- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794210050
感想・レビュー・書評
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新大陸が発見され、それまでなかった梅毒がもたらされたというのは以前から知っていたが、実はその逆が多かったというのは初めて知った。
文明は人種・民族ではなく、自然環境的要因であると言い切ったダイヤモンド。
これは、レヴィ=ストロースが、「野生の思考」で実は思考構造は、未開人(と西洋人が思っている)と西洋人の間で何も変わらないと言及した衝撃と通じる物だろう。
とくに白人優位主義の人には信じがたいかもしれない。
日本人は、西洋礼賛の傾向が強いが、これを読むと東洋に向くかもしれないと思う。
そして、産業革命以降の世界でしか物事を見ないという今の世の中の傾向、つまり今の状態が当たり前だと思う見方が、いかに狭い物か解る。
これからの世を考えるための参照書となるだろう。
私は、この後の「文明の崩壊」も読む予定。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
.2010/11/07
朝日新聞 書評から -
環境と成長、まさしくレヴィ=ストロースの構造主義的な概念です。人類の歴史を俯瞰すれば現代社会に起こっていることも高い視点から見ることができるのではないでしょうか。
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病原菌の話題がキー。
その前ふりとしての上巻。
家畜の概念や人はペットが好きのくだりがおもしろい。
下巻も読みたい。
文章は読みやすいが
定義や仮説が濃いのでけっこう頭つかう。 -
なんでスペインがインカを滅ぼし、インカ帝国がスペイン滅ぼさなかったの?ってな疑問に「育ってきた環境が違うから~それくらいはしょうがない」って答える本。Civ好きの僕はいつか読もうと思ってたけどよかったよかった。
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日本もそろそろ積極的な移民受け入れ政策をとらなくてはならない局面に来ている。そんな中、気になるのは特に西欧で高まっている移民排斥の風潮。豊かな先進国の住人は、貧しい国から来る人びとを蔑視する傾向があるようだ。
しかし、本書を読めば、世界の富の偏りは、そこに住む人びとの資質のせいではないと、よくわかる。すべては地理的条件によって決定したのだ。
ユーラシア以外の大陸・地域がこんなにハンディキャップを背負っていたとは知らなかった。
さて、上巻。今までの歴史観がすっかり変わってしまう、刺激的な知識がいっぱい!
序盤のハイライトは[第3章 スペイン人とインカ帝国の衝突]。
なぜスペイン軍は圧倒的多数のインカ人に圧勝したのか、その逆とはならなかったか。武器、馬、インカ人の王への忠誠心、いくつもの要因があるけれど、決め手には虚を突かれた。へええ〜。歴史映画のようにドラマチックな内容だけれど、著者の筆はあくまで事実に即し、冷静だ。
穀物の生産の章もなかなか興味深かったが、動物の章も面白い。
[第9章 なぜシマウマは家畜にならなかったのか]によると、野生動物を家畜化するには、いくつもの厳格な条件を完全にクリアする必要がある。「シマウマにはいったん人に噛み付いたら絶対に離さないという不快な習性があ」るのだそうだ。
[第11章 家畜がくれた死の贈り物]は、タイトルにある病原菌について。
確かに現在でも、新しい感染症はたいてい家畜由来である。昔の梅毒と今の梅毒とでは毒性が格段に違うとの記述など興味深い。著者が病原菌の主観になりかわり、都市こそが繁栄のための最高の環境と言い放つくだりなど、グローバル視点にもほどがある、と笑ってしまった。
実は下巻ももう中盤まで読み進めているのだが、どうやら上巻の方がキャッチーで心惹かれる内容が多かったかな?
しかし、今までの各論が総合されて新しい視点がひらけるかも、と期待している。 -
「文明の生態史観」によく似てる話のような気がするけど、とてもよくできた読み物だと思う。印象的だったのはパプアニューギニア人が現在地球上で最強なんだけど世界は征服しえないという話。
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プロローグ ニューギニア人ヤリの問いかけるもの
第1部 勝者と敗者をめぐる謎
第2部 食料生産にまつわる謎
第3部 銃・病原菌・鉄の謎 -
組合図書
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2010/07/31
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p.234
われわれは、成功や失敗の原因をひとつに絞る単純明快な説明を好む傾向にあるが、物事はたいていの場合、失敗の原因となりうるいくつもの要素を回避できて初めて成功する。 -
現代の地域間策差の原因を食料生産の開始時期の差に求め、そもそも何故食糧生産の開始時期に地域差が生じたかまで遡って解き明かしていきます。
予想していたより読みやすく、特に病原菌について触れた後半からスピードが上がりました。 -
1361夜
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Amazonの評価に違わず面白かった。アフリカ、アメリカ大陸、アジア、オーストラリア、ニュージーランドに到達した時点でのヨーロッパ人種の優越は何だったのかを、人類の誕生から現代に至るまで色々な視点から丁寧に読み解いていく評論(?)で、本当に面白かった。
並行してマクニールの『世界史』も読んでいたけれど、文化史的な側面をより詳しく論じた内容なので、頭の中でいろいろ確認しながら読み進めた。
私はただの日本史人間で、世界史は高校で授業を受けたきりなので知識が非常に偏っていて、今回は特に家畜や食用穀物の存在が文明発祥に果たした役割の話は目からウロコが落ちる思いだった。
もちろん、その「理由」がわかったからといって、何がどうなるわけでもないのだけれど、将来・未来の展望については、同じ作者が別にまた面白そうな本を書いているので読んでみる予定。 -
思ったほどではなかった。
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<メモ>
「発明は必要の母」なのである。p52
功績が認められている有名な発明家は、必要な技術を社旗阿賀ちょうど受け入れられるようになった尾t期に、既存の技術を改良して提供できた人であり、有能な先駆者と有能な後継者に恵まれた人なのである。p56
・社会によって発明の受容が異なる理由
1.労働力の獲得の容易であるか否か
2.知的所有が保証されているか否か
3.技術訓練の機会の有無
4.発明収入の獲得性の強度
5.投資の回収可能性
6.発明の失敗可能性へのスタンスの強度
7.科学技術的な観点の有無
8.異文化の受容性
9.科学技術への宗教的慣用性
11.戦争による技術革新の促進性
12.政府の受容性
13.気候条件
14..資源の所有の有無
p63
今日、科学技術は、ヨーロッパからイスラムに流れている。しかし、中世にあっては、圧倒的にイスラムからヨーロッパに向かって流れていた。この流れが反転したのは、西暦1500年以降のことである。p68
・人類の科学技術史は、自己触媒の過程の格好の例である。p76
・技術発達へ影響を及ぼす3要素>食糧生産の開始時期、伝播上の障壁、人口規模p80
・人間社会の変遷
1.小規模血縁集団
2.部族社会
3.首長社会
4.国家
p88
人間社会の展開に影響を与える4要因
1.動植物種の分布状況
2.大陸の形状(南北に長いか東西に長いか否か)
3.地理的な孤立性
4.大陸の巨大さやと人口数
「Sience」とは分野にかなった方法で得られる「知識」を意味している。p322
何かの経緯を明らかにすることはその結果得られた知識をどう役立てるかとはまったく別の問題である。p23
・農耕によって食糧生産と余剰食糧の蓄積が可能になり、余剰食糧の蓄積が日生産者階級の専門職を養うゆとりを社会に生み出し、技術の発達を可能にしたのである。p42
・ポリネシアの社会の多様性への環境的影響要因p84
気候、地質、海洋資源、面積、地形、隔絶度
・人口密度の増加→複雑かつ専門化した集団の発生
・定住生活→出産間隔の短期化→人口の稠密化
・「招かれる人は多いが、選ばれる人は少ないマタイの福音書22章14節 -
人類の勝者と敗者、征服民と非征服民を分けたものは何か、ということを有史以前に遡って検証。9章、なぜシマウマは家畜にならなかったかなど、非常におもしろかった。
とても解りやすく(時にはくどすぎるところもあるが)、丁寧に書かれている。それにしても、病原菌侮りがたし! -
妹さんに貰った。なんか面白い予感まだ30ページしか読んでねえ。
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現代社会は不均衡に満ちている。西洋文明は地球上を席捲し、富めるものと貧しきものの格差は大きい。このような不均衡を生み出した要因は何か。西洋文明を生み出した人々が優秀だったからなのか。あるニューギニア人は著者に尋ねた。「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか。」 この問いに答えるため、人類が辿った歴史を改めて検証する。
プロローグにある、「歴史は、異なる人びとによって異なる経緯をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」、が著者自身による本書の要約。これを説得力のある結論とするために、様々な角度から歴史を分析し、最新の発掘調査や年代測定などの結果もふんだんに盛り込んで、論証を積み上げてゆく。 -
文明によって勢力に差があるのはなぜか?どうしてヨーロッパの文明は他を圧倒するに至ったのか?その直接の理由をは、銃、病原菌、鉄、つまり、技術、免疫、社会システムにあるといえる。それら定住生活の開始や人口の増加を契機にして発達したものと捉える。さらに根っこを探るなら、環境の地理的条件の違いに行き着き、それこそが文明の違いを生んだ究極の原因だと著者はみる。
文明の違いの原因に迫るという壮大なテーマを、1万3000年という時間的視野で丹念に追っていく。著者は人種的、文化的違いに還元しようとする表層的な回答には与しない。そして、より根本的な因果関係を見つけるために、世界中の実例を取り上げながら文明の発展経路を解き明かしていく。
一方で、地理的条件以外の要因の影響はあまり考慮されておらず、地理的条件一つで大半が決まってしまうような決定論的な論調は納得のいかないところではある。多くの要因が複雑に絡まって発展の経路が決定されるものだと思うし、偶然の産物がその後の経路を大きく変えることもあると思う。実際の条件の複雑さは著者も指摘してはいるから、これから先の研究で明らかにされていくんだろう。
そういう納得しにくい面はあるにしても、これまでの文明論と違った時間的にも地理的も規模の大きい本だった。表層的な問題にとらわれないで、全体感とディテールを同時に捉えていく姿勢は広い視野を与えてくれる。 -
感想下巻に記載。
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どこがどういいのか理解に苦しむ。ページを開くたびに寝落ちする。
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●100704
今、話題の書。
本屋を覗けば、「知的興奮が得られます!」というコメントともに本書が平積みになっている。
何でも本書が「2000年~2010年でもっとも素晴らしい本」ランキングで1位に選ばれたらしい。
このランキングの結果およびそれに対するコメントについて、僕は「大賛成」です。 -
【配架場所】 図書館1F 361.3/D71
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上下巻まとめての感想。
要約すると、「文明の発展の不均衡は人種の問題によるものではなく、地理的条件でしかない」という話。
学術書のような感じで、検証が詳細。しかし、丁寧すぎて同じことを何度も説明されるようで読み飛ばしたくなるのが難点。 -
何故世界の国は、侵略する側とされる側に分かれてしまったのかを、たった一冊(下巻も合わせれば二冊)で説明してしまった、名著中の名著。
この本は内容も然ることながら、学問とはこうして究めていくべきだ、という道筋を、後世の人々に残したことが、一番の功績ではないかと思う。
自分の中に浮かんだ疑問を、どういう形で答えまで導いていくか。その方法論を読む中で、「なんとなく」わかるように示してくれている。
そのおかげで、私達はこの本を読みながら、学ぶ手順を自然と心に刻むことができる。
この点が実はこの本を無類の名著にしている。
目に見える答えをもたないビジネスマンの課題解決に効果はテキメンであろうし、もちろん、高校生や大学生にとっては、ほんとうの学問とは何かを気づくきっかけとなることもできる。
直接は触れてはいないが、人種差別や、選民主義が根拠の無い絵空事だともわかる。
歴史的作品。 -
図書館で予約後3ヶ月ぐらいかかって上巻が手元に。
本作は
「なぜヨーロッパが世界を征服するに至り、アジアやアフリカ、南アメリカ辺りが世界の中心になれなかったのか。それはヨーロッパの人々が優れていたからなのか、いや、それは違うだろ」
という視点の元に書かれています。
上巻は主に狩猟生活から定住生活に移っていった過程でどのような変化が起きたのかを説明しています。当時の食生活や習慣、動物たちの移動経路なども細かく分析しながら、それぞれの民族が歩んだ道を説いているのがすごく面白いです。
重いタイトルに思われがちですが、決して難しい内容ではないのでぜひ呼んで欲しいです。新たな視点が絶対に身につくはず! -
10/06/02読了
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面白い内容なのに、1~2ページ読んでは爆睡。遅々として読み進まなかったなぁ~。(^^;)何でだろ?
内容は、地球上にいる人間、みな同じなのに、この格差はいったいどこでどうついたのか?
なんでも“最初”が有利なら、人類誕生の「アフリカ」の人たちが世界征服していてもおかしくはないのに、それをできたのはヨーロッパ人だった。
いったいそれはどこから、どうしてそうなったのか!?
面白くないわけがない、というテーマです。
人間の能力としての差はやっぱりほとんどないんだよね?環境の影響がかなり大きい。
そうしたところからついた差が、さらなる差を呼び、さらなる欲を呼び、人間が人間を征服していく…。
読み始めた段階で、あぁ…地球が狭くなってしまった今日の征服先を求めていく人間の性の行く先は、ダースベイダーなんだぁ…、なんてことを感じたのでした。