混成世界のポルトラーノ

  • 左右社 (2011年12月7日発売)
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感想 : 1

五人の著者が三つずつの都市の紀行を寄せた一冊。北京、南台湾、ボルネオ、あるいは、モントリーオル、パリのようにつながりが感じられるのも、ハワイとして一つなぎに書かれたヒロ、ラハイナ、ホノルル。デリー、大東島、洛山という全く別個に思えるものと様々。食を通してみた国際色、地元の人ですらあんなところへ行くと死ぬぞという長城のもっとも険しい箇所、そして円明園が描かれる北京。南台湾の恒春半島で語られる台湾の原住民、それもオランダが来る前の文書に残らない時代の原住民への眼差し。そして「海角七号」という映画の舞台に。ボルネオではラクサと白人ラジャの物語が印象に。モントリオールとパリは、ハイチでつながり。またルワンダ出身でカナダで人気のあるコルネイユという歌手のこと。大連の尻切れとんぼ具合は、抜粋だからだと納得し。ネヴァダには荒地と馬の風景が読み込まれ。/舞台公演のために冬の霧のデリーに降り立った倉石さん/マン・レイの初期絵画「ロープダンサーは彼女自身の影を伴う」1916/日本では近代以降に限っても文学は暇な金持ちかあるいは高等遊民のレジャーの時間ばかりが描かれる長い伝統がありそれが不満だった/そして大東島の壁で囲まれたような特異な植生、八丈島と沖縄出身者によるクレオール文化、製糖事業の隆盛、北海道開拓写真と大東島開拓写真の対比。仲里効さんという大東島について書いてる方の文章には興味が湧く。/高橋悠治がパーセルを波の音と創造的に組み合わせたピアノ曲/ハワイの紀行を読むと、片岡義男「ラハイナに来た理由」「頬寄せてホノルル」が読みたくなる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年9月29日
読了日 : 2019年9月28日
本棚登録日 : 2019年9月28日

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