三国志〈10の巻〉帝座の星 (ハルキ文庫―時代小説文庫)

著者 : 北方謙三

• 角川春樹事務所 (2002年3月1日発売)

感想・レビュー・書評

[宮本知明さんの感想 · 2012年7月22日]

劉備が曹操と並び立つ千載一遇の好機を逸するばかりか裏切りにより関羽、荊州までも失う。孔明、糜竺らは自責の念に突かれ命を捧げんと訴えるも劉備はこれを訴えを退ける。「誰が誰を罰せられる。裏切った者を除けば皆が懸命だったのだ」と。以来、孔明は死を賭けて建国のために尽くすが、凶事は重なり蜀は滅びの方向へと暗転してゆく。読むのが厭になってしまうぐらいに辛かった。

[すなふさんの感想 · 2012年7月13日]

曹操、張飛が死んでいき、劉備の混乱の度合いが描かれていく巻。

北方三国志での張飛は、本当に魅力的な人物として描かれていました。誰よりも優しく、3人の役割を見据え耐えもする。それが、またも孫権、張昭によって崩されていく。酒に溺れて乱暴になる自分に困惑する姿には、涙を誘われます。

[なにがしさんの感想 · 2012年5月9日]

ガンダムのあの曲が耳を離れない。
乱世の奸雄、曹孟徳の死
簡潔さが売りのこの三国志にしては
思い入れたっぷりに死んでゆく様子が描かれている。

張昭の手のものによる董香の死と
壊れていく張飛が痛々しい。

そして張飛の死と死地に向かう劉備
明るい要素の全くない巻である。

死にゆく、男たちは♪

[getdowntoさんの感想 · 2012年2月25日]

魏は曹操が逝去し、後継の曹ヒが司馬仲達を起用し策略を練る。
呉は長江沿いの戦線を延ばし、魏と微妙な関係を保ちつつ蜀の攻撃に備える。
蜀は関羽を失った後の劉備と張飛の悲しみをベースに打倒孫権に闘志を燃やす。
三国はそれぞれこういった感じである。最終章ではとうとう張飛も暗殺され、英傑がどんどん消えてしまう。張飛暗殺アングルは三国志演義で語られる部下の裏切りではなく、呉の謀略による女絡みの毒殺という描かれ方をしていた。本作品には三国志演義などには登場しない北方オリジナルキャラクターが多数登場するが、これらが主要人物の隙間を埋める良いスパイスになっている。

[ゆーやさんの感想 · 2012年2月18日]

曹操、張飛の死まで。

曹丕が嫌味なくらいに冷酷に描かれている。ある意味人間味もあるけれど、屈折したところが読んでいて苦しいくらい。

[tazyoさんの感想 · 2012年1月20日]

この10巻が一番人が死んだという印象があるなぁ。曹操が死ぬ前は何か言葉にならない寂しさに溢れてた。死ぬ時はこんな感じなのかな？

董香が暗殺される所は張飛が可哀想に思えた。張飛の董香に対する深い愛情を感じた。本当に董香の事が好きだったんだなって思った。
張飛も暗殺されるけど、関羽、董香が居る天国で楽しく酒を飲んだり馬で駆けたり仲良くやってるのかな？って想像してしまった。
やっぱり関羽が死んでなかったら･･･って考えてしまう。。。

[yukarin0523さんの感想 · 2011年8月23日]

董香、張飛夫妻の死が読んでいて辛かった。しかし不思議と張飛を殺した路幽には腹が立たず、こういう時代じゃなかったらこの女性も、もう少し幸せに生きれたのだろうなとしみじみ思った。この巻は読み出したら止めるのが難しい巻だった。

[hnrk0r0さんの感想 · 2011年5月10日]

張衛から目が離せない。
馬超ファンの気持ちがわかった気もする、そんな１０巻

[shosinshaさんの感想 · 2011年4月27日]

長らく放置してたのを再開。久しぶりに読んだけどすごく面白い！
けどもうラスト近いからみんなバタバタと死んでいっちゃうのが寂しい感じ。あと曹ヒとシン氏のやりとりが心にぐっときた。勲功第一！

[llama100さんの感想 · 2011年2月20日]

三国志10巻読了。みんな死んで行くわ…。曹操が今際の際に、畑を耕して詩を詠む夢を見ているのが胸にぐっときました。そしてついに張飛菫香夫婦ともお別れ。並んで、野原を駈けましょうね。で涙腺崩壊。しかし小兄貴は最期まで大兄貴のこと考えてたけど、張飛はそんなことはなかったぜ。やさしい人だ

著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ（全五十一巻）で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成（下） 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」