私はフーイー 沖縄怪談短篇集 (幽BOOKS)

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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840148924

感想・レビュー・書評

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  • 表紙の絵で敬遠して
    なかなか手を出せなかった一冊だったけど、
    天使の絵などで有名な寺門孝之さんだったとわかってびっくり。

    沖縄の独特な方言が
    わからないことで逆に薄気味悪く、
    怖さを増幅させている。

    恐怖に取り付かれた人たちが
    妄想の世界へ引きずりこまれて行く様子が恐ろしい。

    わたしの好きな恒川ワールドとは
    ちょっと違うけど、
    いつものようにすーっと引き込まれ、
    怖いけどたのしく読めた。

  • 独特の湿気。
    この土地の闇の深さ、暑苦しさを彷彿とさせる怪談集。

    とはいえ、「怖!」というものではなく、どれもこれも人の体臭のする、じわじわと絞め上げるような、ひたひたと背後に迫るような怖さ。

    どれもこれも怖いというより、人間に対してのほのかなおかしみ、慈しみを感じさせる話でありました。

  • 恒川さんの沖縄怪談。怪談というより昔から伝わる民話といった方が近いかな。(本当にある話なのかは知らないけど)
    相変わらずの恒川ワールド全開。現実の地続きに異世界がある…この不思議な、不気味な雰囲気がたまらない。淡々とした語り口も良い。
    表題作が一番良かったかな。転生を繰り返す女の子の話。

  • かんかんと降り注ぐてぃだの光のイメージとは裏腹に歴史に翻弄され暗黒の闇をも内包する島国沖縄が舞台の短編集。
    だがそれはキジムナーやマジムンの類の伝統的な民話説話ではなく全くもって恒川氏のオリジナル、クームンやヨマブリなどあたかものそうであるかのような創作には改めて「巧いな」と素直に感心してしまう。
    とは言うもののそこは怪談専門誌「幽」の掲載作品だけにグロさやエグさが前面に出ており読後感はあまりよくない(亀甲墓やガマと殺人死体遺棄を結びつける発想はいただけない)
    やはり恒川さんには下手にテーマに縛られることなくあの独自の幻想的な世界感の作品を期待したいものです

  • 怪談集と言っても、単に怖いのでは無く不思議な感じでした。沖縄ならこんな事が有るかも…と思えるのは、恒川光太郎ならではでしょうか。

  • 沖縄を舞台にしたホラー。
    小説というより、遠野物語のような「こんな不思議なことがあった」だけで終わる話もあり、怖いというより幻想的。
    沖縄の独特の雰囲気が綿密に描かれていて、今まさに沖縄にいるような気分になれる。
    妖怪的なものはでてくるけれども妖怪という固有名詞を使わず、ただ”不思議なもの”として扱っているのも良い。害をなす”不思議なもの”もいるけれど、「夜のパーラー」を読むとやっぱ一番怖いのは人間だなという結論にいきつく。

  • 短編7作。
    逢魔時に、暗闇の潜みから見られているよう怖さと、夕焼けを見たときの切ないような気持ちが混在したような話集。
    最後の2作がとても印象的。

  • 沖縄怪談とあるけど化け物や幽霊の怖さはほとんどなくて、むしろ人間や人の世の方がずっと怖かった。人が人を裏切ったり利用したり殺したりする描写が多く出てきて、途中に戦争もある。その残酷さに比べれば、説明のできない不思議な存在は害なんか無いに等しい。
    印象的なのはクームンかな。逃げてきた子どもを怖がらせたりはしないクームンの優しさが土地の精霊のよう。
    大場君の話を聞いていたら後半可哀想で仕方なかった。ぜひとも違う人生を歩んでほしい。
    都市伝説みたいなチカコという女は違う意味で恐ろしかった。人間なだけにどこまでも狡猾になれて手に負えない。

  • 沖縄怪談短編集7編。
    「弥勒節」「クームン」「ニョラ穴」「夜のパーラー」「幻灯電車」「月夜の夢の、帰り道」「私はフーイー」

    戦争や戦後の政治による変革など歴史も絡められた沖縄の民話という感じ。怖さはうっすら。
    実際にある話が関係しているのかわからないけど、正体がハッキリしないままの展開は本当の民話にありそう。
    「弥勒節」「クームン」とかが好きかな。

  • 方言が程よく使用されていて、読みづらさはないのに「あれ?どういう意味だろう」と調べてみたくなるような上手さ。
    方言でよく分からないのも相まって「正体不明なもの」の怖さ、テンポの良さでさくさく読んでしまいました。
    ただ、「え?ここで?」というような終わり方をしたり...あまりスッキリするような話ではないので、民話の起源や理由を求める方にはあまり向いていないかも。
    個人的には山や村の古い風習等に興味があり読んでいたので少し残念ではありましたが、沖縄の鮮やかさや空気感が想像出来る神秘的な描写が多かったです。

著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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