- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794972620
作品紹介・あらすじ
機能不全家族、貧困、精神疾患、自殺未遂など、
いくつもの困難を生き抜いてきた彼女が、
フェミニズムにたどり着くまで。
殴る父と耐える母、ハラスメントの横行、エロ情報の氾濫、あからさまな賃金格差、性犯罪におびえなければならない日常……。かつて1ミリも疑ったことがなかった「男女平等」は、すべてまちがいだったのか? もう黙ることはしない。体当たりでつかんだフェミニズムの物語。
小林エリコさんは団塊ジュニア世代。団塊世代の私たちが育てた子どもだ。女の子からここまで自尊心を奪い、男の子がここまで自己チューにふるまう社会を私たちは再生産してしまったのか。でも、これは高い授業料を払ったけれど、「もう黙らない」ことを学んだ女性の闘いの記録。
──上野千鶴子
俺たち男こそ耳を傾けるべきだ。ジェンダー格差と自己責任論が作り出した、この地獄に加担しないためにも。
──清田隆之
「私は世の中が男女平等だと1ミリも疑っていなかった。しかし、それは全て間違いであり、それに気がつくのに私はとても時間がかかった。男女が平等でないと教えてくれたのはフェミニズムだった。フェミニズムを知った時の衝撃を例えるなら雷に打たれたような感覚とでも言えばいいだろうか。男女は平等でないというパラダイムシフトは私の中の壁を瓦解させた」(「はじめに」より)
【目次】
はじめに
第一部
1 父は王様、母は従順な家来
2 脂肪よりも筋肉が欲しい
3 母のようにはならない
4 この国の男たちは狂っているのかもしれない
5 平坦な地獄が待っているだけ
6 彼らはなにもしてくれない
7 男より弱いものになるということ
8 この理不尽な怒りをどうしたらいい
9 ノラのように
10 エロとパチスロのハイブリッドな漫画雑誌
11 母の幸せは私の幸せじゃない
12 自宅とデイケアを往復する日々
第二部
13 寂しいから一緒にいるだけ
14 最低で最悪のカップル
15 世界で一番情けない生き物
16 あなたは生活保護がいいと思う
17 ただ一人で暮らしているだけなのに
18 そこにはフェミニズムがあった
エピローグ
感想・レビュー・書評
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本書を含め、小林エリコがこれまでに出したエッセイ集を私は全部読んでいる。
(ほかに、『この地獄を生きるのだ』『わたしはなにも悪くない』『家族、捨ててもいいですか?』『生きながら十代に葬られ』)。
5冊とも、彼女自身のこれまでの人生が素材である。
それぞれに異なる角度がつけてあるし、文章の使い回しなどはないが、それでもエピソードの重複は随所にあり、さすがにマンネリ感がある。
本書に出てくる話も、デイテールはともかく、大枠としては既知のエピソードが目立つ。
本書の場合、タイトルのとおりフェミニズム的な色付けがなされているので、それが旧著とは異なる角度づけになっている。
幼少期から近年に至る人生に起きた出来事が、フェミニズムの観点から捉え直されているのだ。
ただ、精神を病んでデイケアに通うようになってから、そこで出会った彼氏「よっちゃん」との日々は、エッセイ集では初めて明かされたものだと思う。
かなりの紙数を費やし、赤裸々に綴られる2人の関係は、なかなかすさまじい。「私たちはきっと、最低で最悪のカップルだったと思う」(145ページ)とあるとおり、恋愛らしいロマンティックなムードなど微塵もない。
著者はこの彼氏(とすら呼びにくい)との関係を、よくぞ書いたと思う。私小説書きにもここまでは書けない。
著者が出会ってきた男たちが(家族も含め)あまりにひどすぎるので、読んでいてつらくなってくる。
それでも、とてもリーダブルであり、印象深い読み物に仕上がっているのは、著者の筆力の賜物だろう。 -
著者の精神疾患が読んでいる方も辛かった。エピローグが一番良かった。上野千鶴子さん、フェミニストについて、共感できる言葉が多かった。男女平等だと信じてやまなかった子ども時代はもう終わり、世の中の理不尽さや不平等にうんざりしている今。世の中そろそろ変わってくれよ〜と思うがさて、私に何ができるか。どうしてらよいやら。
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リアルさの問題かいつの間にかフィクションかなと
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文章が読みにくいところもあったけど、それも含めて感情がこもってると思った。
かなり前に読んだ「再貧困女子」にも通じてるところがある気がした。何かのきっかけで「弱者」になってしまうとそこから抜け出すのは至難の業だったりする。この著者がにとって自分が「弱者」であることとは、「女性」であることなのだと思う。
ジェンダーの問題は根深いけれど、この著者への「ジェンダー」への疑問や怒りは相当なものを感じた。正直共感できないところもあり、「ここまでか…!?」とか、「なんで嫌だと断らないんだろう…」と思ってしまうところもあった。けれど、この時代に植え付けられてた「女性らしさ」も起因しているのかもしれない。そしてこうやって疑問を持ってくれている女性がいたからこそ、私が共感しきれないと思えているのかもしれない、とも思った。
そして、よっちゃんマジでくそすぎた。
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2023.11.3
フェミニズムもう勉強中の身ですが、とくに新しい知見は得られなかった。
精神障害者の負け犬の遠吠えにしか思えない私は、きっと著者が「嫌い」な女の生き方をしているからなんだろうなぁ。
1人の男性に心から愛され、結婚して愛おしい子供を持っている私は、著者からしたら「つまらない」人生なのだろうか?
ただ、フェミニズム観点から見るとやはり、著者がこんなにも「底辺」のような人生を送っている一番の起因は、幼少期の実兄からの性虐待だろう。
その点に関しては、日本は早急に対処すべきだと強く思う。 -
筆者の人生をなぞりながら、誰しもが経験したことの有りそうな、あるいは経験してしまいそうな(あまりにエスカレートした場面もあるが)シーンがたくさん挙げられている。女性が傷つくことの多くは、男性側の想像力不足から来るように思われる。想像力の足りない私も、普段の生活から、そしてこういう本から、相手の立場になって考えるということを癖付ける必要がある。
個人的に、女性が男性からジャッジされる社会というのは何とかならないのかと思う。私など、ジャッジする資格も有していないと思うのだが。単に着たいという理由とは識別が難しいが、男性に見られるためのファッションなんて辞めてしまえば良いと思っている。 -
自分が田舎でも都会でもないところに住んでいるから?恵まれた環境だったから?あんまり「女だから」という差別や葛藤を感じずに生きてこられているなぁと実感。鈍感なだけなのかな?
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女性に降りかかる理不尽な性差別がありありと書かれている。不当な事を不当であると言える世の中になってほしいと切に願う。作者のPTSDが性差別をより一層助長しており、弱者になればなるほど世の中は住みづらく理不尽である事を物語っている。女性が社会的弱者だと初めて気が付いた。
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ジェンダーってなンダー?
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法の下で平等とうたわれてきた男と女。
それを信じてきた著者だが、家庭内DV、ハラスメント、貧困を体験して男女の格差に気づく。
黙ることをやめた著者のフェミニストとしての奮闘を1冊の本にまとめる。
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