- Amazon.co.jp ・本 (56ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834015843
感想・レビュー・書評
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作者のルース・エインズワースさんは「こすずめのぼうけん」というお話も書いていて、そちらも大好きです。
この作品に登場する黒ねこさんも、今目の前にいるかのような存在感。
嬉しいのは、表紙を開けると現れる絵です。
本編の前のサービス。
これって、画家さんからの贈り物なんですよ!
そしてもちろん最後にも…
絵が載っています。
すっかりお話は終わったのに、余韻を残すような小さな絵。
画家さんがこのお話に入れ込んだという証でもありますね。
Amazonに載っていた紹介文の一部をお借りしてみます。
『冬の嵐の晩、貧しいひとり暮らしのおじいさんのもとに、一ぴきの黒ねこがやってきました。
やせ細り、びしょぬれになってふるえている黒ねこを哀れに思ったおじいさんは、わずかばかりのミルクとパンを全て与え、さらにはとっておきの羊の肉までやってしまいます。
そればかりか、残っていたまきを全てだんろにくべて、黒ねこをあたためてやるのでした。 翌朝、黒ねこは、不思議な言葉を残して去っていきました。
「おじいさん、どうしてわたしをおいだしてしまわなかったのですか」。
そして、奇跡は起こったのでした……。』
受け止め方はひとそれぞれです。
でも私は、黒ねこにすべて与えたあとの、この一行が好きなのです。
「おじいさんは、とてもしあわせでした」
自己犠牲などというものではありません。
びしょぬれで、寒さと飢えで震えている黒ねこがやって来たとき、おじいさんは、助けないではいられませんでした。
黒ねこが満足そうに喉をならしてゆったりしていると、自分が空腹なのも忘れてしまうほど、おじいさんは嬉しかったのです。
分かち合う喜びを知っている人は、貧しくても幸せなんですよね。
黒ねこと交わすおじいさんの言葉も、心に残りますよ。
こちらも、深い味わいの挿絵で全編が彩られています。
ただ、お話会に用いたことは一度もありません。これからも無いでしょう。
大人が読んで良いと思うものと、子ども向けかどうかはまた別の問題なのです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
黒ねこは不吉だと、 西洋では言われているらしいですが、 それは、 なんらかの魔力を持っているということなのでしょうか。
真っ黒い体に緑色の目のねこ。 確かに、 なにか魔法を使えるように見えます。
週に一度の楽しみさえ、 ねこのために我慢してくれたおじいさん。 見返りは何もありません。
それなのに、 おじいさんは思うのです。
なんて心地がいいんだろう。 なんてしずかな気持ちだろう。 なんて心がいっぱいなんだろう……と。
ああ、 素晴らしいですねえ。
ノナはなかなか、 そういう境地に至ることはできないのですが、 そうありたいものだ、 とは思うのです。
おすすめ度 ★★★★★
よみきかせ やや適。 文章は平易ですが、 量は多め。 お話の芯の部分を理解できるのは、 小学校高学年くらいからでしょうか。 -
寒い夜におじいさんの元に訪れた一匹の黒ねこ。
そのねこは、弱っていて、お腹もすかせているらしく… -
こすずめのぼうけんと同じ作者の絵本。黒ネコ好きにおすすめの一冊です。
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貧しい家を訪れたみすぼらしい黒ねこが、おじいさんの心づくしのもてなしに報いてささやかな幸せをもたらす。
旅人が実は神さまだった、という昔話、神話は世界中にある。旅人を大事にするようにという教えなのか、貧しい庶民の願望なのか。水戸黄門だって謡曲の『鉢の木』だってこのタイプのヴァリエーションだ。だからといってこの話がありふれているとか水戸黄門に似ているとかいうわけではない。上質な児童文学には、昔話の骨格を持っていたり、伝説を背景にしていたりするものが多いのだ。
一夜にして女王の風格をまとう黒ねこが印象的。
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貧しいおじいさんの元にやってきたずぶぬれの猫。請われるままに僅かな自分の食べ物も与えて、冷えきった身体ながら温かなぬくもりを感じたひとときでしたが、最後に猫は…。児童文学の瀬田貞二さんが絶賛していたイギリスのエインズワースのお話に写実的な猫の絵がうまく溶け合っています。
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記念に
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感動。いいなぁ、猫。
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名作
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これで読書感想文書いた記憶が。
絵がとにかく素敵なんです。
初心に戻って読みたい絵本。