口紅のとき

著者 :
  • 求龍堂
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本棚登録 : 525
感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (107ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763011435

感想・レビュー・書評

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  • 口紅を塗るという そのときめきを
    大切にしたいと思えた 、
    歳をとっても、女の子のままでいたい。

  • ひとの、くちべにと共に生きる一生を、女性の一生を。
    自分の今まで生きてきた人生とお母さんと、おばあちゃんに重ね合わせてみらいを見ることが出来て涙が最後に溢れてきた。みじかい話なのに。
    ひちぶんいちぶんが、じんわりとひろがる。

  • 一人の女性の6歳から79歳。物心つく頃から認知症予備軍のような状態になるまで、くちべには事あるごとにぬられてきた。
    女の子から大人の女性になり、パートナーの最期を看取り、老いていく女性。どの時期が彼女の人生のハイライトだったのかはわからない。わからないままでいい。全部が終わったあと、彼女自身が選びたければ選べばいいだけのこと。

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    くちべにをしっかりとぬっている人が苦手だ。威圧されているような気分になってしまう。
    くちべにが歯についてしまっている人も苦手だ。指摘するのもわるいから何も言わないが、赤く染まった歯を目で追ってしまう。

    くちべには大人のアイテム。自分も大人になったはずだけど、まだくちべにの魅力に気づけていない。

  • こんなに本を愛しいと思ったことはありませんでした。手元に置いて読むたびに、女であることの悦びを感じさせてくれる本です。素晴らしい!

  • 短い文章だけど、書き留めておきたい言葉がたくさんあった。化粧をすること、もっと大事にしなきゃ。

  • さくっと読めるボリューム感。口紅にはその歳のドラマがある。憧れや、背伸びや、強がりや、励まし。口紅ひとつで気持ちが変わるからとても不思議で、わたしは1番好きだ。口紅に負けない自分でいたい。

  • 口紅って滅多に塗らないけど、ほしくなった。

    子供のころ、私もたしかに鏡台に座る母が知らない誰かに見えていた。少し怖くて、少し羨ましかった。
    しわくちゃの祖母に、口紅を塗ってあげたとき、綺麗だと思った。

    今年の誕生日、夫に口紅をねだってみようかな。

  •  母が出かける前に塗る口紅、死んだ祖母に塗られる口紅、高校卒業時男性からプレゼントされた口紅、結婚式で義母からのプレゼントの口紅、母になり一人の女性に戻るための口紅、17歳の娘の誕生日に贈る口紅、病の夫を見舞う日の口紅、介護士に塗ってもらう口紅。春奈にとって、人生の折々での口紅との関りを描いた小説。角田光代「口紅のとき」、2012.1発行。

  • 1、  6歳  2、 12歳 3、  18歳  4、 29歳 5、  38歳  6、 47歳 7、  65歳  8、 79歳 9、  ちいさなドラマ
    これら9篇が収録されていて全編口紅にまつわる短篇集です。

    活字も大きく、一篇一篇が短いですが、内容が濃く読み応えがあります。

    それぞれの短編を読みながら、すぐに脳内映像が現れ、まるでドラマを見ている様な気持ちにさせられました。

  • なんだか胸がきゅんとなる本でした。写真があって文章があっての本。紅をさす、とはいうけれど、太古から女と口紅は切っても切れない関係なんだろうなとふと思い。私も毎日死に化粧にならぬよう、ちゃんと塗ろう……

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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