- Amazon.co.jp ・電子書籍 (54ページ)
感想・レビュー・書評
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源氏物語といえば、幼女を教育して自分好みの女に仕立てていく話という印象があるが、その本命である若紫という十歳の女の子が出てきた。
前巻で源氏が育てようと目論んだ夕顔の娘の消息がつかめなかったので、その話はいったん脇に置くと思われたが、別の少女が登場してそっちを育てるという意表をつく展開となる。
気に入った女がいたら、結局は顔と権力でゴリ押しして手ごめにするのが源氏の基本戦術なのだということがだんだんわかってくる(笑)
今回も、立ち聞き、隙見(のぞき)、寝室突入の熟練技三点セットが10歳の少女に対しても発揮され、さらに御簾の下から手を入れてお触りするという風俗みたいな新技が披露される。
なかなか若紫の引き取りを承知してくれない少納言に対し、私を見くびらないほうがいい、と権威をちらつかせて恫喝したあげく、
「いくらなんでもこんな幼い女の子を愛人にしようなんて思っていませんよ(今のところはね)。けっして下心でこんなことを言っているわけじゃないんです!」
と自分中心の理屈で業を煮やし、ほぼ拉致同然に若紫を二条の院に住まわせて既成事実を作ってしまった。
同時に正妻との不仲ぶりや、藤壺との子供ができてしまうというびっくりな話まで同時に展開される。
藤壺とそんな関係になってしまったことはそれまで何も書かれていなかったのに、急に『一夜の過ち』という記述でさらりと出てきてしまうところが古典な感じである。
しかし……お父さんの愛人との間に子供作ってしまって、いったいどうするんだろう。
作家・紫式部のストーリーテラーとしての能力の高さに驚く。
一千年も前の平安時代にこの水準の高さで物語を出したのだから、衝撃は相当なものだったろう。
当時の女性たちは読むのがさぞ楽しかったろうな。 -
マザコンとロリコンというウンザリな回だけれど最後に若紫が幸せそうなので救われる。