『未来の文学』シリーズ最新刊。この叢書で刊行されるジーン・ウルフの著作としては、『ケルベロス第五の首』『デス博士の島その他の物語』に続いて3冊目となる。
前の2冊はシリアスで重厚な雰囲気が強かったが、今作ではなかなか毒のある笑いを喚起する作品が多かった。
一番毒があるのは『鞭はいかにして復活したか』。一種のディストピア世界を描いているが、登場人物が必死になっているところが滑稽でありつつ、語られるテーマはなかなかの毒っぷり。
毒っぽいと言えば『ポールの樹上の家』もそうで、これのラストシーンもなかなか。
『私はいかにして第二次世界大戦に敗れ、それがドイツの侵攻を防ぐのに役立ったか』と『フォーレセン』は軽い笑いを取っているようにも読める。というか、この2作は純粋にけっこう笑える。ただ、どちらも、ふと黒い部分が垣間見えるんだけども……。
しかし、一番好きなのは『まえがき』に仕込まれた掌編だった。『図書館の本をこっそり持ち帰る』というよからぬ行いを繰り返した結果には爆笑。
原題を直訳すると『ジーン・ウルフの〈今日はなんの日?〉』となるらしい。昔、ワイドショーにそんなコーナー無かったっけ?w
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年5月13日
- 読了日 : 2015年5月16日
- 本棚登録日 : 2015年5月11日
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