「半導体」のことが一冊でまるごとわかる

  • ベレ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860646714

作品紹介・あらすじ

国の経済を左右するほどの存在である「半導体」とは一体何なのでしょうか。何がすごいのでしょうか。どのような種類と役割があって、どのような分野で活躍しているのでしょうか。本書では、「半導体」の原始のころの話からはじまり、ICやLSI、メモリやLEDまで、その仕組みを科学的に易しく解説していきます。
日本の通信技術の黎明期からその現場の最前線に立っていた著者だから書ける、技術史要素も多く含み、先端技術までしっかり解説しながらも時代に流されない入門書です。

感想・レビュー・書評

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  • 我々の生活に欠かすことのできない「半導体」
    昨今ニュースで半導体不足が騒がれている

    かつて日本は世界シェア50%を占めるほどの得意分野だった
    しかし昨今は残念ながら世界ランキング10位に入らないどころかシェア10%を切る
    でも日本も頑張るらしい!
    先日、日本企業8社(トヨタ自動車、デンソー、ソニーグループ、キオクシア、NEC、NTT、ソフトバンク、三菱UFJ銀行)が次世代半導体の量産化を目指した新会社「ラピダス」を設立(会長は半導体装置メーカーの東京エレクトロンの方らしい)
    さてどう巻き返しをはかるのだろうか…興味深い

    ‥‥とここまで偉そうに半導体のニュースを語ってみたが、
    「半導体」とはなんぞや…という問いに的確に答えることができるのかお主は…
    はい、申し訳ございません
    お答えできかねます

    というわけでわかっているようでよくわからない半導体についてお勉強してみようと思い
    こちらの書籍を購入

    むむっ、入門書かと思いきや、難しい
    ベースの化学知識がないとこれは手ごわい
    結局第一章しか理解できず…(なんてこと)
    なのだが、第一章を読むだけでももの凄い知識になった!
    そういうことだったのかぁ「半導体」!



    ------------以下メモ書き------------

    ■半導体の働きは大きく分けて2つ
    ①電流、電圧を制御する(スイッチ、変換、増幅)
    ②「考える」こと

    ①電力・電圧を制御(スイッチ、変換、増幅)

    ○スイッチ…電流を流したり止めたりする
    ○変換…電波の信号を電子機器の中で扱えるように電気信号に変換し、電子機器の中に情報を送信する時に電気信号を電波にすること
    例)LED電球、携帯電話、テレビ
    ○増幅…変換の際の信号は微小のため、大きな信号に増幅すること
    例)アンプ

    ②「考える」デジタル半導体
    →AI、CPU、マイコン、プロセッサ、メモリ


    ■物質を電気的性質で大別すると→「導体」と「絶縁体」
    ・導体…金、銀、銅などの金属
    ・絶縁体…ガラス、ゴム、磁気
    ・半導体…導体と絶縁体の中間的な性質
    代表はシリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)
    ※ここちょっと微妙です

    ■半導体の特徴
    ①抵抗率の値が温度や微量の不純物の存在によって大きく変化する
    金属は一般に温度が上がると電気伝導率が低下(抵抗率が増加)するが、半導体はその逆
    温度が上がると電気伝導率が大きく増加(体効率が低下)する特質がある

    〈補足〉
    ・金属(導体)は温度が高くなると電気抵抗が大きくなる
    →熱エネルギーを受けた電子は運動エネルギーが上昇、他の自由電子とぶつかることが多くなり、電子の動きが妨げられる

    ・半導体、絶縁体は温度が高くなると電気抵抗が小さくなる
    →物質の原子内の最外殻の電子殻をまわっている価電子に対し、温度上昇に伴う熱エネルギーが原子核との束縛を外し、
    電子の移動を自由にするため、電流が流れやすくなる


    ②高純度の半導体結晶では、室温程度では熱エネルギーが足りないため自由電子がほとんど存在せず、絶縁体と考えて差し支えない
    しかしこれらの半導体結晶にごく医療のある種の元素を不純物として添加すること(ドーピング)で電気を通しやすくすることができる
    光と電気の交換ができる


    ■シリコンとは
    ・シリコンは地球上では酸素に次いで2番目に多い元素
    ・シリコンは酸化しやすく、2酸化ケイ素という形で砂や岩石の中に多く含まれる
    ・半導体材料として使えるシリコンの結晶を作るには、SiO2を炭素で高温還元して、純粋の単体思考にする
    さらに不純物が含まれている単体シリコンを塩素ガスや水素ガスと反応させて不純物を取り除き、高純度のシリコン結晶にする
    ちなみにシリコン生成には大量の電力が必要なため、日本は電力の比較的安価なオーストラリアやブラジル、中国などから高純度のシリコンを輸入している

    ■半導体の中の電子
    電子デバイス…電子の流れを外部から自由に制御することによって作動する
    半導体の中に適当な数の原子を存在させ、その流れを外部からうまく制御できることが必要

    半導体結晶の中の電子
    半導体の代表であるゲルマニウムとシリコン
    元素周期表で見ると同じ仲間(14族)
    14族元素の電子配置…最外殻の電子数が4個
    シリコンの場合、最外殻の電子が4個、電子の軌道に入ることのできる空白の電子数も4個
    隣接する4つの原子と電子を共有することによって(共有結合)閉殻構造を作ることができる
    正4面体状に積み重なった巨大分子(ダイヤモンドと同じ構造をもつ)

    つまり結晶内で動き回ることができる電子はない(=電気を通すことができない)
    温度を上げることにより、原子同士の1部の結合が切れて、電子が飛び出し、結晶内を自由に動き回れるようになる(自由電子)

    結合が極めて強い=自由電子が出来にくい
    シリコンの半導体素子は125℃くらいでも正常に作動する
    ちなみにさらに結合エネルギーが高いダイヤモンドは室温程度では自由電子がほとんどできず(絶縁体)

    高純度の半導体結晶では、室温程度では熱エネルギーが足りないため自由電子がほとんど存在せず、絶縁体と考えて差し支えない
    これらの半導体結晶にごく微量のある種の元素を不純物として添加すること(ドーピング)で電気を通しやすくすることができる

    ■ドーピングの仕組み
    ・n型半導体
    高純度の半導体結晶にごく微量の15族の元素のどれかを不純物として添加する
    最外殻の電子が余り、自由電子に
    マイナスの電子を持っている電子がキャリアとなる
    電気を通しやすくする

    ・p型半導体
    13族の元素のどれかを不純物として添加する
    電子が1個不足となり、プラスの電気の孔(ホール)がキャリアとなる

    ※このn型半導体とp型半導体をうまく組み合わせることで半導体デバイスを作ることができる

    ■ダイヤモンドは半導体か
    シリコンと同じ14族、原子間の結合が強固、絶縁体
    強固な結晶のため、欠陥を与えずにドーピングするのは難しい
    しかしながら優れた特性を持つ
    ・バンドキャップが大きい→高温、高電圧に耐えうる
    ・絶縁破壊電圧がシリコンの約30倍→高電圧で使える
    ・熱伝導率がシリコンの約13倍→放熱性が高い
    究極の半導体となる可能性もあるが実用化には難しい


    ふむふむ、なるほど
    シリコンそのものが半導体ではなく、14族の特性を活かし、ドーピングすることで半導体として機能するようだ
    n型半導体とp型半導体を接合させて電気を流したり、止めたりするのだな(ジャンクションだ)
    こんな程度でも私にとっては実に有意義な内容だ
    そしてダイヤモンド
    美しいだけではなく、限りない可能性を秘めた物質であることが改めてわかった

    ああ、いつか第二章以降を理解できる日が来るのだろうか
    来ると信じて、我が家の本棚、積読本コーナーへ


  • 仕事柄勉強のつもりで読んだけどこの基本知識はかなり大事な気がする。計算式とか元素記号とか難しい部分はあるけども実際にやっている仕事の理解にかなり繋がった。
    分かるって楽しいな。

  • 難しかった〜!!
    序盤ぐらいまでしかちゃんと理解できなかったです。日本人も半導体に貢献したんだなぁという薄っぺらい感想しか思い付きません。

  • 請求記号 549.8/I 157

  • EVERNOTE登録済

    ☆内容が全く理解できず

  • だいぶ理解は深まってきた。
    この一冊だけだったらムリだろうな、とは思う。
    用語とかはこれだけでは頭に入らない(残らない)。
    そこまで浅い世界ではない、ということか。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50262139

  • 製造プロセスにも触れられている点がよい。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000055745

  • 半導体不足が世界中で問題化し、製造業に影響が出ている。しかし、半導体とは何か、実はあまり理解出来ておらず、基礎から勉強したいと思った。本著はそういう目的には最適な超入門書…という事だが、やはり専門的な部分もあり、完全に理解しようと思うと少し難しい。ただ、そういう箇所は飛ばしてでも、得るものが大きいし、基本的な理解が得られるので、読んで損はない。

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著者プロフィール

1936年福岡市生まれ。
1959年名古屋大学工学部電気工学科卒業。同年日本電信電話公社(現NTT)入社。電気通信研究所にてデジタル伝送、デジタルネットワークの研究開発に従事。1989年多摩大学教授。同大学名誉教授。工学博士。
電気通信研究所では、わが国最初のデジタル伝送方式の実用化に取り組み、それ以降、高速デジタル伝送方式やデジタルネットワークの研究開発に従事するなど、日本のデジタル通信の始まりから25年以上にわたり、一貫してデジタル通信技術の研究に取り組んできた。
NTTを辞めた1989年ごろから、日経コミュニケーション誌(日経BP社)にネットワーク講座の連載を執筆したのをきっかけに、通信技術をやさしく解説した本を書くようになった。これまでに執筆した主な著書は、『情報通信早わかり講座』(共著、日経BP社)、『通信&ネットワークがわかる事典』(日本実業出版社)、『「通信」のキホン』『「電波」のキホン』(ソフトバンククリエイティブ)、『情報通信技術はどのように発達してきたのか』『「電波と光」のことが一冊でまるごとわかる』(ベレ出版)など多数。

「2021年 『「半導体」のことが一冊でまるごとわかる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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