自分の頭で考えて、行動する。
なるべくそうしたいなと、心がけています。
しかしこの本は、「私たちの判断・行動は、他からの働きかけによって大きく影響を受けている」と説いています。

まずその理由として、判断に必要な情報が多すぎること、そのため全部の情報ではなく、一部の情報によって判断・行動を選択する”思考の近道”を、人間は(必要に迫られ)してしまう、と説明しています。

影響を受ける要因として、返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性、を挙げています。
それぞれの要因について、”思考の近道”のスイッチが入った人がどのような行動をとるか、具体的な事例を交えて説明されています。

事件や詐欺の話が多いので、これらの心理的反応がマイナスに働いた場合、さらには悪用する人に遭遇した場合に、第三者から見て「なんでそんなことを・・・」と感じるような行動をなぜしてしまうのか?リアル感を持って理解することが出来ました。

自分自身、一貫性や希少性といった要因には影響を受けているなあと、反省させられました。
そしてやっかいなのは、これらの要因によって導かれる”思考の近道”は、通常であれば有効に働くということ。

「他人を見たら泥棒と思え」では、普段の生活もままならない・・。
大きな判断をする際やとっさのトラブルに遭遇した場合に、自分がどのような経緯で判断を下そうとしているのか、その判断はこの本に書かれている失敗パターンになっていないか、いま一度考える癖をつけたいと思います。

事例が多く、また各章ごとに振り返りもつけられているので、読みやすく理解しやすい、実用的な一冊でした。

『「自分」の壁』養老孟司
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4106105764

 .

2015年6月23日

読書状況 読み終わった [2015年6月23日]
カテゴリ 心理学

初めてお会いする人と話す、多くの人の前で話をする。
何度経験してもなかなか、「うまく話が出来た」と思えることが出来ないなあと、感じています。
そんな自分に気づいたときは、会話術に関する本を読むようにしています。
 
この本は、元NHKアナウンサーによる、話し方の指南書。
タイトルにある通り「信頼される」 をキーワードに、具体的なノウハウが書かれています。
 
まず前半は、著者がNHK時代に学んだ「NHK式7つのルール」について、そして後半は、心理学のノウハウをベースに、身体をいかに使うか、話始める前にすべきことは何か?について、書かれています。
 
特に印象に残ったのが、後半の部分。
 
手を使ったジェスチャーの部分では、手の位置によってずいぶん、相手に与える印象が違うのだなあと、改めて気づかせてもらえました。
また、本書に書かれている「第0印象」という概念も、頭に入れていきたいと思います。
 
本を読んだ後は気をつけているのですが、時間が断つと緩んでしまうのも事実・・・この分野も継続して読んでいきます。
 
『第五の権力---Googleには見えている未来』
エリック・シュミット ジャレッド・コーエン
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4478017883
 
 .

2015年3月17日

読書状況 読み終わった [2015年3月17日]

自分以外の人の行動を理解するには、その人の心理を理解する必要があるなあと、感じています。
そのため、コミュニケーションや心理学に関係する本を、読む機会が増えてきました。
この本は、以前読んだ佐藤優著『人に強くなる極意』で紹介されていたので、読んでみることにしました。
本書のテーマは、相手の心と行動を、自分の思うように変えてしまう「マインド・コントロール」。
まず、「なぜ人間は騙されてしまうのか」についての解説が書かれ、次にマインド・コントロールが行われる過程について、「無意識」「行動心理学」という2つのキーワードから説明がされています。
繰り返し書かれている記述に着目すると、マインド・コントロールが行われやすい状況として、以下のような形があるのだと、理解しました。
・周囲からの情報(5感)を遮断すること
・その状態を続けた上で、(加害者に)都合の良い、特定の情報を与えること
そして、その状態に陥る理由、さらにはその状態から脱出するための条件として、「つながりを求める」という、人間の基本的欲求がからんでいるという部分も、興味深く読みました。
マインド・コントロールというと、特殊な状況に置かれた不幸な人が、被害を受けるような印象がありました。
しかしそのベースとなる心理操作については、モノを買う場面や教育の現場等においても、日常的に見られるものなのだなあと、この本を読んで認識しました。
最終章のマインド・コントロールを「解く」技術については、さらに詳しい説明があればいいなと感じました。
でも、この分野についての基礎的な知識を得るためには、自分のような専門外の人にも、理解しやすい一冊だと思います。

2014年4月18日

読書状況 読み終わった [2014年4月18日]
カテゴリ 心理学

人と接する機会が多くなるほど、大切だなと感じるのが、コミュニケーション力。
その関連として、いわゆる「心理学」に関する本がまた最近、話題になっているように感じています。
この本は、「他人を支配する」「黒すぎる」という魅惑的な?題名が気になったので、読んでみることにしました。
全体の流れとしては、心理学の歴史と適用の事例から始まり、行動に影響を与える基本法則、そして表情、しぐさ、言葉といったカテゴリーに分けて、相手の心理状況を読み取るノウハウ紹介へと展開していきます。
紹介されている内容は、これまでに読んだ関係書籍と重複している部分があるなと、感じました。
逆に言うとそれだけ、この分野ではオーソドックスで重要な内容だということなのですね。
今回も読みながら、自分が無意識にやってしまうしぐさがいくつか、思い当たったので、意識して直していこうと思います。
この本に書かれていることを「テクニック」として操ろうとすると痛い思いをしそうな予感がしますが、相手の心を慮る手段として、この本に書かれていることを意識して、人と接するようにしたいと思います。

2014年4月9日

読書状況 読み終わった [2014年4月9日]
カテゴリ 心理学
タグ

目に映っているのに見えていない、あの時はこうだったはずと、思い込む・間違って解釈してしまう。
このような「錯覚」について、実例を交えて書いているサイエンス書です。
錯覚の要因を「注意」「記憶」「自信」「知識」「原因」「可能性」の6つの切り口から解説しています。
特に冒頭の、「ゴリラが画面に映っているのに気づかない」という著者たちによる実験結果は、大きな反響があったようです。
僕が特に印象に残ったのは、世の中には「気づき屋」も「見落とし屋」もいない、ということ。
状況次第ではどんな人にも錯覚が起こる、ということを意識して活動しなければいけないなと感じました(本書には政治家等の社会的地位のある人達の錯覚の事例も掲載されています)。
自分の記憶力、能力を過大評価しないこと、「知っているつもり」にならないこと・・・。
自分自身が致命的な錯覚を起こさないように、そして他者が起こしているかもしれない錯覚に気づくために、本書を参考にしたいと思います。

2012年7月5日

読書状況 読み終わった [2012年7月5日]
カテゴリ 心理学

好む好まないに関わらず、人間社会で円滑に生活していくには、「相手の心を汲み取る」ということが必要だと、つくづく感じます。
コミュニケーションに関する本を読むようにしているのはそのような理由からなのですが、その中でも最近目覚めた??のが、ボディーランゲージに関してです。
以前、この分野では『FBI式 人の心を操る技術』を読んだことがあるのですが、人間の動作というものが、想像以上に自らの心理状態を表していることを知り、驚いた記憶があります。
もっと知りたいと思っていたところ、書店に置かれているこの本を見つけました。
帯に書かれた「けっして、悪用しないでください」というフレーズにまんまと乗せられ・・・レジに運んでしまいました。
著者は、マジシャンになることを目指して勉強を進め、その後、通訳者としてのキャリアを積む間に、「スピーチをしている人が、次にどのようなことを言うかが読めるようになった」という”マインド・リーダー”。
このように書くと、”超能力”的な怪しさを感じてしまいますが、この本はれっきとした実用書。
相手の仕草を見て、そしてこちらから適切に働きかけることによって、相手の心を読み取り、思いのままにする方法が、具体的に書かれています。
僕が特に印象に残ったのが、「目の動きで心の動きが読める」という部分。
読後に自分自身の目の動きに注意してみると、確かに、この本に書いてあるような動きになることがわかりました。
そしてこの本では、ボディーランゲージだけでなく、暗示の効力など、人間の心理を左右する事柄について網羅的に書かれています。
著者がこの分野について広く深く勉強し、実践してきた積み重ねが、この一冊に現れているのだなと感じました。
何度か本文に書かれていますが、相手に興味を持ってよく観察することが、大切なのでしょうね。
そして断片ではなく、複数の情報を総合的に捕らえて、相手の心理状況を推察するように、心がけたいと思います。

2012年2月23日

ツイートする