ラストエンペラー [DVD]

監督 : ベルナルド・ベルトルッチ 
出演 : ジョン・ローン  ジョアン・チェン  ピーター・オトゥール  坂本龍一  ヴィヴィアン・ウー 
  • 松竹ホームビデオ
3.80
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感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988105016187

感想・レビュー・書評

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  • BSにて視聴。
    鮮烈な映像と坂本龍一の物悲しい音楽が印象的。
    誰もが一度は学ぶ第二次世界大戦を、満州視線でというのが新鮮だった。
    美しいジョン・ローンに見惚れ、坂本龍一の死んだ目に震え、紫禁城や中国衣装の煌びやかさに目を奪われて、長さもあまり感じなかった。

    長い間隔離され守られて生きてきた人が、ある日突然外に出され、見せかけとはいえ自由を手に入れたら、よほど思慮深い人でない限り暴走したり騙されたりしてしまうのは理解できる。
    幼児が外に出る時、保護者が手を繋いで飛び出しを抑制するが、彼にはそうやって導いてくれる人はおらず、破滅への道を真っ直ぐ進むしか無かった。
    ただ壊れたのは彼自身ではなく、彼を助けようとした周りの人々だったのは、なんとも皮肉で哀しい。

    イギリス人家庭教師がとても良かった。
    誰にとってもメンターのような存在というのは大事なのだろう。
    紫禁城を出た後にもそういった人が身近に居たら、また違っていたと思う。

    信じた人がいつも離れていってしまう溥儀の人生が行き着いた先は「植物と生きること」というのは、自然の流れなのかもしれない。
    誰かを追うたびに非情に閉まる門、立ちはだかる兵士、そこで泣いて抵抗することもなく一人来た道を戻る姿に、深い孤独と絶望を感じる。
    晩年の生活で、それが少しでも癒されていたら良いなと思う。

  • ムスメと改めて見たが圧巻。
    利用され続ける溥儀のあまりにも悲しい一生。
    故宮にもう一度行きたくなった。

    • sinsekaiさん
      この映画はちゃんと歴史を勉強して観るとより面白いですね!
      日本軍の酷さがよくわかって複雑な気持ちで
      翻弄された溥儀の人生を思うと悲しくなりま...
      この映画はちゃんと歴史を勉強して観るとより面白いですね!
      日本軍の酷さがよくわかって複雑な気持ちで
      翻弄された溥儀の人生を思うと悲しくなります。
      2021/03/20
    • ざざあるいは電気羊さん
      確かにおっしゃる通りです。
      もう一度見直したくなりました。
      確かにおっしゃる通りです。
      もう一度見直したくなりました。
      2021/03/21
  • 圧倒的重量感。これが映画芸術か…

  • 以前観たときは話がよくわからずピンと来なかった。今回は坂本龍一氏ゆかりの映画館でリベンジすることに。事前にある程度情報を入れておいたおかげか、かなり楽しむことができた。この映画はネタバレによって面白さが損なわれるような種類の物語ではないので、歴史に詳しくない人はある程度事前に調べておくのが良いかもしれない。映画館の巨大なスクリーンで紫禁城の美しさを堪能できたのも良かった。何より美しいのは坂本龍一の音楽。Rainのシーンは短いものの秀逸。ラストのテーマ音楽を聞いたところで、思いもかけず涙が止まらなくなってしまった。坂本龍一もベルトルッチも、もうみんないなくなってしまった。

    • mktrさん
      「利用」に関する会話シーンは、『タイタンの妖女』につながるのでは、などとも思った。
      「利用」に関する会話シーンは、『タイタンの妖女』につながるのでは、などとも思った。
      2023/05/15
  • 作品はこりゃまた祖父がよく観ていた"The Last Emperor"。
    2時間以上の超(長!?)大作で途中だらけちゃったり聊かえげつないところがあったり…案外カオスなものも好きだったのかな、とおじいちゃんを思い出しながらの鑑賞になった。

    端整ですっきりした顔立ちのJohn Lone氏。
    「この国を統治する」と野心的な目で辮髪を切り落としたり、はたまた天津のダンスホールではジャズを渋くて甘い声で歌い上げちゃったり。
    多くの女性ファンを獲得したこともこれで納得できる。
    青年期から老年期まで同一人物とは思えんくらい完璧な溥儀像だったと思う。(個人的には15歳時を演じていたWu Tao君も好き)
    作曲ならまだしも坂本龍一氏が映画出演していたことには流石にびっくりした。
    『アラビアのロレンス』(1962)のPeter O'Tooleなどキャスティングに力が入っていたけど、あの浩さん役だけはどうしても頂けない…

    紫禁城での彩り豊かな思い出、天津・満州時代の華やかな日々、これまでの経歴を全て否定される寒色まみれの収容所、終盤の青菜がびっしり積まれた市場まで。色の使い方が本当に上手い。
    あの超有名な即位式のシーン。
    中国の伝統色が画面いっぱいに広がり、それはもう綺麗。思えば即位したその時に孤独な人生が運命づけられたのかな。

    戦中・戦後と重苦しさはつのり、観ているこちらも辛くなる。
    その分、あの紫禁城でのやり取りでは涙がとめどなく溢れてきた。
    歴史の証人が去り、物だけがそこに残る。
    あとはそれをどう受け止めるか、そこで映画は締めくくられた。

  • 紫禁城のシーンが素晴らしい。
    その「明」に対して「暗」の収容所。

    雨の中明るく飛び出していく第二夫人の「明」
    夫のために他の男性の子を出産するも死産とされ、その後アヘン中毒になった第一夫人の「暗」。

    「日本は愛新覚羅溥儀を利用するだけじゃないか」と言われていたけど、清だって中国だって同じ。
    その中で数少ない、人格者として描かれていた収容所所長は、その後文化大革命で紅衛兵のデモに罪人としてさらされていくのです。

    溥儀の人生を通して、第二次世界大戦をはさんで「清」「中華民国(満州)」「中華人民共和国」と次々変わり、人間の価値観も変わっていく中国の様子が描かれていると思いました。

  •  テレビで放映されていたのを録画して、久しぶりに再鑑賞。

     この作品を初めて観たのは、高校生の頃。
    もともと歴史が好きで、当時西太后に興味があったこともあり、前のめり気味で観た憶えがある。
    もうどうしようもなく好きだった、この作品が。
    好きで好きでしようがなかった。何度観たかわからないほど。
    ものすごく久しぶりに観て、やはり好きだなと思ったし、あの頃どうしてこんなにこの作品が好きなのかうまく説明できなかったけれど、今にして思うと私の好みが「全部入り」のような作品だと思う。

     実話がベースの歴史ものである、音楽が最高に素晴らしい、画角というか画面の構成が好き(感覚の問題で、論理的には説明できない)、栄光と悲哀の落差、余韻を残すラストシーン、そして俳優に存在感があって魅力的であること。

     何度も観ているせいもあるけれど、やはり当時ほど熱狂的に興奮しないのは、今観るからだなと思う。

     映画や読書に限らず、どんな経験も感受性の豊かな若い頃の方が、受ける影響が大きい気がする。
    観方や好みが変わってしまったりっていうのもあるけれど、心が動くのはやはり今より昔ー。
    そう思っても、自分ではもうどうしようもないけれど。

     ジョン・ローンは昔も素敵だと思ったし、今こうして見ても、背筋がピンとしていてやはり素敵だなぁ。今はもう60代半ばくらい?今の彼も見てみたいな。

  • これほど数奇な人生をこれほど虚しく描いた作品はそうそうない。

    わずか3歳で皇帝にされ、紫禁城に住んだ虚飾そのものの日々も、紫禁城を追われた日々も、収容施設に押込められた日々も、一市民として死ぬまでの日々も、どこにいても彼は常に囚人で、意思の尊重などなく、誰にとってもそれ以上でもそれ以下でもなかったなんて、あまりにも哀しい。

  • 『She is my butterfly.』この言い回しがすごく素敵…!
    知識がもっとあったら一層楽しめたかも。

  • 名作であり大作ではあるが、よく言われているとおり英語なのがやはり大きな違和感。また溥儀やその周辺の人物に感情移入しづらいのは、あまりに史実に忠実に描かれすぎているせいか?揃って演技が微妙だからか?英国人家庭教師のジョンストンだけがいい演技であった。紫禁城行ってみたい。

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