フクシマを抱える日本にとって、チェルノブイリこそは学ぶべき先例なわけだが、その"観光地"としてのあり方をリポートする。災害地を観光地とするというのは一見奇妙ではあるが、人類の悲劇の遺産を訪れることで悲劇を感じ学ぶダークツーリズムの観点からみれば、必ずしもおかしな話ではない。歴史的に重要な遺産を維持し、後世の人々が訪れ体験できるようにすることは、それはそれで重要な行いといえる。
本書の続編では、実際にフクシマを原発史跡として観光地化するための思考実験が提示されるという。震災からわずか2年しか経ておらず事故も収束していない中で観光地化というのは早する、あるいはそもそも被災地の観光地化自体が不謹慎だという考えは多いだろう。だが、悲劇から学ぶことは必要なことであるし、対応が遅ければ遅いほど悲劇の遺産は失われていく。だからフクシマ観光地化というのは、一考の価値があると思う。
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- 感想投稿日 : 2013年9月14日
- 読了日 : 2013年9月14日
- 本棚登録日 : 2013年9月14日
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