亡命ロシア料理

  • 未知谷
3.67
  • (5)
  • (10)
  • (11)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 98
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784915841446

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ムラムラするぜ。壷である。鍋ではなくて、壷であるのがツボである。帰ることのない故郷に想いを馳せる、アメリカへ亡命したユダヤ系ロシア人。もはや手に入らない食材、豪快な料理を囲む家族を思い出し、失われた故郷での団欒の憧憬が切ない。妙な駄洒落が組み込まれているが、ジョークの翻訳も逸品。スメタナは作曲家ではなくてサワークリームのことである。
    当初、図書館で借りて読んだのだが、たまらずのちに購入。人に贈ってしまい、また購入。また人に贈ってしまい(略)

  • 表紙の写真はサラファンだけど、ろしあ亭に通いたくなった!

  • アメリカに亡命した二人が祖国の料理を懐かしみつつ紹介する食のエッセイ。人のホームと食べ物が深く結びついているさまに感じ入った。自分には「懐かしい母の味」のようなものはないけれど、外国に移住してしまったら美味しい海苔やミョウガとは離ればなれになってしまうわけで。前に進むにはあとに残していかなくてはならないものがあるけれど、それが食べ物なのはさびしいことだ。

    それはそれとして、帰りの電車で読むと空腹が爆発するので注意。有名どころ以外はどれも知らない味なので、ひとくち食べてみたい!という願望でよだれが...

  • 壷!

  • アメリカに移り住んだロシア人二人組のエッセイ。祖国を去り、新天地を選んでもなお、アメリカ料理に文句をつけつつ、そのファーストフードの簡易さに流れたりもしつつ、祖国ではない土地でロシア料理を食べようと思ったら、努力と根気を必要とすることを、「ロシア人らしいユーモア」を混じえて書いている。「怠け者のためのペリメニ」という、ペリメニよりは世界に普及していると思われる中国餃子やラビオリに安易に流れないために書かれている部分などは、その好例だと思う。
    しかし、著者たちの出身はラトビアであり、ユダヤ系の血も引いていること(ロシア正教に関する記述はほぼないが、ユダヤに関する例えが記述が少なからずあることはその影響も考えられる)、この本が最初に書かれた頃はロシアはなくまだソ連であったことは特筆すべきことだと思う。
    著者は、ロシアの国際主義は、料理においてのみ達成され、グルジア料理はロシア料理のなかでももっとも輝かしいものである、と述べていたが、この本がアメリカで刊行された当時、まだグルジアは独立していない。現在、両国は対立関係にある。
    あくまで、個人的な話だが、1972年の沖縄独立当時、私の母のアイデンティティは「日本」ではなく、独立を望んでいたらしい。しかし、本州で育った私はロクに沖縄料理はつくれない。日本食なら筑前煮だろうが、いわしの生姜似だろうがつくれるのに。ただ、私の舌は、沖縄料理店にいっても、そこが内地の、つまり本州人が作った店か、それとも沖縄出身の人間が作った店かをほぼ一口目、あるいは見ただけで判断が出来る。つまり、ケチだけならつけることができる。ナイチャーはなんもわかってない、といった具合に。自分も内地で育っているにもかかわらず。私が無精なだけだが、土地をうつって文化を伝えることは、身近な所でも難しい。

    「Fashion, Food, Festival」。国際交流の3F。料理は鉄板だ。
    しかし、現実には、移り住んだ先、料理をそのままの形で保つのはとても難しいし、根気と努力が必要になる。そして、こだわりながら拘り過ぎない柔軟性もだ。ある程度、代用品を使わざるを得ないからだ。
    確かに、アメリカンドリームを求めて移住したロシア人たちに、アメリカの悪口を言う資格はないのかもしれない。それでも、食卓に位、祖国が欲しいと願い、相いれない文化を笑ったりすることは許される筈だ。
    でも祖国とはなんだろうか。全ての人の祖国があるだろうか。また祖国はありつづけるのだろうか。自分が知っている祖国の文化は、本当に祖国がルーツなのだろうか。もっと、他の地域や民族がまぜこぜの、簡単には言いきれないものではないか。
    ぐるぐる考えつつ、答えは出ない。ただお腹だけはっきりしている。
    「おいしい御飯を食べて楽しく笑いたい」と。

  • 日本語版の序文に。

    「(日本とロシア)この二つの料理の伝統は、混じりあうわけにはいかないが、平和に共存することはできる。」

    ああ、だから著者たちは亡命したロシア人なんだ……とため息がでました。

  • 図書館で。
    ユダヤ系ロシア人でしかも亡命者なんて…なんて面倒くさそうな人なんだろ!という感じ。読んでみて案の定、という感じ(笑)

    故郷というか祖国って遠くにありて思うもの、そして悲しくうたうもの、みたいなものなんだろうなぁなんてしみじみしちゃいました。まあ彼らの想うロシアは現在のロシアではなく、彼らの心にあるロシアなんだろうなぁとは理解するのですがそれでも。

    どうでもいいけど調理時間が長いなぁというのが感想。折角の子牛肉をそんな何時間も煮込まなくてもいいんじゃない?と自分は思うんだけど… もしかして煮込むのはソースだけかな? 魚もそんなに火を通したらボソボソのポソポソになっちゃうよ…なんて思いながら読みましたが… 昔と今じゃ火力も違うから仕方ないのかなぁ?

    やっぱり日本人は海産物は醤油!一択!って感じですよねぇ。アリオリソースなんか目じゃないぞ!(*イチ日本人の感想です)
    そうやって考えると自分の祖国は食事でその根幹には醤油がデン、と居座っているのかもしれないなぁ。

  • おもしろい!
    皮肉とユーモアがつまった一冊

  • どうも古くささが否めないし食べ物の描写としては上手じゃない。故郷の憧憬も出てくるけどかなり抑えて書かれているし中途半端。

  • ユニークな文明批評

全18件中 1 - 10件を表示

ピョートル・ワイリの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×