やし酒飲み (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003280119

感想・レビュー・書評

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  • PENのアフリカ特集で気になり、なんばStdで遭遇

    奇想天外な世界観
    言葉使いも不思議

  • やし酒のみが死んだやし酒造りを求めておもむく死者の町への道中は不思議で奇妙、魔術的で神話的。

    しかしそんなにやし酒というものは美味しいものなのか?

  • アフリカの背景?あり方?文化?を知った上でより楽しめるのかも。
    作り話として十分おもしろくはあるけれど。
    また折を見て再読しようと思う。

  • ◆乱暴に要約すると、やし酒を飲むことしか能のない町の有力者の息子が、亡くなったやし酒作りの名人を尋ねてはるかかなたの「死者の町」へ行くという冒険の物語です。◆ですがその世界に入ろうとすると、すべてが神秘的で衝撃的なのです。「なんだこれは」という驚きと、理解が追い付かない戸惑いを感じながら読み進めてゆくと、いつの間にか物語は終わっていて、ハッピーエンドなのか、そもそもエンドなのか何なのかもわからない、そんな不思議で面白い一冊でした。

  • その魅惑的なタイトルに、思わず手に取らずにはいられない一冊。岩波の惹句は「アフリカ文学の最高傑作」だが、確かに良くも悪くもアフリカらしい小説(偏見)。荒削りなストーリーの中に散りばめられた、いかにも土着といった雰囲気の民話の数々が、(翻訳で読んだので良く判らないのだが)「風変わりで不正確な英語語法」ともあいまって、クッツェーのような正確に欧米化された文学ではない、第三世界の野性味溢れる魅力を醸し出している。

    訳者による論考「チュツオーラとアフリカ神話の世界」、多言語作家 多和田葉子による解説も良い。

  • こんなところにもワンダーランドがあったなんて。気になるところにふせんを貼りながら読みはじめたけれど、ほとんど全ての行が埋め尽くされそうな勢いだったので断念しました。

  • あまり読む機会のない「アフリカ文学」作品。神話のような設定や登場人物、舞台背景などはあるものの、折々に通貨としてポンドが出てきたり、文明の利器がたまに登場したりするので、そういった部分に出会うたびに「あぁ、これは小説なんだ」と気づかされます。とはいえ、ナイジェリア出身の著者の想像力だけでこの作品が書かれているわけでは恐らくなく、現地の民間伝承や伝説なんかも組み込まれているのではないかと思います。

    死んでしまった「やし酒作りの名人」を連れ戻すために旅を続ける主人公が出会う人々や訪れる街は、神話的な雰囲気が色濃く出ています。死後の世界へ入っていく部分や、死者の町に住む人々の「生きている者」との違い、主人公に降りかかる困難を乗り切るための呪術、なんでも願いを叶えてくれる冥界からの土産と、その破損による主人公の置かれる立場の暗転などは、実際にこう言う神話がアフリカにあると言われたら素直に信じられるぐらい、リアルで生き生きとしています。

    他の地域の、いわゆる「神話」で描かれているのと同様、この作品でも「森林」や「川」が此岸と彼岸、あるモノたちの領域と別のモノたちの領域を分ける重要な要素となっています。自然に対する畏怖と尊敬に加え、アフリカならではの「異部族に対する意識」の現れを見ることができて、そういう部分から読んでも非常に面白い。

    日本語が妙なところが多々ありますが、これは原文(著者は英語でこの小説を書いているらしい)の英語の粗さを表現するため、あえてこのようになっているらしいです。正確ではない日本語の味わいも感じることができます。

  • ドラフト
    水木しげるに漫画化してほしい作品

  • 本作を真面目に捉えるならば、グリムやセルバンテスやスウィフト、はたまた太安万侶のようだと言えよう。しかしこれを与太話と捉えるならば地獄八景亡者戯や頭山ということになるだろう。そして自分は後者を支持するのである。

  • 読み始めて3~4ページで、読み慣れた小説とは何かが違うことに気づく。意味を取る、心理を読む、そういうおなじみの小説作法とは無縁の一冊。荒唐無稽な物語。西洋とも東洋とも違う、はっきりとした異世界感、アフリカの声。

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著者プロフィール

1920年、ナイジェリア生まれ。ヨルバ族出身。『やし酒飲み』はアフリカ最初の本格小説と激賞された。他の著書に『ブッシュ・オブ・ゴースツ』がある。1997年、没。

「2010年 『アフリカの日々/やし酒飲み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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