岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)

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  • 福音館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834081978

感想・レビュー・書評

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  • この人ってベジタリアンだっけ ムーミンにはなれんわ

  • うーん、馴染めない~マッドガイドウォーターの近くにあるサニークリフ・フリースクールの同窓生で舎監で教員でもある私は、ボートに乗って読書するのが趣味だが、ある日、カイツブリの巣で小さな生き物で出会い、ヤービを介して湖の岸辺に住む小さな生き物たちと交流を持った…~アメリカあたりのファンタジー小説を翻訳した雰囲気のシリーズ、2作目があるらしいが、私はもう充分

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000140455

  • いかにもな物語、いかにもな文体、いかにもな挿絵、そんないかにもな要素が集まり素敵な作品となっています。こんな作品がいま生まれた喜び、いま出会えた喜び。
    マッドガイド・ウォーターの岸辺に棲む小さないきもののヤービ。ウタドリ先生が偶然出会ったヤービから聞いた彼らの物語。ものを食べることに疑問を抱いたいとこのこと。ママを探しに冒険したこと。新しくできた友達とお茶会を開いたこと。冬ごもりの準備を始めたこと。
    ヤービが出会ったのが学校の先生、大人であることがこの物語の肝となるのかも知れません。例えば体の弱い女の子でなく、例えば好奇心旺盛な男の子でもなく。大人であるウタドリ先生に、小さないきものの中でも子どもであるヤービが起こったことを話す。そのため物語の語り手は小さないきものたちの世界を知らぬとも、聞くことでその世界を自分で再構築して我々に伝えてくれます。
    ヤービよりも少し高くから遠くまで見ることのできる大人の目で受け取っているので、ヤービ自身も気付いていないお話の奥にあるもの向こうにあるだろうものをも感じさせながら語られます。弱肉強食の食物連鎖のこと、変わりゆく自然環境のこと。あなたと私の繋がりのこと。それが世界の広がりとなり、より一層ヤービたちの息吹を感じさせるのです。
    ふだん本を読みながら映像化を望むことは少ないのですが、これはアニメ化されてテレビで放映されたらいいなと思いました。身近にこんな物語があればいいなと思うのです。心が豊かになるだとかなんだとかでなく、だってその方が楽しいですもの!と言いたいのです。

  • 日本人の作者が書いた日本語の小説と、日本語に翻訳された外国の小説では、どことはなしに違う雰囲気を感じます。で、「岸辺のヤービ」は、なぜか日本語に翻訳された外国の児童文学のような印象を受けました。
    本作の語り手でもある、初めてヤービと接触する人間が、ある程度齢を重ねた教師(ウタドリ先生)というところがぐっときました。人外と人間の遭遇ものって児童書界隈では幼い人の特権のような気がしていたのですが、こういうの、とてもいいと思います。
    おそらく次巻以降、子ども(生徒)達とヤービとの橋渡しをしてくれそうなウタドリ先生ですが、ヤービのひみつを明かす子どもの候補として、ある出来事に対し「感心」を示した生徒の組と「にやにや」した生徒の組からひとりずつ…という選び方を考案します。このシーンもすごく好きです。生徒のこと、ヤービのこと、少し俯瞰的な立場から見守りつつやさしく立ち回ってくれる、頼りになる語り手です。
    ヤービ達の生態が細かく記されているのも、童心にかえってワクワクできて好きです。ただ、彼らはかわいいだけのUMAではなく、生活があり、仕事があり、種族間のいざこざ、家庭内の問題だって抱えています。でも、殊更悲劇的な感じではなく、まあヤービ達にもいろいろあるわな、といった印象です。(なんとなく、ムーミン谷を思い出しました)
    物語では環境問題云々もにおわせていますが、ただ真正面から「環境破壊は生態系を壊す!よくない!」と説教する作品ではなさそうです。

  •  『だれも知らない小さな国』や『木かげの家の小人たち』のような小人が出てくる子どもの頃に読んだような物語を思い出した。ヤービたちの名前の呼び方から連想したのは、『ムーミン』。

  • すごく良かった!!本の装丁といい目次のタイトルのつけ方といい文体といい海外の児童書っぽいんだけどすごく読みやすかった!ヤービもかわいい!かわいらしいファンタジーのような話なんだけど、自然破壊とか食物連鎖とかの部分にも触れていて考えさせる話でもあるなあと思いました。

  • 図書館で借りたもの。児童書。
    マッドガイド・ウォーターシリーズの一作目。
    マッドガイド・ウォーターという湖の岸辺に住む、クーイ族の男の子・ヤービと、寄宿学校の教師・ウタドリさんとの交流を描く。

    不思議な小動物が出てくるファンタジーってところがもう、たまらないよね。
    表紙のヤービが可愛すぎて読む前からワクワクした♡
    「海外の児童書の翻訳」みたいな文章が好み。なんか懐かしい感じ。

    アリエッティを彷彿とさせる、ヤービたちの暮らしが読んでてすごく面白かった。
    ミルクキャンディをくだくシーンなんて最高!

    『ほのおの革命家がいったという、「このまま大きい人たちが世界を牛耳っていけば」とか、「植物や動物たちが生きていけなくなる」ということばが、なんともやるせなく、いまだ解決策の見いだせない宿題をかかえているようで、』
    人間のせいで自然環境が変わっていき、ヤービたち小さい生き物たちが住みづらくなりつつある。
    ずっと、マッドガイド・ウォーターで暮らしていけたらいいのにな。

    シリーズ作品ということで、二作目も楽しみ!絶対に読む!

  • 日本のムーミン!と、みなさん同じご意見ですよね。
    すてきー。

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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