてはやされたことがあった。私も実に馬鹿馬鹿しいと感じていたものだが、SDGsも一緒。自慢気に社長とかがあの虹色◎バッチをつけて、どうだおれはこっちも考えているんだぞとばかりに雑誌やテレビに出ている。そんな会社には投資することはないという細やかな抵抗を試みている次第。
    さわかみ答申自体はどうか。現在の基準価格は3万円と20年で3倍となっている。でも設定から10年以上たっても基準価格は1万円のまま(途中2万円までつけたが)だった。上昇したのはやはりここ10年で3倍になっている。昨今キャッシュポジションが増えたかというとそうでもなく、7年前と同水準の15%位。もっともほぼ日本株だけでこの成績は良い方ではあろう。

  • ■第1章 今回のインフレ、甘くみてはいけない

    コロナ禍からの景気回復で、インフレ懸念?
    日本の2%インフレもみえてきた?
    コストプッシュ・インフレの恐ろしさ
    ボトルネック・インフレ
    「サプライチェーン分断」のボトルネック
    地政学的ボトルネック
    脱炭素に向けた動きも要警戒
    DXインフレ(?)もありだよ
    バラ撒いてきたマネーが暴れだす


    ■第2章 金融緩和バブル、崩れは近いぞ

    米FRBの利上げ発言が転機
    金融緩和バブル、行き着くところまで行ってしまった?
    米国株の突出高は経済力の違いを暗示している?
    他にも、バブル高の徴候が
    いつ暴落がはじまっても、おかしくない
    どんなバブルも必ずはじける
    大きく下げては戻しを繰り返して、本格的な暴落へ
    コンピューター運用が主流で、投資家心理は無視される?
    コンピューター運用は、買いも売りも転換が早い
    壮大な金融緩和バブル、いよいよ崩れに向かうぞ
    債券はバブル高していないのか?


    ■第3章 露呈しだした張りボテ経済の限界

    空前の金融緩和、なんのため?
    コロナ禍、経済や社会を守るため?
    50年に及ぶ「金融の時代」はいよいよ最終局面に
    マネー、マネーの経済
    金利をゼロにして経済は動くのか?
    経営を弛緩させ、ゾンビ企業を増やすだけ
    ようやく日本にも、ベンチャー企業が台頭しだした?
    大多数の国民の低所得化は、デジタル社会に乗り遅れただけか?
    中央銀行に景気対策をやらすなんて
    為政者たちのご都合主義
    中央銀行といえども、往きはよいよい帰りは怖いとなるぞ
    株式ETF、どう処理するのか?


    ■第4章 金融緩和政策、なんだったのか?

    世界的な金融緩和、そろそろ曲がり角に
    日本の失われた30年
    企業を潰させない、雇用を守る
    とんでもないモラルハザード
    厳しいバブル処理を断行していたならば
    リーマン危機で、欧米は金融システム維持に走った
    コロナ禍で、さらなる金融緩和中毒
    放漫財政に歯止めがかからない


    ■第5章 バブル崩壊、インフレ、財政危機

    金融緩和バブル、もう崩壊するしかない
    野放図な国債増発
    人為政策の限界
    バブル崩壊の地獄絵
    カネ余りが、現金不足に一転する
    金利は上がっていく
    日本の財政、もつのかな?
    金利上昇のインパクト
    企業倒産と失業の嵐
    資産デフレの恐ろしさ
    日銀も、存在そのものが問われることに


    ■第6章 世界の運用の「常識」が総崩れに

    この40年が「異常に幸せ」だった
    世界的な過剰流動性の歴史
    年金資産が世界最大の運用マネーにのし上がってきた
    年金マネーが株式を買いまくった
    債券市場も、1983年からずっと上昇基調
    とんでもなく順風満帆な投資環境が続いた
    今回のバブル崩壊、ひどいものになるよ
    とんでもない債券バブル
    この38年間の債券神話
    40年前の債券地獄
    今度の債券地獄は、売りからはじまるぞ
    年金マネーは縮小へ
    資金運用から投資運用へ


    ■第7章 長期投資の復活

    経済は消費と投資が根幹をなす
    将来をつくっていく、それが投資だ
    ESGもSDGsも、笑ってしまう
    一体、なんのため、誰のための運用なのか?
    果たして、世界の機関投資家運用は変わるのだろうか?
    投資とは、そもそもアクティブ運用の世界である
    アクティブ運用はパッシブ運用に勝てない?
    長期投資が見直される


    ■第8章 年金問題、こうすれば解消できる

    先進国はどこも年金問題で苦しんでいる
    年金制度の限界
    確定拠出型の年金制度に移行するか?
    そこでだが、国の年金制度は、どう改革していくか?
    どうせなら、抜本的な年金改革を
    消費税を年金税に改め、税率を15%ないし20%にする
    マイナンバー制度の完全実施でもって
    日本の税収は大幅に増加する?
    年金不安は一掃できるし、いいことだらけ
    年金の積み立ても、運用もなくなる
    そもそも、年金の運用はやめた方がいい


    ■第9章 バブル崩壊とインフレ襲来、どう乗り切るか

    ほとんどの金融商品は売っておこう
    売っておくのは?
    売らずに残しておくのは?
    長期投資の復活
    自助自立の精神でもって
    応援株主になる?


    ■第10章 「お金をまわす文化」を高めよう

    いま頃、日本経済は2.7倍になっていた
    いまからでも挽回できる
    お金をまわすことの大事さ
    お金をつかって楽しむモデルをつくろう
    お金をつかって地域経済活性化を

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著者プロフィール

さわかみホールディングス代表取締役、さわかみ投信創業者。1971 年から 74 年までスイス・キャピタル・インターナショナルにてアナリスト兼ファンドアドバイザー。その後 79 年から 96 年までピクテ・ジャパン代表を務める。96年にさわかみ投資顧問(現さわかみ投信)を設立。販売会社を介さない直販にこだわり、長期投資の志を共にできる顧客を対象に、長期保有型の本格派投信「さわかみファンド」を99年に設定した。同社の投信はこの 1 本のみで、純資産は約 3300 億円、顧客数は 11 万 7000 人を超え、日本における長期投資のパイオニアとして熱い支持を集めている。『10年先を読む長期投資』(朝日新書)『金融の本領』(中央経済社)、『本物の株価上昇の波が来たぞ!』(日経BP社)『2020年に大差がつく長期投資』(産経新聞出版)『大暴落!その時、どう資産を守り、育てるか』『インフレ不可避の世界』『暴落相場とインフレ 本番はこれからだ』(いずれも明日香出版社)など著書多数。

「2023年 『本物の長期投資でいこう!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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