下剋上受験-両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!

著者 :
  • 産経新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784819112475

作品紹介・あらすじ

目指せ桜蔭!昼はガテン系仕事、夜は娘と猛勉強、そして朝まで娘のための予習…わが子に全てを捧げた父親の壮絶記録。中学受験ブログ人気NO.1著者の書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 試論、2冊同時感想。

    米国の繁栄から取り残された、工場撤退後の産業地域、通称ラストベルト(錆びたベルト地帯)。ここの白人労働者層の不満の鬱積が、トランプ旋風の推進力だったことは大統領選の報道で知られているとおり。

    その実情を余すことなく描いているという「ヒルビリーエレジー」を読んでいて、日本における参考文献は「下剋上受験」だと思った。こちらは、祖父の代から中卒の著者が、娘だけは違う人生を、と最難関中学受験にパパ塾で挑む記録文学(私としては躊躇いなく文学という言葉を使いたい)。

    この2冊のテーマは、ある意味において強くシンクロしている。
    テーマとはと言われると難しいが、自称「下層階級」に可能な「努力」とはなにか、といっていいかもしれない。
    そして、著者の才能もかぶるのだろうか、エリート社会を垣間見た自称「下層階級」が放つ乾いたユーモアのテイストまで一緒なのだ(テーブルマナーネタ、そして受験や就職の面接での痛恨の失敗などなど)。
    念のため、日本での出版年次は下剋上のほうが3年ほど早い。

    「いまの状態は、彼自身の行動の結果である。生活を向上させたいのなら、よい選択をするしかない。だが、よい選択をするためには、自分自身に厳しい批判の目を向けざるを得ない環境に身を置く必要がある」(ヒルビリー、p304)

    「私は今まで努力することを避けて生きてきた。その生き方を反省している。努力しようとしたことはあるがいつも挫折するのだ。結果に届くまでに諦めてしまうのだ。その生き方の中でなんとなく掴んだことがある。確かではないが、なんとなく思うことがあるのだ。『ブルドーザーのようにがんがん努力することは傍目には立派に見え誰もそれを馬鹿にすることはできないが、なぜか届くことなく終わり、その努力だけを褒められ、結果を褒められるには至らない』という理不尽な結末をなんとなく意識している」(下剋上、p152)

    もちろん、この2冊の人たちのように家族が支えてくれる幸運に皆が恵まれているわけではない。チャレンジしたくてもその機会さえない人もいる。
    しかし、社会が悪い、と善意の補助することでより事態が悪化する場合もありうることも、この、2冊はまた正確に言い当てている。

    難関中の受験を終えた父娘の会話には、何度読み返しても涙腺を決壊させられてしまう。土木工事の経験からだろう、このお父さんは「流路を変える」という言葉を何度も使う。娘の人生だけでも変える、そう、過酸化水素水を酸素と水素に変えるけれど自分自身は何も変わらないあの二酸化炭素マンガンのように、私は娘にとっての触媒になるんだ、と。

    ヒルビリーはより深刻で、幼少期の厳しい家庭環境がいかにトラウマとして残るか、という点に光があてられている。著者自身、薬物依存の母親に悩まされ続けてきた。
    著者が理想の伴侶を得て少しずつトラウマを乗り越え、今かつての自分のような境遇にある子どもたちに想いを馳せる最終章には胸が熱くなる。

    社会の分断を「貧しい善玉 対 悪いエリート」の対立構図で語ることを、一国の政党ですら恥じない今の世の中にあって、まだ突破口は残されていることを人々に伝え、必要な支援を惜しまない、そんな社会について考えさせられる2冊であった。

  • 受験というワードはどうしても気になってしまう。
    受験生を持つ(持っていた)親ってそんなもの。

    お父さんは中卒だったけど、凄く研究熱心だし根気もあるし、頑張ってたら絶対大学には行ってたと思う。
    こんなに子供と一緒になって勉強しようという親はなかなかいない。

    お子さんも凄い。途中で投げ出さず、お父さんと一緒に頑張って。小学生でその意気込みは、これからもずっと人生頑張っていけるはず。

    レビュー書くのに、作者を見たら、参考書も出してたとは。

  • 借りてみて、まずこのページ数にびっくり。そしてこの著者の文章のうまさ。小説を読んでいるような気持ちになった。単なる受験記とは、似て非なるものでした。
    最後らへんの、親娘のおたがいに対する気持ち、受験に対する気持ちが溢れだすところは、感動した。
    二〇一九年、続編をほのめかすラストは、めちゃくちゃかっこいい。

  • 中卒のお父さんが、娘を難関中学に受験させるという、なんとも破天荒な話。
    それも塾頼みではなく、親塾と称してお父さん本人が教える役となるため、猛勉強をするのだから凄い。

    中卒とは思えないほどのウィットに富んだ文章力で、するする読める。
    これがこの1年と5ヶ月の成果なのか。

    途中何度か涙ぐみながら読みました。
    頭も体も限界まで使い果たして、父と娘で一つの目標に向けて努力をし続ける。
    これ以上できないと言うところまで頑張り続ける。
    そうした姿そのものも感動するんですけど、一緒に走り続けたことで、受験中の娘の心中を慮るお父さんの気持ちや、勉強の面白さ、勉強の重要性を知るお父さんが、失われた過去、戻れない昔を思い涙する気持ちに胸が痛みました。

    私自身も、過去に頑張れなかった人間。
    今は学ぶことの面白さを知ったけれど、あのときは頭の中がむちゃくちゃで、勉強なんて出来なかった。
    すごく、共感しながら読んでいました。
    努力や根性なんて古いと言われるのかもしれないけれど、身と心を削ってでしか得られないものがあって、自然と涙腺にくる。

    勉強することの本質や、お父さんの独自の戦略も面白く読めた。
    物事の本質をついた分析で、ハッとさせられるフレーズも多い。
    子供をやる気にさせる親の言葉は、子育てをする人にも響くと思います。

    とにかく完走したことが本当にすごい。
    お父さんも娘も。 

  • 2017.01.13 放送開始
    2017.05.22 朝活読書サロンで紹介を受ける

  • 面白い‼️第1志望校には無理でしたが、お父さんお疲れ様でした。

  • ドラマ化もした内容。面白いが不器用さ無骨さを感じる。娘さんがよいこでよかった

  • 桜井真一氏は本質を見抜く目を持っている。

    コツコツ努力しているのに届かない子と楽々受験を突破していく子の違い。超一流の壁は「アウトプットを前提としたインプット」ができているかどうかだという桜井氏の結論は正にその通りだと思う。

    また、受験で親が子にしてあげられるのは、理想を掲げて目標を持たせることと勉強の楽しさを教えることに尽きるのだろう。桜井氏は、正にそれをやっていた。

  • 最近ドラマもやってるけど気になってた原作も読みました。
    だんだん子供に勉強教えたりすることも増えたので心得として?読んでよかったかな。
    この作者、中卒とかって自虐してるけど色々発想がすごいなー。情熱も。
    元々は賢いんだろうな、と感じます。
    奥さんの事バカにしてる感じが嫌だけど。。。

  • 中卒だからこそいろんな人生送ってきた
    その人が書いたものだから面白くないわけがない

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