- Amazon.co.jp ・電子書籍 (6ページ)
感想・レビュー・書評
-
とても好きな作品。
二十歳の娘が毎日毎日駅でひたすら「待つ」お話。
女性の心の内面での葛藤の独り言のような、独白体。
読みやすくて 超短編!
一度読んだら忘れられなくなる流石の 太宰治。
迫り来る感じの 心理描写。
特に最後の文章に 痺れた。
戦争がはじまる世の中での
ひとりの女性の不安な気持ちの描写が
ずっと語られている…。
この作品に込められたものを
考えさせられて……面白い。
-
再読。
高校時代のこと。
三者面談か何かで、担任の女性教師が話していた。
教師「5552さんはずっと何かを‘待って’いるのね」
母親「ああ、そう、そうなんですよ」
教師「でも、その何かは永遠にこないんですよね」
母親「ですよねー」
と、私より年上の女たちは笑っていた。
当時私はちょっとムッとしていたのだが、太宰のこの短編を
再読して、もう二十年以上前のこの会話を思い出し、想像した。
そうか、彼女たちも、昔は‘待って’いたのだ。
そして待っても待ってもこないという事をいつの日にか悟ったのだ。
太宰の『待つ』は超短編ながら、忘れがたい余韻を残す。
駅のホームのベンチで、二十歳の女性が、毎日毎日、ただひたすら誰とも知れない人を待っている、というだけのおはなし。
この女性は、いつか、気づくのだろうか。
待っても待っても待ち人は来ずということを。
そのとき女性はどうなるのだろう。
それとも、もしかしたら、いつの日か電車の改札口から、待ち望んでいた人が現れるのかもしれない。
女性の未来に思いを馳せると切なくなる一品。-
5552さん、猫丸さん
僕は、nejidonさんの帰りを待ってます。
I'll Be Waiting. As long as I'm br...5552さん、猫丸さん
僕は、nejidonさんの帰りを待ってます。
I'll Be Waiting. As long as I'm breathin'2021/04/18 -
2021/04/18
-
2021/04/18
-
-
自分でも何を待っているか分からないのに、毎日毎日、駅前のベンチに座って何かを待っている二十歳の女の子。
彼女が一体、何を待っているのか。彼女自身にもわからない。ただただ「待っている」という行動の事実と、彼女が内に持つ、肥大した期待や恐怖や閉塞感や焦燥感だけが、描かれている。
一見、世界大戦という厳しい時代に精神を病んだ人のお話のようで、誰の心にもこういう瞬間は訪れるような気がする。私にもあった気がする。
彼女はいつになったら待っているものに会えるのか。会えるのかもしれないし、会えないのかもしれないし、はたまた、会っても気がつかないのかもしれない。
自分が何を待っているかさへもわからないから。
何一つ知らないのに、彼女の抱える息苦しさのようなものに触れると、いつか会えるといいね、と思ってしまう不思議な小品。 -
走れメロスから人間失格に進んで太宰を脱落した友達が多い。ダメだよ、いきなり全裸勇者から人間失格なんて。そんな私はメロスからここに来たので脱落しませんでした。
戦争が始まったのにやる方なくただただ待つ二十歳の少女。何が来るでもなく、来てほしいけど来るのが怖い。
その夢幻みたいな短い情景が高校生の私にはクリティカルヒットしたわけで。なんか共感できて。
即ち、中高生はメロスのあとは短編集を読め、と言いたい。 -
中期の作品。得意の女性独白形式やけど、この20歳の子は病的なほど潔癖やし自意識も拗らせてて、心を壊してしまってるよう。小品ながら一度読んだら忘れられなくなるのは、こんな形で太宰自身が待っていたものを、こんな形で戦争を描ききってるからに思う。このプロットは驚異。駅のホームが舞台なのも、いじらしい。物語の背後にある抱えきれぬ黒い影に、真摯で緊迫した願いに取り込まれる、吸引力がすごい。待つという気持ちは祈りに似てる。
誰か彼女を早く見つけてあげて欲しい。 -
まだ若い少女の不完全な思考回路を覗いているような感じ。
結局答えは出ない思考。ずっとループ。
少女が何を求めているのか、ずっとはっきりしない短い小説。だが、魅力的な文章に惹かれて何回も読み返してしまう。
駅のベンチに座る度にこれを思い出して、この少女のようにぐるぐると考えたくなる。「よく分からない」という気持ちを自分の知り得る語彙で表現して、あれでもないこれでもないと考え悩みたくなる。これが若いということなのかもしれない。
最後の文で、心臓がどきっとする。
もしかしたら、この少女は私の最寄り駅にいるのかもしれない。
逆に、もしかしたら、この少女は私で、私が気づかないだけで毎日誰かを待っているのかもしれない。とも思ったりし始めるともう思考は止まらない。楽しい… -
なにも行動できない主人公が
「待つ」って言葉を使って
気持ちを落ち着かせているけど
表面上は結局なにも行動してない、
っていう話なんじゃないか。
「待つ」と「何もしない」って紙一重だよね -
何を誰をまっているのか?
戦争の最中誰を何を?
きっと平穏な日々を待っているんだろうなと思いました。
短いお話ですが、いい話です。
学生時代に出会いました。
懐かしい!
学生時代に出会いました。
懐かしい!
私もです …(*^^*)ᴠ
学生時代に読まれていたんですね…
印象深い作品ですよね〜 (^^♪
...
私もです …(*^^*)ᴠ
学生時代に読まれていたんですね…
印象深い作品ですよね〜 (^^♪