人はなぜ依存症になるのか 自己治療としてのアディクション

  • 星和書店
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791108435

感想・レビュー・書評

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  • 著者が1970年代より唱えていた「自己治療仮説」が最新の知見も含めてまとまられた総説本。訳者の松本先生の脳力か、すごくこなれた日本語で読みやすい。「患者の生活から単にアルコールや薬物といった『モノ』を除去し、管理することだけが依存症治療ではない。依存症治療は、痛みを抱えた一人の人間の支援、『ヒト』の支援でなくてはならない」「感情調節と愛着の障害、および不安定な自己愛からなる心理的脆弱性こそが、人を物質使用障害へと傾かせる要因である」「彼らは、自分には理解できない不快感を、自分がよく理解している薬物が引き起こす不快感へと置き換え、それによって、コントロールできない苦悩をコントロールできる苦悩へと変えている」と薬物に依存することは決して単純に快楽に溺れているわけではないのである。

  • ・アルコール乱用者は、とくに内気な性格で、普段は内に秘めているものが、アルコールの中枢神経作用によって、爆発してしまう懸念がある。

  • 自己治療仮説について、言葉は知っていましたが、より深く知りたくて本書を読みました。

    もっと早く読んでおけばよかった、と思いました。
    一章一章コンパクトにまとめられているので読みやすかったです。本書が出版されてから10年。世の中への周知はまだまだこれから、というもどかしさと、読み始めるまでに何年もかかった自分の怠惰を思いました。

    あたたかく応援していく、励まし合える世の中に向けて、この本からの学びを活用していきたいです。

  • 立ち読み

  • 快楽を求めるためにおぼれるのではなく、苦痛をまぎらわすために耽溺する。この違いの大きさに気づかされた。
    苦痛を紛らわすためならば、アルコールやその他の害を訴えてもクライエントは動かない。苦痛を紛らさすためならば、それによってどのような「利益」を得ているのかという視点が出てくる。そして、耽溺することが問題なのではなく、そうせざるを得ない環境などが本当の問題ということになる。

  • 依存になることによって「何がもたらされたか。どんなメリットがあったか」を考えることが重要である。「どうなってしまったか。」を詰問することは、あまり有用ではない。
    依存にならなくては、生き難くてどうしようもなかった。その背景は何か。PTSD、発達障害、統合失調症、その他。
    その状況を打破するための自己治療として、自己破滅的な依存に陥っていく病態。
    背景にある状況を改善しなければ、依存は繰り返す。
    依存は、意志の弱いダメ人間に生じるという従来の考えを超えて、理解・治療につなげる重要な提言がなされている。

  • アディクションについて勉強のために読む。文章は私でも読みやすくて、あっという間に読んだ。

  • ていねいすぎるほどの「自己治療仮説」の内容、初めて聞いた言葉ではあるけど、
    そんなん当事者はみんな説明できないだけで、感覚としてあたりまえに持ってるものなんじゃ?という感想。

    とてもわかりやすく読みやすく、意外とするする読みました。
    さらにもうひとふみこえした治療内容とか援助方法とか、セッション事例とかも紹介してほしかったけど、
    これは入門書だからかな、ざんねんだけどしかたない。

    当事者会やグループ療法、効果あるんだなあ。
    人のつながり、仲間のつながりなんだなあ。

  • 自己治療仮説について


    2013.12

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