母の友 2021年3月号 特集・さよなら、"みんなと同じ" ――個人が尊重される社会を目指して
- 福音館書店 (2021年2月3日発売)
- Amazon.co.jp ・雑誌 (92ページ)
- / ISBN・EAN: 4910075110312
感想・レビュー・書評
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特集がタイムリーで考えさせられた。簡単に『みんな違っていい』で済まない問題。鼎談の「みんなと同じが好き」が同調圧力にならないか、の懸念わかる気がする。武田砂鉄さんの『第三者として』は難しいけれどこれからのあり方の指針となる話。
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図書館。
p21...「多様性を受け入れることは、ときには自分が壊れることもあるということだとか。自分と違うことを言った人に、「違いっていいね」って受け入れることは、ときには自分の価値観や大切にしていることを捨てざるをえないこともある、それほどの威力を持ったものだと。」(大日向雅美×伊藤葉子×関根美有/今、子どもたちの間では?)
→結婚前は、違う価値観に出会っても、ある程度の距離を置くことで「違っていていい」と思うことができた。しかし結婚してから、家族の価値観を尊重することがすなわち自分の大切にしていることや価値観を宙に浮かせる必要がある、(捨てたくないからとりあえず宙に浮かせることで自分を保つ)ことが度々起こるようになった。
p30...「自分が話したいのはその人であって、その人の周辺で、なにがどうなっているから話したいわけではない。子どもの話もいいけれど、久しぶりに会ったのなら、まずはその人が今、何を考えているのかを聞きたい。(中略)どこか噛み合わない。軌道修正する時間には恵まれず、また次の機会になる。」
「「第三者には言われたくない」とい思ってしまうような意見が存在することと、第三者が語る行為そのものを切り離さないと、何も言えなくなってしまうのでは」
p33...「どんな人でも、大抵のことには第三者である。あることには当事者でも、多くのことには当事者ではない。」(武田砂鉄/第三者として)
p61...「何かを真剣に考え、学んでいるとき、結論が白黒はっきりする場合よりむしろ、自分が当たり前と信じていた常識が揺らいで、困惑させられることがしばしばである。科学とは、事実を単に積み重ねていくだけではなく、いつでも自分が間違っているかもしれないと、疑い続ける営みなのである。(中略)別の可能性に開かれていること。当惑や驚きを恐れないことこそ、科学的な態度ではないか。(中略)結論にすぐにはたどり着けないもどかしさに耐える。この姿勢こそ、いまの僕たちに、最も求められていることではないか。」(森田真生/かずをはぐくむ)
→もどかしさに耐えられなくて、知りたい、学びたいと思う。白黒付ける答えを、本の中の著者は持っているのではないか。それを教えてほしい!という気持ちで読書することが、特にエネルギーについて考えるようになってから、増えた。どきりとした。 -
特集「さよなら、”みんなと同じ” 個人が尊重される社会を目指して」は、鼎談も寄稿もいろいろ考えさせられた。
森田真生さんの連載は今回も尊い。
次号(新年度)からタイトル下の言葉「幼い子を持つおかあさん、おとうさんに。子どもにかかわるすべての人に。」が変更になるとのこと(生きていて、子どもにかかわらない人はいないのだから、要するにすべての人に向けて作られている雑誌なのだろう、ならばわざわざお母さんお父さんと例示しなくても…と特集への寄稿で武田砂鉄さんから「第三者の当事者性」にかかわる指摘もあり)。
それとどれぐらい関係するかどうかわからないけれど、連載「赤ちゃんのみかた」「母の風景」「みんなの小児科」は今回で終了。代わって、次号から小林エリカさん、諏訪部順一さん、小川たまかさん、森戸やすみさん、丸山素直さんの連載がはじまるとのこと。森田真生さんや大野更紗さんのエッセイや子らも楽しみにしているコミックエッセイ「答えがほしいわけじゃないの」「たぶん、なんとかなるでしょう。」などが続くらしいのはうれしくほっとする(しかし堀川真さんの体調が案じられる…)。