プークが丘の妖精パック (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社 (2007年1月11日発売)
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イギリス海岸沿いに住む幼いダンとユーナの兄妹が近くの牧草地の丘で『真夏の夜の夢』のお芝居をしていると、妖精パックが現れる。
パックは、プークが丘の近くにある海岸都市ペベンシーに関わりのある歴史の人物を呼び出して、彼らの物語を語らせる。ペベンシーは小さい都市ながらもイギリスの歴史的に重要な役割を果たしてきた土地だった。ダンとユーナは、彼らの話を聞きながらイギリスの歴史をしるだった。
キプリングが、イギリス歴史を児童文学として書いた本。二冊セットらしいが、こっちしか買わなかった…。
イギリスの歴史語りではあるが、若者たちの友情や冒険、歴史にこっそり顔を出す妖精たちの存在など、物語としてとても楽しめる。


かつてイングランドに来た民族たちは、それぞれ自分の神を連れてきた。だが土地が合わずに去っていった神々もいる。そんななかでちゃんと働いた神様もいる。鍛冶屋の神ウィーランドだ。人々に混じりすっかり普通の鍛冶屋になったが、仕事を感謝されることにより神々の国に戻ることができる。最後に設えた一本の剣は、見習い僧でサクソン人のヒューの手に渡った。
やがてノルマン人がイングランド征服にやってきて、サクソン人との戦いとなる。そんななかでノルマン人リチャード卿と、サクソン人のヒューの間には友情が結ばれる。ヒューの家の所領はリチャード卿のものとなった。だがヒューはリチャード卿とともに土地を管理した。二人の働きを認めたペペンシー城主アクイラは、正式に二人に土地の所有を認める。
やがて年月が経ち、引退を考えるリチャード卿とヒューは、北海への旅に出る。海賊ウィッタの人質になったり、木の上に住み唸り声を上げる悪魔(ゴリラのことだろう)と戦ったりしながら、海賊ウィッタとも友情を育み、大量の金を手に入れて戻る。
金はペベンシー城のアクイラのもとに預けられ、二人も城に残る。そしてアクイラに仕掛けられた反逆者という罠を既に年寄りとなった彼らは跳ね除けるのだった。
 /『ウィーランドの剣』『荘園の二人の若者』『騎士たちの愉快な冒険』『ペベンシーの年寄りたち』

ローマ皇帝がイングランドから撤退すると、残されたブリトン人たちは自分たちだけで、ピクト人たちから土地を守らなければいけなくなった。
グラティアヌス帝の時代に、イングランド生まれのローマ人パルネシウスは(ローマ生まれでイングランドに派遣された兵と、イングランド生まれのローマ人の間には階級の差があった)、軍隊に入り、百人隊長に任ぜられる。
将軍マクシムスの意に逆らったことで出世の道は閉ざされたが、変わり者のパルティナックスと気が合い、ピクト人アロを仲介としてピクト人対策を練る。
 /『第三十軍団の百人隊長』『大いなる防壁にて』『翼のかぶと』

聖バルナバ教会再建には多くの人の力が関わった。騎士たち、海賊たち、そして絵や図面ばかり書いていたので図面ひきのハルと呼ばれた若者の物語。
 /『図面ひきのハル』

非道な宗教改革の時代、フェアリーたちはイングランドから脱出を試みた。人間の力を借りる代わりに、人間にある約束をしたのだ。
 /『ディムチャーチの大脱出』

ユダヤ人カドミエルの物語。ペベンシー城に紛れ込んだ彼は、かつてリチャード卿とヒューが隠した金を見つける。だがこれをイングランド王が見つければより戦争が深まってしまう。
 /『宝と法』

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ●英国文学
感想投稿日 : 2022年9月13日
読了日 : 2022年9月13日
本棚登録日 : 2022年9月13日

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