- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784904292655
感想・レビュー・書評
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「かなしみ」に耐えるための言葉。
書くことと読むことの相補性。
それぞれの章に引かれている文章の、なんと美しく魅力的なことか。
とりわけ、第14章の「できれば、声に出して、ゆっくり読んで頂きたい。一度でなく二度、読んで頂きたい。」のところ、素直にやってみることを勧める。私はそうして、「読むことで言葉を生みだすこと」を信じることができた。
もうひとつ、第17章、バウハウスのヨハネス・イッテン——理論家で冷静な人とばかり思い込んでいたこともあってさらに驚いたのだが——の「とても模写などできない、というのでなければ、芸術家とはいえない」が印象に残った。
その題材となったグリューネヴァルトの「嘆きのマグダラのマリア」の図像は検索すると見つかった。想像を超えて生々しく強い絵であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
若松英輔の本は優しそうで難解、丁寧に読ませようと読者を招待している。
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知ったような気になるのはやめようと思わせてくれた…
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2016年40冊目。
読み始めてすぐ、あまりにも洗練された言葉に驚いた。
恐ろしいほど過不足がない言葉で綴られた25のエッセイ集。
語り得ないものへのまなざし、空白や沈黙への敬意、惑うことへの心持ち、そして悲しみのとらえ方。
心に残る多くの言葉に出会えた。
読んでいる最中、周りがしんとするような静寂さをこの本自体が持っているように感じる。
「たとえ一点の作品がなくても君は君の人格と生活の態度に因って高邁なる芸術家であった」
一番響いた言葉。そういう風に生きたいと思う。 -
感想を述べるより何より、ひとりでも多くの人に手に取ってほしい、その一言に尽きる一冊。
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誰か大切な人を亡くした人にあげたい
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いいですね。悲しみの秘義は、誰もが宿している詩情を、書くことの秘義を通して、読み手に託され、孤独をつかむ。ひがしちかの装画がすばらしい。ブックリストもいい。
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自分には少し難しかったけど美しい本でした。悲しみは『悲し』だけでなく『愛し』『美し』と書くこともできるそうです。悲しみのなかにあるいろんな感情を感じることが確かにあります。その気持ちを大切にさまざまな想いを味わいながら生きていきたいと思える一冊でした。
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何かを失ったとき、それまでのすべての記憶想いが同時に消えてしまう。
それほどの悲しみが時にある。
力はなく、それでも天地を揺るがせ、この世に籍のないものの心を慰め、幸せに導くために詩がある。 -
2016.3.4