史上最強の哲学入門 [Kindle]

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  • 河出書房新社
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感想・レビュー・書評

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  • 西洋哲学の流れを分かりやすく説明してくれる哲学初心者には持ってこいの一冊。
    暇なときにパラパラ読める手軽さがある。
    自分たち凡人が考えるようなことはかなり昔に検討済である。ということがよく分かるのが面白い。

  • 難しいと思われる哲学が、よくまとめられ、とても読みやすかった。哲学に興味が持てるおすすめの1冊。

  • いろいろな哲学の入門書を読んだが、ここまでわかりやすいのは初めて。
    哲学に興味のある方は、まずはこの本から始めるのが良いと思います。

  • ・文字通りの「哲学」入門書。哲学者とその主義主張が、コンパクトに列挙されている。主義の気に入る哲学者を本書で見つけ、他の書籍で深ぼるのが良さそう。

    ・P86:レヴィ=ストロースの構造主義「真理は一つの方向で進むわけじゃない」

    ・P112:結局、現代において「真理」とは何なのだろうか?
     (1)真理を求める闘争は致命的
     (2)あらゆる学問での限界点発見

    ・P143:アリストテレスの論理学「国家は腐敗と革命を繰り返す」
    三つの政治体制
     (1)君主制=>独裁制
     (2)貴族制=>寡頭制
     (3)民主制=>衆愚制

    ・P205:新自由主義とは何か

    ・P258:ニーチェの超人思想「宗教や道徳なんて弱者のルサンチマン」

  • 【要約】
    本書は哲学という素人にはとっつきにくい学問を噛み砕き、わかりやすい言葉で歴史的に有名な哲学者を紹介する形で語った本。

    【重要な点】
    •プロタゴラス
    人それぞれという相対主義の提唱者

    •ソクラテス
    相対主義の台頭は、人間が真実の追求の手を休め、安住してしまうことであるとし、この相対主義に対抗したのがソクラテス。具体的には、雄弁をふるう相対主義の政治家たちへ相手取って、「〜とは何ですか?」と質問攻めにし、最後は回答者が答えに詰まったり、矛盾した答えをしたりするまで迫る方法を用いた。
    そして無知の知恵で知られるように、真実とは何か、私も知らないから一緒に考えていこうという姿勢をとった。、

    そしてソクラテスは真実を求め、徐々に若者たちの支持を集め弟子を増やした。そんな様子を政治家は疎ましく思い、偽りの罪で捕まえ裁判にかけて、最終的には死罪にしてしまう。(有名なソクラテスの弁明)
    ソクラテスはいつでも逃げられる環境にいながらも、死という恐怖から逃げずに真実を追い求めた。
    若者は死をもっても追求したい真実があるのかという点に感銘を受けた。その一人がプラトンで、彼はのちにイデア論などを論じ、今の大学の前身を作り、学びたい若者を受け入れた。

    •デカルト
    彼は数学者としても有名で、数学は絶対に正しい原理(公理)があり、それがあるから誰しも正しい結論を導ける。
    数学のように哲学にも公理を設定すればいいと考えた。そこで彼は絶対正しい公理を見つける為にあらゆる物を疑うことにした。
    そうすることで数学や物理、現実さえも疑いの的となり、最終的には疑う自分がいるということのみが真実という結論にいたった。例え全てがうそであっても、それが嘘ではないかと疑う私が存在することは真実。これが我思うゆえに我あり、である。

    •ヒューム
    あの疑い深いデカルトであっても疑わなかった神という存在に対して初めて疑いの目を向けた哲学者。全ては人間の経験によってもたらされる。複合概念という提唱したのもヒュームで、全く体験してないことであっても、体験同士を結びつけて想像することは可能で、それもまた体験によってできるものと解いた。例えばペガサスを経験することはできないが、馬と翼を組み合わせただけの概念であり、過去の経験の組み合わせからできたもの、つまり複合概念とした。

    •カント
    彼はヒュームよ懐疑に対して真っ向から戦いを挑んだ。
    たしかにヒュームの言う通り、人間は経験から知識を得ている。だが、その経験の受け取り方には人間としての特有の形式があり、それは経験によらない先天性なものである、と説いた。
    つまり、経験の受け取り方には人類共通の時間的及び空間的に物事を捉えるという形式がある。それはすなわちその共通の形式に基づく範囲内では皆が納得する概念や普遍的な真理、学問を打ち立てることができる。

    真理は人間によって規定されるものであり、Bという生物がいれば、そのBにとっての真理がある。

    •ヘーゲル
    カントは人間にとっての真理までは説かなかった。そこでヘーゲルが登場し、真理は到達の方法を具体的に弁証法を用いて指し示した。
    弁証法とは、対立する考えをぶつけ合わせ、闘争させることで物事を発展させていくやり方。
    例え、Aが四角に見える物体をBは丸に見えるといくかもしれない。議論していくうちに、あ、円柱だったんだと別の真理が見つかることがある。

    •キルケゴール
    どんな考えも弁証法によって発展していくわけだが、ヘーゲル自身の哲学も誰かに否定されなければならない。
    キルケゴールは、弁証法を使えばいつか真理に辿り着くという考えは、今を生きる者にとって何の意味もない。自分にとって真理だと思えるもの、そういうものを見つけることが重要と述べた。

    そこでヘーゲルとキルケゴールの哲学には対立が起こる。

    •サルトル
    その対立に対して、真理を追い求める為に自分達で考えようと言い出したのがサルトル。
    またサルトルは、人間は自由の刑に処されていると述べたことでも有名。自由とは、何が正しいのかわからないのに、好きにしろと放り出されてしまった不安定な状態のこと。
    それはつまり、人間は頼みもしないのに、何を選んでいいのかわからない世界に突然放り込まれ、君の人生なのだから自由に選びなさいと言われるが、その選択で失敗したら、おまえが選んだんだから、と責任を負わされる、そういう自由の刑に処されているとした。

    •レヴィ=ストロース
    サルトルが、人類の歴史には唯一の真理がある!その歴史を推し進める役割を積極的に果たそうと主張したが、それに対してレヴィは、歴史は一つの方向だけに発展はしていない。世界には様々な文化や価値観をもった社会が多数存在する。それらの文化や社会の間に優劣はなく、目指すべき唯一の文化、究極の社会などはないと反論した。

    •デューイ
    中世哲学(信仰によって真理に到達しよう)への批判から始まった近代哲学(理性によって真理に到達しよう)。
    このような考え方を更に批判的に見直したのが現代哲学。この哲学は、人間の理性に任せていても、結局戦争や虐殺等が起こり、人間の理性ってまともじゃないのだ。そんなものに依存するのではなく、実用的な考え(プラグマティズム)が主流になってきた。その代表的な提唱者がデューイである。

    Aを信じることが人間にとって有用性があるとしたら、Aの真偽によらず、Aは真理であるとした。

  • なぜ、自分が存在するのだろう?そもそもこの世界は実在するのだろうか?子どもの頃、漠然と抱いた疑問だが、先人達は既に考え尽くしていた。それが哲学だったとは。哲学について何も知らなかった自分にとっての入門書として十分すぎる内容だった。哲学を追及する中で科学が生まれ、世界は進歩してきた。これからも哲学を追及していくことで、我々の存在理由や起源などについても解明される日が来るのかもしれない。

  • 哲学って難しそうだけど、どういうものなんだろう?という読者に対して、「真理」「国家」「神」「存在」それぞれの軸でどのように思索されてきたのかがわかりやすくまとめられている。
    刃牙は未読なので、「刃牙らしさ」があったのかはいまいちわからなかったけれど、読みやすい哲学入門書としてはかなりおすすめできると思う。

  • 哲学の本では1番面白い

  • オーディブルで聞きました

  • 刃牙ファンが書いた西洋哲学者の紹介本。表紙とまえがきこそ刃牙成分多めだが、中身は刃牙を知らずとも全く問題ない。ちょっと独特な文章が差し込まれていたら、それは何らかのパロディであると思っておけばいい。

    それよりも本書がわかりやすいのは、繋がりを意識して書かれていることである。古代ギリシアのプロタゴラスから始まり、一つ前に解説した哲学に対して彼は、という形で進んでいく。これのおかげでコンテキストが分かり、主張を聞く態勢が出来上がる。ブログのような軽い文体もあってスイスイ読める。

    残念ながら俺は哲学に疎いので、本書の内容がどこまで正しいか、あるいは説明が適切かは分からない。おそらく概略としてはそれほど間違ってはないないだろうから、まず入門書として本書を読み、それから興味のある哲学者について専門的に書かれた本を読めばいいのではないか。コンテキストを把握するためには優秀な本だと思うので。

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著者プロフィール

東北大学大学院修了。会社経営者。哲学や科学などハードルの高いジャンルの知識を、楽しくわかりやすく解説したブログを立ち上げ人気となる。著書に『史上最強の哲学入門』『14歳からの哲学入門』などがある。

「2020年 『「最強!」のニーチェ入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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