リボルバー (幻冬舎単行本) [Kindle]

著者 : 原田マハ

• 幻冬舎 (2021年5月25日発売)

感想・レビュー・書評

[yumiさんの感想 · 2021年8月2日]

「たゆたえどもしずまず」と「ゴッホの足あと」を
読んでいたのでゴッホのことはかなりこれで分かっていたので
この作品を読み進めていくのにはとても助かりました。

今回はゴッホを打ち抜いたと思われる銃がそこへ
加わり、更にはゴーギャンの生い立ちから遡り、
家庭環境、職業、性格などとあらゆることが加わったことで、
想像していたゴーギャンという人物像が少し違っていて
むしろゴッホに憧れていたのではないかということが
少し垣間見れたような気がしました。
本当のところは分からないですが。

冴の視点でゴッホと共にゴーギャンも古い過去の事では無く、
まさに今この目の前で起こったかのような描き方だったので
とてもリアル感があってストーリーに引き込まれてしまいました。

作品中にもありましたが、
ゴッホのような生き方が幸せだったのだろうか、
それともゴーギャンのような生き方が幸せだったのだろうか
と問われてもどちらかが良いとは分からないですが、
一見水と油のような二人が一時でも同じ物を見て
同じように考えてそれを描いたという素晴らしい時間があり、
そして素晴らしい絵画が残ったということが
あったのならばそれだけでも良い時間だった、
そして二人の良い関係があったのだと信じたいです。

ゴーギャンのゴッホへ対する思いや
ゴーギャンを愛してたそれぞれの人達の想いが
ラストに向かいながら徐々に表れてその愛情にも
うっとりとしてしまいそうでした。
オークションになってしまうものが
かけがえのない一つのものと考えるなんて素敵でした。

フィクションだと理解していても、
もしかしたらこんな素晴らしいことがあったのかも
しれないと想像してしまうと余計にこの作品には
心が震えてしまいます。

装画にはゴッホのひまわりが描かれていて、
表紙画にはゴーギャンの肘掛け椅子のひまわりが描かれているので、
これから読む方には忘れずに見て欲しいです。
そしてこれを見ながら作品を読んでみると良いと思います。

ゴッホの世界感も良いですが、
この作品でゴーギャンにも脚光が当たったので、
何かの機会があったらゴーギャンの作品も見てみたくなりました。
絵画や美術史を知らない私でも
ぐっとまた美術の良さが知りたくなる一冊でした。

[ひらりさんの感想 · 2021年7月21日]

4.1

[マリノスケさんの感想 · 2021年7月13日]

原田マハの最新作。ゴッホとゴーギャンの関係性についてのミステリーで、この二人の画家が好きな人にはたまらないテーマ。ゴーギャンのゴッホに対する心情の模写には感嘆させられる。

[choyaさんの感想 · 2021年7月10日]

押しが弱い。いまいち。

[uchinekoさんの感想 · 2021年7月2日]

ゴッホは本当にピストル自殺をしたのか? フィンセント・ファン・ゴッホと彼にまつわる物語を、現代に生きるオークショニスト・高遠冴の目線で描いたアート・ミステリ。

原田マハがゴッホの生涯を描いた「たゆたえども沈まず」も傑作だったけれど、その死の謎とゴーギャンとの関係をミステリー仕立てで描いた本作も力作だった。私がオルセー美術館へ行ったのは何年も前のことで、２人の関係を知っていればもっと楽しめたのかも…と思った。
（Ａ）

[g2altさん · 2021/07/08]

ゴッフォミュージアムを見に行ったのですが、もっとじっくり見ておけばと思います。

[みどふくmidofukuさんの感想 · 2021年6月28日]

私のこれからの人生で、絵画に向き合う時の眼差しが、この小説によって決定的に変化してしまった（と思う）。
美術史ミステリー。
主人公の物語と、絵画・画家たちの物語。
フィクションと分かっていても、美術史や絵画に詳しくない私でも、胸が震えました。

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。