非才!: あなたの子どもを勝者にする成功の科学

  • 柏書房
4.07
  • (32)
  • (36)
  • (14)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 478
感想 : 44
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760138388

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 話のベースとなるのは10000時間の法則だが、ただ10000時間やっているだけなら、車の運転やキーボードのタイピングなどは世界中で誰もが天才になっているはずだ。という観点から自発的、能動的な興味や練習が必要であること、またより厳しい訓練、厳しい環境に身を置いていくことで10000時間の法則が成り立つのだと言うことを著者の実体験やいわゆる「天才」と呼ばれる著名人の歴史的背景から導いている。
    物事を諦める際に「才能がない」という逃げ道を潰し、成功するためには積極的に行動して、ひたすら努力して高みを目指せばその道では「天才」になれる可能性があるよと言うことを教えてくれる本だった。

  • 自分のために要約
    要するに才能とか天才とかがある訳ではなく正しい方法でかけてきた時間が大切
    そのためにも結果を誉めることより努力を認める方が大事
    反復トレーニングによる無意識の領域でプレイができると良いパフォーマンスができるが、予期せぬ事で壊れる事がある。
    しかし、私は絶対できるという思い込みは自分のパフォーマンスと密接に関わる。
    例えば神により、私の勝利が導かれるというマインドらパフォーマンスをする上ではかなり大事。
    遺伝子と成績は実はそんなに関係がない。
    陸上というと南アフリカの黒人が強いイメージがあるがそこにはしっかりロジックがある。別に遺伝子に全てが帰結する訳ではない。

    才能や天才とは遺伝子ではなく育った環境に大きく左右されるということを知っておいても損はない。

  • 2022/06/26
    途中まで。もう一回借りる。

  • 生まれつきの才能という概念自体がそもそも間違いであることを論証しながら、目的性訓練の量と、その原理に沿って勧められた環境によって一流の人材が出来上がることを説明し、才能という言葉で成長の芽を摘まないよう警告する本。

    詳細は下記
    https://note.com/t06901ky/n/ndbebd3beef08


  •  すらすら〜っと読みすめられました。
     読んだことで得られた考え方はとても大きかった気がします。読んでよかったと思える本でした。

     気付かぬうちに自分の可能性に蓋をしていたんだなと。
     とりあえず今できることは、目的を持って、行動すること。成長の気構えを持つこと、自分は出来ると信じることだと思いました。自分はまだまだできる子です。子どもへの褒め方もとても勉強になりました。

     以下はメモです。


     才能ではなく練習。豊富な経験が傑出性を高める
    幼いうちから内的動機によって練習を始めることが大事。無理矢理では燃え尽きる。自らの行動に関心を持つこと。

    89目的訓練
    難しい時にこそ力が発揮される
    仕事でも楽にやってる時ではダメ
    10年間深い集中をした練習をすること
    深く目的を持って

    115フィードバック
    自分がなぜこの手を選んだのかかつての強者と比較し、理由を考える
    理由と広範な理論がいかにあてはまるか
    一球ではなく、何球も打って、注意深く見守り、コーチからもフィードバックをうける

    129成長の気構え 目的地を明確にすること
    成功や失敗に向かわせる鍵となる要素は動機にある
    その目的地を大切に思い、動機を内部化した人間のみがそこに到達できる
    突発的な動機を何年も継続させるには成長の気構えが大事
    私は知性がないと自分の能力を固定して考えてはいけない

    褒め方
    課題をたやすくやり遂げてしまった子には
    あらあら簡単すぎたわね、時間を無駄にしてごめんなさい。本当にためになることをやりましょう
    才能志向のサブリミナルメッセージはダメ
    努力を褒める

    プラシーボパッケージング 信じること
    非合理的なほど楽観的になる
    自己を疑わずに信じること

    194二重思考
    精神的操作
    楽観主義を高め、証拠を信条に合わせて作り上げ、二重思考を活性化する
    不都合になった真実はすべて忘れて、また必要になったら忘却のかなたから必要な分だけひきもどしてかる。

    214自動化する
    熟練者は自動化しているため、注意を向けるとあがってしまう 何かわからなくなってしまう
    初心者は注意を向けると技術が向上する

  • 卓球選手が書いたとは思えない。この時点でステレオタイプに惑わされているのかもしれません。
    あがる と練習、そしてその質。これが一流になる人には重要。才能より環境。

  • 才能がないからダメだ、とか、この分野は私には向いてないとか、そういうマイナスの考えを大きく覆してくれた。天才も才能もなく、そこにはただ目的に沿った努力よ積み重ねがあっただけ!という強い主張は、私にとっての努力の価値観を大きく変え、可能性を広げてくれたと思う。
    またあがり症に関しても触れられており、それも才能とかで左右されるものでないと説明されていた。あがり症な自分を自覚していたため、この章はすごく役に立ったと思う。

  • ◯DAIGO推薦。世の中で成功している人もみな天才だったわけではない、って内容らしい。非才を自覚している自分にとっても、読むことで大きく動く思考のきっかけ、自信をつけたい。

  • 世の中には、遺伝的な才能はなく、努力や訓練の賜物であり、その効率的な努力がなされうる環境にいかに早く入れるかが、全てであるということ。
    いづれも思い当たるもので府に落ちる内容であった。
    目的性訓練の原理を制度化している、ブラジルのフットサル環境がそのひとつ。
    外国語で聞き取れるかどうかは、聞こえなくとも脳内変換されて言葉が理解されているというにも非常によくわかる内容であった。

  • 私も卓球をしながら、その他のスポーツを観ながら疑問に思っていたこと等が色々と取り上げられていたので購入。

    やはりカットマンって頭を使っている人が多いという感想を持ったが、それが実感できてうれしかった。

  • 社会

  • 全然意識してなかったんだけど久しぶりの山形浩生さんだった。面白かったよ。特にアガリのメカニズムとかそれっぽい。最近の機械学習とかとのつながりで読むとこれがまたとても示唆にとんでいる。バンド幅気にしてたりね。そういうふうに読むと、機械学習の実装に関しても、学習フェーズと判断フェーズをどのように切り替えるかという大域的なアルゴリズムはとても重要だって話になるんだよね。僕の中での個人的な旬だってことで星5つ。

  • ・能力は努力で変えられる
    ・誰もが努力と経験により変わったり成長できたりする
    ・能力を褒めるのではなく、努力を褒める
    ・努力こそが成果を生み出す

    才能ではなく、努力。著者の主張が明快。

  • 運命はつくるもんじゃ。

  • この本をというよりは自分自身を、クソみたいな訳者あとがきや人の意見なんかを顧みずに、「信じ」れば、努力を続け、成功することが出来る。
    この本に限らず自分に有利などんなものも信仰の対象にしていた方が、疑うことが知的で至高とする批評家もどきの活字ジャンキーに成らずに、読書に割いていた時間を本業の練習または訓練に使え、現実においてあらゆる成果が期待できる。
    則ち、この本を読んで、訳者あとがき、更に素人レビューも読み、それに飽き足らず自身でもレビューするなんてことをするのは、1万時間やるなら別ですけど、正に時間無駄です。
    やめましょう。

  • 著者はイギリス人として初めて卓球のチャンピオンになった選手。
    その彼が、なぜ私は卓球選手として成功したのか?
    生まれながらにして、卓球の才能があったからではなく、外部環境(家に卓球台があった、兄がいた。卓球の指導者に巡り合った、長時間練習をした)による結果だと言う主張をもとに、チェスや音楽など天賦の才能がその人の結果に多大な影響を与えると考えられている競技でも、実例や研究結果に基づいて、その誤りを説明している。

    では、成功する為にい必要なものは何か?
    ・練習量
     成功する為には1万時間ほど練習する必要がある
    ・質(目的性訓練)
     著者は地震の車の運転時間を例に、ただ漫然と長時間練習しても実力は向上しない。そこで必要なものは、自分の現在の実力ではまだ実現できない目標をめざし、現在の限界を超える課題に取り組んで繰り返し達成に失敗する事。そして失敗を失敗で終わらせず、成功の過程として捉える事。

    また、周りのサポートとして、才能や結果を褒めたグループと努力した事を褒めるグループで、その後の課題に対する取り組み方が変わる事を様々な研究結果を用いて紹介している。

    非常に勉強になったと感じる反面、水泳選手時代練習に取り組む意識(目的性訓練)が足りなかった、甘かったと言う事が、これを読んで改めてよくわかった。
    そして、普段子供に対する声のかけ方など反省すべき点が見えてきた。

    気に入った言葉
    ぼくの秘密は練習だ、もし何か人生で特別なことを表現したければひたすら頑張って頑張って、そしてもっと頑張ることだとだと言う事が、僕の信念だ。ベッカム

  • 天才というのは非凡な遺伝子をもっているのではなく、非凡な育ち方をしている。これが一貫した著者の主張。トップクラスの卓球選手である自身がトップクラスのテニス選手のサーブが打ち返せないのは、瞬発力に差があるからではない。うつ前に体の動きを見て、サーブがどこに跳んでくるかを予想しておく力を練習で鍛えているからできるのだ。
    最高のバイオリニストと良いバイオリニスト、音楽教師を分けるのも練習量。
    時間をかけなければ、よい意思決定を行い続けることはできない。
    しかし、練習量だけでは不可能である。その練習が「目的性訓練」であることが重要。また、何千時間の練習量をこなす中で、動機が「内部化」する必要性もある。
    指導者の側は、生徒に対して、才能をほめてはいけない。能力は努力をもって変えられることを伝えないといけない。
    同じ理屈でエンロン破綻の原因を特定しているが、では一方でエンロンがあそこまでになったのはなぜなのか?
    目的達成への信条は不合理なものでもよい。
    何千時間もの練習の結果、人は無念無想の境地(熟練性健忘)に達する。顕在記憶から潜在記憶にコード化できる。
    顕在記憶から潜在記憶へシステム繊維するメリットは、
    ①熟練者は、複雑な技を構成する各部分を滑らかな一つのかたまりにまとめあげられる。意識が処理しなければならない関連し合った変数が多すぎるから。
    ②意識の処理に気を取られずに済むため、技能のより高度な側面、つまり作戦や戦術に集中できる。
    熟練者には他の人には見えないものが見える能力がある。

  • 生まれながらの天才の存在を否定。
    天才は皆、努力量で作られていた?!

    そんな事実と分析とともに、じゃぁ、今からの可能性、感じて見たくなる本です♪

  • 書かれていることは大筋賛同。
    要約すると、才能あるものが成果を出せるのではなく、努力をしたものが成果を出せる、ということ。

  • ・ 辛抱強い練習なしにエリート集団に入れた生徒は一人もいなかったし、死ぬほど練習してトップ集団に入れなかった生徒もまったくなし。最高の生徒とそのほかの生徒を分かつ要因は、目的性のある練習だけ。20歳になるまでに、最高のバイオリニストたちは平均一万時間の練習を積んでいた。これは良いバイオリニストたちより2000時間も多く、音楽教師になりたバイオリニストたちより6000時間も多い。最高の演奏家たちは、最高の演奏家になるための作業に、何千時間もよけいに費やしていた。つまり、最終的に重要なのは才能ではなく練習なのだ。
    ・ エリクソンらは「われわれはこうした技能水準のちがいが普遍であること、つまりは生得的な才能によるものであることを否定する。むしろ、優秀な演奏家とふつうの大人とのちがいは、生涯にわたり技能を改善しようと意図的に努力してきたこだわりの結果を反映しているのである。」
    ・ 芸術から科学から、盤上の遊びからテニスまで、あらゆる複雑な作業において世界のトップに達するには、最低でも10年は必要だということがわかっている。またほとんどの分野のトップ成績者は、年に1000時間くらい練習する。10年間続けると1万時間となる。これはあらゆる複雑な作用において、一流技能を身につけるために最低限必要な時間。もちろんこれは、エリクソンの実験で最高のバイオリニストたちが練習してきた時間とも合致する。
    ・ ごく早期に発達が見受けられるのは、子供が両親やコーチのためではなく、みずから時間をつぎこむ気になった場合のみ。子供の考え方や感じ方に敏感になるには、過度のプレッシャーを与えずにトレーニングをうながすことが重要。
    ・ 目的性訓練とは、少しばかり力がおよばなくて実現しきれない目標をめざしてはげむこと。現在の限界をこえる課題に取り組んで、繰り返し達成に失敗することだ。
    ・ 成績面の大きな差は知能や動機とはなんの関係もなかった。成績の差をもたらしたのは、まったくちがうものだった。それぞれの信条もしくは気構えだ。能力は努力によって変えられるという信条をもつ生徒たちは、困難に直面してもやり抜いただけでなく、実際に向上してみせた。
    ・ 最初にもって生まれた才能、適性、関心あるいは気性が異なっていても、誰もが努力と経験によって変わったり成長したりできる。
    ・ 「頭が良いのねー」と知能を褒められた生徒より、「よくがんばったねー」と努力を褒められた方が難易度の高いテストを選んだ。成功ではなく、実りのある挑戦の可能性を追求することに関心があったからだ。
    ・ あがらないための方法。健康、家族、人間関係など、試合よりはるかに重要なあらゆることを考える。試合前の習慣のなかで、とてもリラックスした状態で5分間そういったことで頭をいっぱいにして、しめくくる。「ただの卓球だ」とコートに入るときは、試合はもはや最も大切なことではなくなっているのだ。

    感想
    一般に、ある分野で優れている人は才能があると思われがちだが、その裏では膨大な量の練習、勉強をしている。ほとんどの分野のトップ成績者は、最低1万時間(1000時間/年×10年間)練習しており、これは一流技能を身につけるために最低限必要な時間とされている。それだけの練習をしないで才能がないと諦める人は凡人にしかならないということだろう。
    一流になるには才能ではなく練習。。

  • 「人にはそれぞれの先天的な才能がある」ということを真っ向から反論する一冊。

    スーパースターの優秀な結果の裏には血のにじむ努力がある。

    才能ではなく努力、遺伝ではなく環境とモチベーション。

    地頭の良い人はなんでもそつなくこなせる理由を垣間見た気がする。

  • 全部読み終わって「なるほど,努力が全てなのか!」と感動してから訳者解説を読んでムムムとなる本.

    まあ,本文註にもあるようにバスケットボールのようにまず身長が決定的な要因になるとどんな努力をしても日本人にはきつくなるのはある.

    しかし,「高い成功をおさめるグループは失敗を失敗とすら捉えず,成功に近づいた証拠と考えた」という引用に感じた感動は一種の真実だと思う.

  • 天賦の才能、というものを完全に科学的に否定・解明している本なんだが、それだけじゃなく、各スポーツ・チェスとかの分野のNo1選手がどういう練習をしてきているかが科学的に説明されていて面白い。練習・努力の量、そしてその質の2つがあわせることの大事さが非常にわかりやすく理解できる。そんな簡単に実践できるものではないが、どうやれば子供をトップ選手に出来るかはわかった気になれる。 自分が仕事でこれまでなぜ成長できてきたのかも科学的に理解できた。

  • 才能に非ず。

    人は努力によって天才になれることを、
    研究者による数々の論文、研究、
    スポーツ選手の成果と鍛錬の関係、
    そして著者のオリンピック金メダルの経験から証明する。

    マルコム・グラドウェルの一万時間の法則。
    だがただ練習すればよいわけでない。
    目的性訓練が必要であり、
    そのためには正確なフィードバックが必要となる。

    努力し続ける、正の螺旋階段登り続けるにはどうしたらよいのだろうか?
    どうしたら自分の努力を信じ続けることができるのだろうか?

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ●20歳になるまでに、
     最高のバイオリニストたちは平均一万時間の練習を積んでいた。
     これは良いバイオリニストたちより2000時間も多く、
     音楽教師になりたいバイオリニストたちより6000時間も多い。
     (中略)
     このパターンに例外はないことを発見した。
     辛抱強い練習なしにエリート集団に入れた生徒は一人もいなかったし、
     死ぬほど練習してトップ集団に入れなかった生徒もまったくなし。(P.17)

    ○コンピュータのたとえを使うなら、
     フェデラーのストロークの優位性は、
     ハードウェアよりソフトウェアの優位性に
     反映されているのではないだろうか?(P.43)

    ○チェスを用いて傑出性練習説の証明にとりかかった男が、
     たまたま歴史上もっとも才能に恵まれた
     三人の女性チェスプレイヤーの親になっただけだ、とね。(P.85)

    ●肝心なのは、一流のスケート選手が自分のすぐれた技量から見て、
     もっと難易度が高いジャンプに挑戦することだ。
     (中略)
     目的性訓練とは、
     少しばかり力がおよばなくて実現しきれない目標をめざしてはげむこと。
     現在の限界をこえる課題に取り組んで、
     繰り返し達成に失敗することだ。
     傑出とは、快適な領域から踏み出し、
     努力の精神をもってトレーニングにはげみ、
     艱難辛苦の必然性を受け入れることにかかっている。
     じっさい、進歩は必然的な失敗の上に築かれる。
     これはプロのパフォーマンスにかんする
     もっとも重要なパラドックスだ。(P.95)

    ●フィードバックループ
     あらゆる点でまったく同じストロークを身につけろと指導した。
     二か月間その打ち方を繰り返し、
     狂いなしに同じ打ち方ができるようになった。
     この新たな技術はあらゆるショットにおいて、
     フィードバックのための完璧な条件を提供してくれた。
     失敗すれば即座になにが悪かったか特定できるようになり、
     それが自動的な改良と再調整につながった。(P.113)

    ●知識をほめられた生徒たちのまるまる三分の二が簡単な課題を選んだ。
     だが努力をほめられた生徒たちの
     90パーセントはむずかしいテストを選んだ。
     成功ではなく、
     実りある挑戦の可能性を追求することに関心があったからだ。
     次に与えられたテストは、
     非常にむずかしくてだれも解けないものだった。
     知識をほめられた生徒たちは、
     失敗したのはけっきょくのところ
     問題を解くのが得意ではない証拠ととらえてしまった。
     努力をほめられたグループは、
     テストにずっと長く取り組んだし、それをはるかに楽しみ、
     少しも自信を失わなかった。(P.145)

    ○ボロディエリーは努力をほめ、けっして才能をほめない。
     機会があるたびに練習がもつ変化の力に賛辞をおくり、
     プレイが途切れるたびに苦労が肝要であることを説く。
     そして生徒の失敗を良いとも悪いともみなさず、
     ただ向上の機会ととらえる。
     「それでいい」と、
     フォアハンドを大きめにうってしまった生徒に彼は言った。
     「いい方向に向かっている。失敗じゃない。そうやって返すんだ。」(P.149)

    ●10年の歳月を経て、精神面の準備が芸術の域に達するようになった。
     コーチと戦略を話し合って練習場から姿を消し、
     注意深く選んだ瞑想の場へ向かうのだ。
     そして静かな場所で一人になると、
     目を閉じて慎重に稽古した深呼吸運動をはじめる。
     吸って、力を抜いて。
     吸って―――、力を抜いて―――。吸って――――・・・・。
     最初はかなり時間を要するが、長い練習を経て、
     わずか90秒くらいで心拍を減らし、
     深くリラックスした状態にもちこめるようになった。
     心地よく落ちついた気もちになったところで、
     ポジティブイメージのプロセスをはじめる。
     これまでのなかでもっともすばらしかった試合を
     あざやかに思い出すことにしている。
     まずは外から観客の視点で大胆な攻撃に拍手喝采し、
     技の多彩さに驚嘆する。
     そして視点を変えて自分の体のなかに入り、
     ボールがラケットに当たる感覚を感じ、
     能力の限界や限界をこえたところでプレーする高揚感を感じる。
     そして焦点を切り替え、
     これから対峙する相手との対戦を思い浮かべ、
     育ちつつある深く楽観的な感覚を感じ取る。
     自信が固まっていくのを感じる。疑いが消えていく。
     ますます気分がよくなっていく。
     そしてさらに精神的切り替えをして、「肯定的承認」に入る。
     もう自分が動いているとこはみないで、
     奇妙に力あふれたこの言葉を述べる。
     「きみは勝てる」。なんどもなんども確信を深めながら。
     内なる自分にたいして、もっている疑念を捨てるように、
     説得するかのようにはなしているのだ。
     最後の数回の肯定は、ほんの少しちがっている。
     「きみは勝つ!きみは勝つ!」。(P.184-185)

    ○アーセン・ベンゲルはこう語っている。
     「できるかぎりのパフォーマンスをするには、
      論理的な正当性をはるかにこえる強さで
      信じることを自分に教えてやらなければならない。
      この非合理的な楽観能力を欠く一流選手はいない。
      そして合理的な疑いを心から取り払う能力なしに、
      最大限の力を発揮できたスポーツマンもいないのだ」。(P.186)

    ○ストロークのときの身体の各部分の連携した動きについて
     ジェームズに説明を求めたところ、
     彼は首をふって肩をすくめた。
     「どうやっているのかわからないんだ」と、ジェームズは笑って言った。
     第一章で見たように、
     心理学者はこれを「無念夢想の境地(熟練性健忘)」と称している。(P.208)

  • 論理展開が明快なので、その分、突っ込みどころも多いが、気持ちは良いです。
    99%は努力だとしても、残りの1%はそれ以外の要素が絡み、最終的に明暗が分かれる気がするが、そこはダブルシンクで!

  • ◇また素晴らしい本に出会ってしまいました

     読み進めるのが、もったいなかったです。


     "傑出への道"が明らかにされ、子どもの頃に、この本に出会いたかった、
     と思わせられます。
     (実際、その方法論をベースにして、自分の子どもを3人ともチェスの
      世界チャンピオンに育てた事例が出てきますしね)

     本書の特徴は、「生まれながらの才能」を徹底的に否定し
     全て練習・経験等の後天的な要因によるものだ、ということを
     一貫して主張しているところでしょう。

     それは、同等の練習・経験を積んだならば、私でも
     「フェデラーになれる」(!?)と言わんばかりです。

  • 「天才」はただの努力家に過ぎない<br /><br />あらゆる分野の一流の人間に共通しているのは、1万時間以上の目的性訓練である。内的動機によって効率的な訓練を自動化せずに1万時間こなしたとき、彼は他人から見れば天才としか思えない業を魅せる。しかしそう思うのは彼の1万時間以上の訓練を知らないために起こる「氷山の錯覚」である。

  • 目からウロコの連続。読んでよかったなーと思える本。妻が妊娠し、自分なりの教育論を持とうと思っているが、その核となりうる一冊。

  • ・誕生日の違いなど一見何の関係もなさそうに見える事例がささいな違いを生み出し、それが後に大きな差を生み出すこともある。

    ・できることを繰り返し練習するのではなく、今の自身にとっては難しいことを練習する。

    ・「なにがいけないかわからなければ、なにが良いかもけっしてわからない」

    ・「賞賛すべきは努力であって、才能ではないこと」

    ・騙されて思い込むだけでなく、自分の意志で思い込むプラシーボ効果もあるのか…

    ・偏見は自己成就的な性格を持つ

    ・この本に書かれている論が主流になることは未来永劫ないのではないかな。全てが修練の結果であるならば、世の大多数を占める突出できなかった人間は己の努力不足が現状を作ったことになる。これは非常に受け入れがたいこと。自分の力ではどうにもできない才能に責任を押し付けて安心したいのが人情。
     ただ同時に練習さえすれば上に行けるという希望を持たせてくれる書でもあった。

  • 相当おもしろい。天才はありえず、努力と費やした時間が成功を決める!という明確な主張を展開している。

全44件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

作家、英『タイムズ』紙コラムニスト。オックスフォード大学哲学政治経済学部を首席で卒業。卓球選手として活躍しオリンピックにも2度出場。著書に世界的ベストセラー『失敗の科学』『多様性の科学』他。

「2022年 『才能の科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

マシュー・サイドの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジョフ・コルヴァ...
チップ・ハース
チップ・ハース
シーナ・アイエン...
小池 龍之介
デールカーネギ...
スティーヴン・D...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×