イリヤの空、UFOの夏 その4 (電撃文庫 あ 8-9)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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感想 : 102
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840224314

感想・レビュー・書評

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  • 青春の終わり
    少年の無力感と全能感
    夏の入道雲

  • ディストピアでありながら、田舎の夏休みの雰囲気も味わえる、ザ・セカイ系小説。
    挿絵が少なく、ライトノベルというよりも、昨今のキャラ文芸に近い感覚でした。
    描写が上手く、戦闘シーン(?)の緊迫感は手に汗握るものでした。

  • 面白いけど好みではない。でも何故かやめようとは思えずページをめくる。読み進むほど好みから離れるのに読み続けてしまう。終盤好みに近づいたかと思ったが、結局離れてしまい終わる。しかし圧倒的な面白さだけが心に残った。
    問答無用の魅力に満ちた作品。

  • 夏休みはUFOが出るものだという新聞部部長・水前寺邦博の発言から、浅羽直之の夏休みは学校の裏山での張り込みに消費された。新学期前夜、浅羽はせめてもの想い出にと学校のプールに忍び込む。驚いたことにプールには先客がいて、手首に金属の球体を埋め込んだその少女は「伊里野可奈」と名乗った…。

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    ※シリーズ4冊読了しての感想です。

    全体的に疾走感があり、アニメを見ているような臨場感のある文体や描写を楽しみました。最初はアニメ向きな内容だなと思って読んでいましたが、終盤にかけて味わう気持ちは、原作だからこそ感じることができるものなのかもしれません。
    もう戻れないあの特別な時間に、あの年齢の私ができなかった冒険。本の中の主人公は、あの時の夢や冒険心を次々に現実化してくれる。懐かしい気持ちと、憧れと。いろんな感情が織り交ざって、ワクワクしながら読み進めることができました。

    ☆一つマイナスの理由は、番外編や本編にあまり関係のないエピソードで疾走感が落ちてしまうことがあったこと、また、描写やセリフなどに「中学生の男子感」というか、(主人公が中学生の男子だからという意味ではなく)ちょっとやりすぎ感を感じてしまうことがあり、個人的な好みとしては楽しめない箇所があったからです。

    とはいえ、面白くないと4冊も読まないので、最後まで読ませる筆力とプロットの良さは確実にあったのだと思います。
    ただ最後は・・・。こういう終わり方だから良いという考えもあるでしょうが、私の好みとしては「アナザーストーリー」が欲しいですね^^。

  • 素晴らしかった。夏に描かれるボーイ・ミーツ・ガールの元祖。

  • 終わってほしくない夏を、「終わらせる」行為。
    それがページをめくる僕らと、「UFOの夏」を駆ける浅羽の共通項に思う。

    読む前は知らなかったが、セカイ系御三家と称されるビッグタイトルでその名に恥じぬ王道展開。

    終点が明らかであるからこそ、かつての夏休みを追想する読者は、そこに至る道のりに失われてしまう/しまったもののノスタルジーを感じるのだろう。(この部分については冲方丁のサイトにある投稿感想が鮮やかに述べているhttp://lanopa.sakura.ne.jp/ubukata/index.html)

    話の大枠はよくあるもので結末も容易に予想がつくが、じ徐々に詳らかにされる設定が浅羽と読者の首を真綿で締め上げていく。フィクションの飽和する時代において、「味変」したにすぎないような作品が濫造され、それを惰性のままに貪る中で、これらの緻密なプロットや軽快で情感豊かな文章には目の覚めるようであった。

    王道なのに飽きさせない、読み進める手が止まらない、そんな作品でした。

  • 最後まで読ませてくれる作品。最後の方は涙すること間違いなしな展開で非常に良かった。
    本巻は特に最初の方は、イリヤと浅羽の逃避行話。残念だったのは、部長が捕まった後の話や、イリヤvsエイリアンの戦いがどうなのか、榎本が描いたシナリオが何なのか、等を書いてほしかったところ。部長にせよ、晶穂にせよ、最後の方空気になってしまっているので。

  • 「最終兵器彼女」「ほしのこえ」と並ぶセカイ系の代表作。セカイ系って何?となったら、これっていう感じですね。

  • 夏の終わりと同時に、何事も無かったかの様な日常に戻ってしまった。
    でないと、彼等は前に進めないよね。

  •  読了し、今までの物語を振り返った時に、まるで自分が経験したかのようなノスタルジーが襲ってきた。それは、2人の物語が終わり、その先は無いというエンディングだったからだろう。未来を想像するではなくて、私は過去に想いを馳せた。セピア色の思い出が、じんわりと蘇ってくるのは、著者の文体のなせる技だろう。
     浅羽は逃げ出す。何か分からない物と戦っている少女を救うために。読んでいても、上手くは行かないだろうなとは思っていた。だけど、イリヤが親しくなったホームレスに襲われるところで、浅羽が橋の下でエロ本を見ている演出にするとは中々に酷い。そして、浅羽は襲われたイリヤを見て、いくつかミスをした。それは、すぐにイリヤに近づいて助けないで、ホームレスを襲いに言ったこと。何もされてないと言う、イリヤを信じて優しい言葉をかけてあげなかったこと。浅羽は、優しい言葉どころか暴言を吐いてしまって、イリヤは壊れてしまう。もともと無理な旅で、普通の少年である浅羽がやっていけるわけがなかった。聖人や偶然は現われなかった。
     浅羽は普通の少年で、ラノベにありがちの魅力の分からないな人だ。そして二人の関係は、恋愛にまで発展はしてない。イリヤが浅羽を好きになったのは、雛が最初に見たものを親だと認識するのと近いと思う。もしかしたら榎本が仕組んだのかもしれない。榎本の権限は年齢に合っておらずかなりのことが出来る、仲間たちがどんどん死んで自分だけが残って、出来ること人がいない場合も考えられる。そして、イリヤにも仲間というものを、大事な存在を与えたかったとしてもおかしくはない。
     榎本という人物を、10代の時には分からなかったと思う。彼も世界と少女を天秤にかけている存在で、表面上は冷静に少女の方をベットしていく。イリヤへの思いもあることは十分分かる、だけど世界も助けなければいけない。だから、イリヤと浅羽の仲を取り持った。イリヤには守るべきものが必要だと本当に思っていた。
     本作の上手いところは、UFOだとかはオカルト的に語られて、北との戦争がいつ起こってもおかしくなくて、イリヤはその戦いに参加していると思わされていた。なので、いきなりエイリアンとの戦いがあると読んだ時に、上手く誘導されていたと感じた。そうすると、水前寺が見たものもエイリアンだったのだろうか。
     エンディングでは、イリヤは浅羽の告白を受けて、世界を守るために飛んでいく。これは、イリヤにとって幸せなエンディングだったろう。好きな人が出来て、学校に行って友人も出来て、好きな人とは喧嘩もしたけど最後には告白してくれた。イリヤは心の底から、この世界を守りたいと思って飛び立った。色々な感情が渦巻いていたが、やはり幸せを感じていたと思う。

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