君の名残を

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (585ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796641333

感想・レビュー・書評

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  • この本を読んだのは随分昔のことだ。
    就職活動で門司港から大阪へ向かうフェリーの中で、
    熱で朦朧とした中で寝付けずに読んだ。

    内容としては現代から過去(平安末期)へ遡り、歴史上の人物、
    まさにその人になって歴史的大事件へと身を投じることになる、
    といった話。

    平安末期の歴史の内容のちょっとした勉強にもなるかも。
    冊子が美麗で個人的に好きです。

    「君の名残を」忘るることができれば良いものを。
    それがあたはぬが故に苦いのだ。

  • 読み終わった後、しばらく涙が止まりませんでした。

  • 人に「好きな本はなに?」って言われたら、
    必ずこの本を答える。

    現代から時を越え、舞台は源平の時代へ。
    現代の高校生が「時」に操られ、武蔵坊弁慶・巴御前・北条義時となる。
    そんな突飛な設定に違和感を持たせないほど、
    出てくる登場人物の価値観や、放つ言葉が真摯で、美しい。


    深くて、儚げで、でも信じられないほどものすごく強くて。
    この世界観があまりに素敵過ぎる。
    人を大事に思うこと。
    人を愛すること。
    自分を、そして生きる「時」を追及すること。

    ぜんぶこの本に教わった気がする。


    離れ離れになった登場人物たちが、
    ふとした場面からすべて引き合わされていく。
    その様子はまるで、
    細い糸が縒り合わされて一枚の完璧な美しい絹を織り成しているよう。

    この構成は、とても不安定なようにみえるけれど
    揺らがない強さをもっている。

    あまりに素敵過ぎて、美しさと切なさが背反してる。


    一生、傍らにおきたい本です。

  • 主人公たちがもう少し歴史を知ってっても・・・

  • 現代から過去へ。。。
    辿るだろう運命を、
    歴史という名で知っているからこその
    苦悩や葛藤。。。

    与えられてしまった運命の中で、
    抗いながら、前を向いて歩いていく。。。

    大切な人との限られた時間の中で、
    一体何ができるだろうか。。。

  • 図書館で借りて読了。

    現代の三人の学生が、雨の日に突然源平の時代に飛ばされる。三人はそれぞれ歴史上で名を馳せる人物となり否応なく歴史という運命の流れに巻き込まれていく。

    エピグラフの謡曲「巴」からの引用が素敵だったので期待して手に取っただけに読み終わってちょっとがっかり。

    歴史ものというのは流れと結論が分かっているだけにキャラクターに魅力がないとなかなか読み進められないのだけど、この物語は主要人物が四人居て、それぞれのキャラクター造形が自分には少し薄く思えてあまり魅力を感じず、中盤で読むのが苦痛になった。
    登場人物がどういう結末を迎えるのか決められてしまっているだけに、途中の戦の部分は教科書とか説明文を読んでいる感じ。歴史としてそれぞれの役割、という面では興味深いところもあったけど…。あくまで歴史の流れのために登場人物がいる、という形になっているので、途中で飽きてしまった。最後まで一応読んだけど、歴史と運命を絡ませるなら焦点を一人の人物に絞られていたら良かったのになぁ、と思った。

    ところどころ惹かれる部分もあっただけに残念。自分に合わなかったんだと思う。

  • 源平合戦に女子高生とその幼馴染がタイムスリップ。
    どこの遥かなる時空の中ですか、と思いながらも嫌いじゃない。
    北条義時(四郎)の絡みが少し弱いような。
    タイムスリップの理由付けも個人的にはいらないような。
    まんまと泣いたけどね。

  • 作品の世界が大好きで、長野県の木曽町に行ってしまったほど。

    とりあえず、一度読んでみていただきたい。

  • 時の定めは残酷だ。

    長くて中盤少しだれたけど、ほぼ全編を通して惹きこまれた。
    始まり方も良かったな。

    戦の世に生きる男達の、その生き様はなんて眩しいんだろう。
    義仲の友恵を思いやる優しい心根と、戦いに果敢に飛び込んでいく強さと凛々しさに、心打たれた。
    武蔵や覚明の話も良かったけど、断然義仲と友恵の話が良かった。
    どうにかして運命から彼を守ろうとする友恵の必死さがひしひしと伝わってきて、やるせない。

    それぞれの人間模様がこれでもかと交錯し、随所に見せ場を持たせる。
    でも志郎はいてもいなくても、良いような・・・?

    終わり方が少々気に食わない。
    彼らが現世で生まれ変わって再会して欲しかった。


    「『よし我らが水の流れなら俺は激流になろうと思う。この木曾を古今に類のない激しい流れとしてみせる』
    義仲は前を見たままだ。唇を結び友恵も肯いた。
    『―はい』
    殿のそばに。覚明の言葉がまた思い出された。
    そして友恵はその川の名を思う。

    ―人はそれを歴史と呼ぶのだ。」

  • 王道でありきたりなただのタイムスリップ物だと思わないで下さい。 痛い目にあいます。

    物語は、ある雨の日、下校途中の高校生2人とある1人の中学生が
    突然起こった雷とともに姿を消し、源平合戦の只中にタイムスリップするところから始まります。

    その2人の高校生、友恵(ともえ)と武蔵は剣道をたしなんでおり、
    幼馴染同士でもありました。

    そしてこの戦国時代の中で二人は運命を分かち、
    友恵は駒王、後の木曽義仲とともに運命を乗り越えようとし、
    武蔵は後に源平の運命を左右する英雄、義経と生をともにします。
    そんな中で二人の剣の腕と、当時の人々の頭には根づいていなかった特殊な思考力が、義仲と義経、それぞれに影響をもたらし、
    義仲は類稀な剣術と神をも恐れぬ大胆な行動力が、
    義経にもまた比類なき剣術と団体戦を考えた天才的戦略能力が備わります。
    (ちなみに友恵は義仲の妻、つまり「巴」として存在し、
    武蔵は「武蔵坊弁慶」として存在しています。)

    このことは『時』にとって、時代が正しく進むのに必要な要素だったのです。
    だから時の意志は二人をあの時代へと誘ったのです。
    後に二人が迎える残酷で悲しすぎる運命を携えながら・・・

    そんな無慈悲な『時』に、たびたび主人公たちは思いをぶつけます。 「どうして自分でなければいけなかったのか」
    「何故こんな悲しい運命を背負わなければいけないのか」
    そんな叫びに時は答えます。
    ・・・その答えは、今の私たちにも十分響くものです。
    この『時』の言葉に、心を動かされる人も多いことでしょう。

    もう一人、友恵の親友の弟である、ある中学生もまたタイムスリップしますが、実はこの子がこの物語の要であったりもします。
    名前は志郎、後の北条義時にあたります。
    あまり出番はありませんが…

    もう一人忘れちゃいけないのが『時』の意志のままに任務を遂行する男、「文覚」。またあるときは「覚明」・・・と、
    同一人物ですが、彼は名前を変えながら、この時代を動かしていく人物達、つまり頼朝や北条政子、義経と義仲、そして友恵、武蔵、
    志郎を、時が正確に、問題なく流れるように導いていきます。
    (文覚も覚明も当時実在していました)。

    …と、めちゃくちゃ長くなった気がしますが、
    こんなごたごたレビューではこの作品の魅力は伝えきれません。
    いや伝えなきゃいけないんだろうけど。
    すこしでもおもしろそうだなーーとか、何かを感じたならば即購入されることをお勧めいたします 凄絶に!!
    …ハンカチは必須アイテムです。

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著者プロフィール

作家・翻訳家。東京大学文学部卒。レコード会社洋楽部ディレクター等を経て作家に。
著書に『四日間の奇蹟』、『君の名残を』(以上宝島社)、『黄蝶舞う』(PHP研究所)ほか、訳書に『安アパートのディスコクイーン─トレイシー・ソーン自伝』、『フェイス・イット─デボラ・ハリー自伝』(以上ele-king books)、マット・ヘイグ『ミッドナイト・ライブラリー』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、テイラー・ジェンキンス・リード『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』(左右社)など多数。

「2022年 『ボクのクソリプ奮闘記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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