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感想・レビュー・書評
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都市伝説をベースにしたホラーアンソロジー。以下印象に残った作品。
『わが愛しの口裂け女』梶尾真治
病床の父親から明かされる母との馴れ初め。まあタイトルから彼女が口裂け女だったというのは想像つくが、思いの外、切ない話に落としてきた
『コウノトリ』山下定
異国で行方不明となった恋人を探し続ける主人公が辿り着いた真相とは。「だるま女」の話をベースにしているのだが、そこからさらに男にとっての恐怖譚に落とし込んでいる
『怪人撥条足男』北原尚彦
個人的にこのアンソロジーの中で一番面白かった(怖かった)。1870年のロンドンを跋扈する恐怖の怪人を怖いもの知らずの女記者が追う。序盤は新聞社での同僚男性との軽妙なやりとりなどライトミステリ風に楽しく読んでいたらば、後半でバッとひっくり返される。そして生まれ出た新たなる怪物へとつながる(年代的にわかる)ラストに思わず悲鳴
『見るなの本』田中啓文
小学校の図書室にあるという「見るなの本」。それを見つけたいじめられっ子の主人公が本の中の女の子と自分の共通点に驚いていると……。学校にも家庭にも逃げ場がない二人の子供にひたすら鬱々とした気持ちになる。現実の方が虚構より辛いのかもしれない
『名残』斎藤肇
幽霊の側から幽霊としての日々を綴るという不思議な話。それでも孤独ではないということだけでこんなにも色合いが変わるんだな
『悪魔の教室』友成純一
著者らしいエログロ残虐絵巻。少し突き放した描写は筒井康隆みたいな苦笑いを誘う。青春って残酷
『伝説の男』牧野修
知ったかぶりをしている者を見ると間違いを正さずにおけない性分の緒方。彼が会う人ごとに「それは都市伝説だ」と正すうちに、いつしか彼自身が怪異に巻き込まれていく。
最後らしく、有名な都市伝説のオンパレード。ラストまで貫かれていて良かった詳細をみるコメント0件をすべて表示