志乃ちゃんは自分の名前が言えない

著者 :
  • 太田出版
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本棚登録 : 1129
感想 : 109
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778321802

感想・レビュー・書評

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  • 高校入学前夜に必死に練習したけれど、結局上手く言えずクラスメイトに笑われた。その後も授業で当てられても答えられない。そんな毎日を過ごし昼休みも気まずくなったので、校舎裏でお弁当を食べることに。すると、足音が聞こえてきたので急いで隠れると──。吃音症の少女・大島志乃(おおしましの)と、ギターを演奏できるが音痴がコンプレックスのクラスメイト・岡崎加代(おかざきかよ)の交流を描いた作品。第1〜最終(11)話+あとがき収録。
    著者の実体験が元になっているからか、志乃がどもる場面や最終話の本音を叫ぶ場面が深く心に刻まれる。特に「私をバカにしてるのは 私を笑っているのは 私を恥ずかしいと思っているのは 全部私だから」という台詞は自己嫌悪に陥りやすい自分にも当てはまると感じ、何度も読み返したくなる。また、志乃だけでなく加代や菊池たちが相手に真摯に向き合う姿勢がとても良い。個々にコンプレックスはあるが勇気を出し行動する彼らに勇気付けられる。あとがきを含め多くの人に読んでもらいたい。吃音症をテーマにした作品、重松清さんの小説『きよしこ』を再読したくなった。

  • 「どもり」「吃音症」を作者の実体験を基に描いた作品らしい。ただ、あとがきにもあるようにそのような言葉は一切でてこない。
    もっと「誰にでもあるような物語」

  • 吃音のひとはすごく辛い思いをしているんですね……
    私自身は吃音の人のことを変とか面白いとか思ったことないし、個性というかその人の一部だと思っていたから(べつによいとか悪いとかない)変なかんじ。
    知り合いのお兄さんはむしろそこが可愛くてチャームポイントだと思っているのだけど、みんながみんなそんなふうにはなれないものね。

  • 音痴だったり空気読めなかったり名前が言えなかったり、みんなができる当たり前のことができないことへの怖さや悔しさが最後にわーっと発散されて感動したし読んでてすごく爽快だった。押見さんのあとがきでは、自分の欠点は時に武器になるということを身をもって実証していてちょっと勇気をもらった。

  • 志乃ちゃんの「くやしいッ」に、この漫画の全てが詰まっている。「悲しい」でも「辛い」でもなく「くやしいッ」なんだ。志乃ちゃんには言いたくても言えないことがたくさんある。号泣した。

  • 大島志乃は高校の入学式前日、自己紹介の練習をしていたが、当日言葉が出てこずにクラスで笑われてしまう。
    上手く喋ることができずクラスで孤立していた志乃は、音楽好きな加代と友達になる。
    ギターは上手いが音痴な加代と、喋れないが歌はつかえずに歌える志乃、二人は"しのかよ"を結成して学祭で歌う計画を立てる。

    作者の吃音の体験を基にした漫画。
    読んでいて何度も(´;ω;`)ブワッってなったよ。
    吃音には裸の大将みたいな連発型と、最初の言葉が出てこない難発型があるそうです。
    こういった事って学生の頃から知っていたら、世界がだいぶ違って見えただろうと思う。

  • これも良かった…「悪の華」を読んでいないのでアレですけれども、この一巻完結の漫画は非常に良かった! どこがどうってうまく言えないのであれですが…なんでも「あとがき」によると著者もこの漫画の主人公である志乃ちゃん同様、吃音症らしいのですが…だからでせうか? 著者の実体験がうまい具合に漫画と絡み合って妙なリアリティを醸成している!

    と僕などは思ってしまったのであって、だからこそ、実に傑作! と太鼓判を押すみたいな感じで読了できたのだな、僕は…そんな感慨を抱かせてくれる漫画でしたね、ええ。 ←は?? 社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    できることなら志乃ちゃんと男の子の恋の行方みたいなものも描いてくれたらよかったのですが…そこまではさすがに贅沢ってやつですか、そうですか…みたいな後ろ髪引かれるみたいな気持ちを僕に残してくれたこの漫画にアッパレ! みたいなセリフを棒読み口調で言いつつさよならしますか…さよなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • すごく伝わる。なんだろう。何度も途中震えた。僕の中にもあるんだ。敏感な部分が。あとがきを読んで、あーっとなった。そっかって。弱さを力に。

  • 頑張ればできる、頑張らないからできない、という安直な価値観にとらわれている人はちょくちょくいるわけだし、頑張っているのにできない者を異端として攻撃する人もしかり。
    旧来の学校組織における残念な現実を描いている。
    しかし終盤、頑張りや熱い想いによって克服するという展開は物語的には美しいオチなのかもしれないが、それは結局、頑張ればできるという価値観の肯定になってしまっていないか。
    まあ作者の実体験に基づいているならそれはそれで一つの真実なのだろうが…まあ門外漢がとやかくいっても仕方ないが、要するにそういう価値観は嫌いだ

  • 坂本慎太郎でてくる

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著者プロフィール

★漫画家。2002年、講談社ちばてつや賞ヤング部門の優秀新人賞を受賞。翌年、別冊ヤングマガジン掲載の『スーパーフライ』にてデビュー。同年より同誌に『アバンギャルド夢子』を連載した後、ヤンマガ本誌にて『デビルエクスタシー』などを連載。2008年より漫画アクションに連載した『漂流ネットカフェ』は、テレビドラマ化された。翌2009年より別冊少年マガジンにて『惡の華』を開始し、大好評連載中。

「2011年 『NEMESIS No.5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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