ラッセンとは何だったのか?  消費とアートを越えた「先」

  • フィルムアート社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845913145

感想・レビュー・書評

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  • なんだったんでしょう?

  • ラッセンの絵は下世話である──子供時代にラッセンの絵に触れた体験をその後心的外傷的問題意識として抱え続ける若手美術家を中心に総勢15名の論者による多角的な論考は、その下世話なラッセンを“白雪姫の鏡”として自らが依って立つ現代美術の有り様を逆照射し下世話に展開される。その下世話が美術をめぐる人々の有り様の多義性を炙り出して実に興味深い。中でも大山エンリコイサム氏のエッセイは、ラッセンが現代美術の文脈中でオーソライズされた凡そ40年後の日本を仮想しそこから現在に疑義を投げてよこす離れ業に唸らされる。ラッセンを忌み嫌う美術界隈の態度は果たして「リア充爆発しろ」レベルのやっかみなのか、それとも己の黒歴史や矛盾やあれこれの不都合を見せつける同族への嫌悪なのか。ラッセンを通して現代美術が孕む病巣が透し見えてくる。

  • ラッセンは嫌いなのだが妙にひっかかるものがあってあれは何だったんだろうという思いはあった。これを読んで、徹底的にマーケティングを追求していった結果の表現だったんだと腑に落ちた。原田氏の論考ではしかもそれを日本の郊外化と繋げているところが面白い。加島氏は購入システムに関して言及しているが、日本の既存の画廊と絵画販売の在り方もあったら面白いのにと思ってしまったが。。それはまた別の話か。。

  • 日本人にはとても有名で、かなり多くの人が絵を見たことが有り、でも美術史や美術評論では顧みられることはない。
    クリスチャン・ラッセンについての評論をまとめた本です。
    読書会に持ち込みました。

    全体的に、「なぜラッセンが評論されることは無いのか」という話が多かったような。納得できる考察がいろいろと書かれていました。
    ラッセンが好きな方以上に、美術論的な話が好きな方にはとてもたまらない本だと思います。

  • 働いていたダイビングショップに電気を消すと蛍光塗料が光るジグソーパズルが飾られていたのを思い出した
    たしかにヤンキー

    ジョン・C・リリーの名前がでてきて懐かしい
    そこまでいったらジャック・マイヨールも俎上にのせてほしかった

  • 美術系の批評家さんの文章が全体的に癖があって頭に入りにくかったのですが、とりまとめをした原田さんのラッセンの絵画分析はとてもわかりやすかったし、ニューエイジとラッセンの接点や、百貨店手動で美術鑑賞が日本に定着していく中でラッセンが入り込んでいった話など、示唆に富んだ内容で楽しめました。
    私は高校も大学もラッセン展をやってくれるようなデパートすら存在しない田舎で過ごしていたため、エウリアンに遭遇したこともないですし、都会のほうでラッセン展あるよ!とCMが流れているのを見たことがある程度の認識だったので、ラッセン絵に対する微妙な眼差しや、この本でも評論家の方々が取り扱いに困る感じでラッセンに取り組んでいる姿を感じたのは結構新鮮でした。

  • 日本人はカテゴリー分けが大好きで、自分の領域から離れたら敵意向き出すところがなんだかなぁ。絵画や芸術だけの話やないやろなぁ。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784845913145

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著者プロフィール

斎藤環(さいとう・たまき) 精神科医。筑波大学医学医療系社会精神保健学・教授。オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP)共同代表。著書に『社会的ひきこもり』『生き延びるためのラカン』『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』『コロナ・アンビバレンスの憂鬱』ほか多数。

「2023年 『みんなの宗教2世問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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