ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796667678

感想・レビュー・書評

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  • 読みやすい文章でさくさく読める。
    この人はどうしてこうも嫌味たっぷりな人物を書くのがリアルなんだろう…

  • 速水先生にチュッパチャプスでできたブーケを

  • はじめて読んだ海堂尊作品。
    シリーズの名称こそ『田口&白鳥シリーズ』となっていますが、本作で主人公にあたるのは東城大学医学部付属病院救急救命センター部長・速水晃一。通称「ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)」。
    本作はミステリーの要素は薄いですが、日本の臨床に置ける危うい実態と、それに携わる現場の医師達の人間模様を緻密に書きだした良作であると思います。
    院内政治が主軸となるけれど、それを苦にさせない個性豊かな登場人物たちによって、わりと読者層はかなり広いのではないかと。

  • ドクターヘリは導入されるのか?!沼田の嫌なヤツっぷりにムカつき。
    続きが気になる。

  • 海堂尊によるメディカルエンターテインメントのバチスタシリーズ第3弾。「ナイチンゲールの沈黙」とほぼ同じ頃に救急救命センターで起きていた事件を描く。
    田口の元に届いた「ジェネラル・ルージュ」こと速水・救急救命センター長の収賄を告発する匿名の文書。確かに速水は経済観念を一切顧みない治療に加えて、不遜な性格と強引なやり方で周囲の顰蹙を買っており、病院の旧態依然としたメンバーから構成される「エシックス・コミティ」の恰好の餌食だった。

    今回のメインキャラクターである速水が格好良すぎて、久々にフィクションの人物に恋に落ちそうになった(笑)。
    前作「ナイチンゲールの沈黙」では批判されまくりだった「古臭くて紋切型のキャラクター作り」が逆に今回はビシっとハマっていて、速水の現実離れした孤高のスーパーヒーローっぷりが鮮烈だ。

    そんな速水単体の礼賛はさておき(笑)、今回も医療界に対する問題提起が山ほど詰め込まれている。
    救急医療という、営利の創出や適正な在庫・リソース管理といったことが非常に困難な分野が、病院の経営を圧迫している点。非常時にフレキシブルに対応することと、組織の規律を乱してしまうことの境界線。病院で行われている医療行為に対する倫理的観点からのモニタリングはどこまでされるべきか…等々。
    エシックス・コミッティの中心人物たちがかざす官僚的で何も成果を産まない禅問答は読んでいるこちらも苛々するが、現実的には医師という生殺与奪を握っている人間が正しい行いをしているかをジャッジする人間が必要なこともまた事実(という点は「ナイチンゲールの沈黙」の方で触れられている)。

    ☆を一つ減らしたのは、「ナイチンゲールの沈黙」と重なりあっている部分があまり良い効果を生んでおらず、むしろ「ジェネラル・ルージュの凱旋」の本筋となるストーリーをもたつかせていたから。
    最初は一つの物語だったのを、なんらかの事情(ページ数かはたまた筋が複雑になりすぎるからか)で二つに分けたのだろうというのは想像に難くないが、それであれば、この「ジェネラル・ルージュの凱旋」の時期を半年後でも1年後でもずらして完全に別物にすれば良かった。「ナイチンゲールの沈黙」のストーリー要素はこの作品では削ってしまっても大勢に影響のない部分だし、こちらを読んでからでは、この作品で起きている重要な事件の数々が「ナイチンゲールの沈黙」で言及されていないのはむしろ不自然だ。

  • 「ジェネラル・ルージュの凱旋」上巻、読了。
    「ナイチンゲールの沈黙」で歌姫が緊急入院した頃、田口の元に匿名の告発文書が届く。”将軍(ジェネラル)”の異名を持つ、救命病棟の部長「速水晃一」の癒着問題。その真相とは。。
    今回も面白い。前作の裏側で同時進行するミステリー。気になっていた姫宮の登場と、なんといっても速水の”城東デパート火災”にまつわる「ジェネラル・ルージュの伝説」が良い。田口と沼田の戦い、速水の進退の行方、これからというところで下巻へ。

  • 匿名で収賄疑惑に関する告発文が田口のもとに届いたことから始まるこの物語。   
    『ナイチンゲールの沈黙』と重なる時系列で展開される。   
    救命救急センターの速水部長にスポットライトが当てられている。

    告発文の疑惑は真実なのか?  疑惑の真相に迫ろうと下巻へつづく。

  •  シリーズ3作目。これはおもしろかった。ぼくとしては3作のうちの最上に推したい。最初の「チーム・バチスタの栄光」はほぼミステリ仕立ての謎解きの様相が濃かったのが、2作目の「ナイチンゲールの沈黙」へきて殺人事件は起こるもののミステリ小説性は薄くなり、本作になるとほとんどもうミステリではなくなってしまった。それで最上評価なのだから、ミステリ性とか謎解きとかばかりがエンターテインメントの要素ではないことがわかる。
     舞台は東城大学付属病院、主役として活躍するのはおなじみ田口講師、とくればもうそれだけで★4個は約束されたようなものだ。日常生活だけで十分楽しめる。とはいっても何事も事件が起こらなくては小説にはならないので、今回は救命救急センター速水部長の収賄事件が主題だ。といっても事件としては地味すぎるし、事実関係が明らかなので不思議要素はまるでない。
     読みどころは、倫理問題審査委員会とリスクマネジメント委員会のやりとりだろう。知らない人にはなんなんだそれは?だろうが、こればかりは読んでもらうしかない。丁々発止のやりとりがほんとにおもしろい。そして、なんといっても最後の大規模事故患者受け入れでのジェネラル・ルージュの再現シーン。ああ本書のタイトルはこれなのかと納得。速水部長がかっこよすぎる。
     本書の内容と「ナイチンゲールの沈黙」の内容は時系列的には病院内で同時進行しているので、両者に同じシーンが現われる。なので、あれこれは前に読んだようなというところが随所にある。2作を突き合わせてみてなるほどなるほどと読むおもしろさはあるものの、2作に分ける必然性があったのかという気がしないでもない。そういう関係なので、書評などで併読をすすめる意見もあるけれど、ぼくはそれほどは思わない。両者独立して読んでも十分だ。そして内容からは本作が数段上だと思う。
     ひとつ不満があるとすれば、花房師長の存在感が希薄なことだろうか。こんなに重要なキャラなのに。もうすこしエピソードを加えて肉付けしてほしかったな。如月はもちろん藤原看護師や猫田師長にすら存在感では負けているのがかわいそう。まあ結末がこれだからいいとするか(笑)。

  • 田口、白鳥、の第三弾。第一弾、第二弾と同じく、上巻に白鳥は出ない。
    TVドラマ見てたから、脳内再生がすごい。

  • ドラマも面白いですょ

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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