MONKEY vol.19 サリンジャー ニューヨーク
- スイッチパブリッシング (2019年10月15日発売)
- Amazon.co.jp ・雑誌 (143ページ)
- / ISBN・EAN: 9784884184285
感想・レビュー・書評
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これまでの『MONKEY』の中でもトップクラスの充実度。
J・D・サリンジャーのデビュー作(1940年発表)を含む短編2編と、デビュー作が掲載された文芸誌『ストーリー』についての柴田さんによる解説から成る特集「サリンジャー ニューヨーク」。サリンジャー作品に登場する煙草の煙がもうもうとする雰囲気が、単なるノスタルジーになっていないところはさすが。これはもう柴田さんでないとできない芸当。
さらに、第二特集とも言える「ブレックマン父子を訪ねて」が実にいい。『ストーリー』の表紙を描き続けた父R・O・ブレックマンの代名詞とも言える”にょろにょろの線”に対して、雑誌『ニューヨーカー』のクリエイティブ・ディレクターを務める息子ニコラス・ブレックマンは“まっすぐな線”を好むと言う。世代の違いだけではない、対照的な父子それぞれへのインタビューが楽しい。
特に、ニューヨー州の山奥にあるブレックマン父の自宅を訪ねてのインタビューでは、「私は人びとの頭と心に裏口から入ろうとしている」なんていう名言を引き出し、彼の持つコクの深さを味わうことができる。これもまた柴田さんならではの芸当だ。 -
サリンジャーやフィッツジェラルドの短編がサクッと読めたり、知らない作家や著名なイラストレーターのインタビューや短い説明が読めるお得な雑誌。キャリアの長い翻訳家であり文学研究を生業としてる人が責任編集をしてるとあって上質な文章が楽しめる。なによりブレックマンのイラストがユーモアがあって素敵だし、ソール・ライターの写真が要所要所に使われているのが良い。
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柴田元幸さん訳のサリンジャーの短編が二編ほど。サリンジャーはすごく面白いわけではないけど、じわっとくる。鷺沢萠っぽいところがあって、だから好きなのかもしれない。R・O・ブレックマンさんとの対談が素朴で素敵だった。
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MONKEYは、これだけよくさまざまな特集を考えつくものだと、毎回感心します。柴田さんは、名翻訳家であるだけでなく、間違いなく名編集長です。デジタル版が出るといいな。文字が小さめなので。デジタル版がリリースされたら、新たに2年の定期購読を申し込みます。
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柴田元幸による「若者たち」の新訳がたいへんよかった。タイトルも「いまどきの若者」となっていて、「若者たち」とは違う印象を受けた。わたしにとってサリンジャーの小説は、けっこう昔のもののはずなのに、映画のようにくっきりと画面が思い浮かぶ。そして感情のゆらぎは今のもののようにまったく色あせない。そういう微妙なゆらぎや悲しみがじんわりと伝わってくる翻訳で、読んでいて楽しかったし、大学のころなどを思い出して苦しくなった。その他の特集やインタビューも面白い。ひさびさにサリンジャーをもう一回、真剣に読んでもいいかもな、と。
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サリンジャーの小説が2つとフィッツジェラルドの小説が1つ。ブレックマン父子へのインタビューも結構枠大きく取ってるし、サリンジャー特集というよりは雑誌のストーリー特集ですな。
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サリンジャー特集なのだが、ブレックマンのインタビュー(写真)が一番印象に残った。ニューヨークとは思えない緑生い茂る庭。奥さんの脚の裏を拭くブレックマン。奥さんは裸足で庭を散歩するのかな?
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特集;サリンジャー ニューヨーク