若松英輔エッセイ集 悲しみの秘義

著者 :
  • ナナロク社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904292655

感想・レビュー・書評

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  • 「かなしみ」に耐えるための言葉。
    書くことと読むことの相補性。

    それぞれの章に引かれている文章の、なんと美しく魅力的なことか。
    とりわけ、第14章の「できれば、声に出して、ゆっくり読んで頂きたい。一度でなく二度、読んで頂きたい。」のところ、素直にやってみることを勧める。私はそうして、「読むことで言葉を生みだすこと」を信じることができた。
    もうひとつ、第17章、バウハウスのヨハネス・イッテン——理論家で冷静な人とばかり思い込んでいたこともあってさらに驚いたのだが——の「とても模写などできない、というのでなければ、芸術家とはいえない」が印象に残った。
    その題材となったグリューネヴァルトの「嘆きのマグダラのマリア」の図像は検索すると見つかった。想像を超えて生々しく強い絵であった。

  • 若松英輔の本は優しそうで難解、丁寧に読ませようと読者を招待している。

  • 知ったような気になるのはやめようと思わせてくれた…

  • 2016年40冊目。

    読み始めてすぐ、あまりにも洗練された言葉に驚いた。
    恐ろしいほど過不足がない言葉で綴られた25のエッセイ集。

    語り得ないものへのまなざし、空白や沈黙への敬意、惑うことへの心持ち、そして悲しみのとらえ方。
    心に残る多くの言葉に出会えた。
    読んでいる最中、周りがしんとするような静寂さをこの本自体が持っているように感じる。

    「たとえ一点の作品がなくても君は君の人格と生活の態度に因って高邁なる芸術家であった」

    一番響いた言葉。そういう風に生きたいと思う。

  • 感想を述べるより何より、ひとりでも多くの人に手に取ってほしい、その一言に尽きる一冊。

  • 誰か大切な人を亡くした人にあげたい

  • いいですね。悲しみの秘義は、誰もが宿している詩情を、書くことの秘義を通して、読み手に託され、孤独をつかむ。ひがしちかの装画がすばらしい。ブックリストもいい。

  • 自分には少し難しかったけど美しい本でした。悲しみは『悲し』だけでなく『愛し』『美し』と書くこともできるそうです。悲しみのなかにあるいろんな感情を感じることが確かにあります。その気持ちを大切にさまざまな想いを味わいながら生きていきたいと思える一冊でした。

  • 何かを失ったとき、それまでのすべての記憶想いが同時に消えてしまう。
    それほどの悲しみが時にある。

    力はなく、それでも天地を揺るがせ、この世に籍のないものの心を慰め、幸せに導くために詩がある。

  • 2016.3.4

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著者プロフィール

1968年新潟県生まれ。批評家、随筆家。 慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて第14回三田文学新人賞評論部門当選、2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)にて第2回西脇順三郎学術賞受賞、2018年『詩集 見えない涙』(亜紀書房)にて第33回詩歌文学館賞詩部門受賞、『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋)にて第16回角川財団学芸賞、2019年に第16回蓮如賞受賞。
近著に、『ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う』(亜紀書房)、『霧の彼方 須賀敦子』(集英社)、『光であることば』(小学館)、『藍色の福音』(講談社)、『読み終わらない本』(KADOKAWA)など。

「2023年 『詩集 ことばのきせき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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