饗宴 (岩波文庫 青 601-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360132

感想・レビュー・書評

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  • 愛について
    恋について

    最近読むのは
    何か、
    かたちを探しているからで
    自分の中で答えを定義したいから


    ヘドウィッグに涙して
    思い出して読んだプラトンさんは

    やっぱりプラトン

    お酒の席での
    こういう話は昔から
    あるのね

    と親近感。

  • エロス(愛)について書かれている対話篇であるプラトンの「饗宴」ですが、概ね次のような事が書かれています。

    「本質的な美そのもの」に到達するためには順番がある。最初は人間で美しい人―美しい肉体―を求めていくこと、しかし肉体的な美だけを追い求めるのではなく、次には職業活動、制度のうちにある精神的な美を求め、最後には学問に至り、永久的かつ独特無二の存在である美そのもの、美のイデアを求めていく、という具合に。そしてそれぞれの段階―美しい人を求める時、職業活動、制度のうちにある美を求める時、美そのものを求める時、そこにはある原動力が働いている。それがエロスである。エロスは美しいものを追い求める愛である。美を求める人は、自らが欲する美が欠けているからこそ、それを求めるのである。そしてエロスは美を求める人と美の中間にいて、目的の美へと導いていくが、欲すれば、最終的には美のイデアへと連れて行くのである。

    私事ですが、10年前に本書を興味本位で購入しました。それまでに哲学の本を読んだこともなければ知識もなく、当然ながらエロスやイデアのことも知りませんでした。結果、内容が全く理解できず、そのまま本棚にしまいこんでしまいました。10年経ち、久々に読もうと再度手に取りまして、読了までに哲学史の本や哲学用語集などでソクラテスとプラトンの人物像や言葉の意味を、ある程度は理解した上で本書を読みまして、やっと上記のことがわかりました。失敗談として参考までに記載させて頂きます。

  • 学生時代に読んだっきりの本書を再読。
    さっと読むと普通に「ふむふむ」だったところも、今読むと「え、それは飛躍だろう」と思うことがちらほら。

    二千数百年前の本を今読んでなんやかや考えることができるなんてすげえなあ、と、内容に関係ないところで感動する。やるなプラトン。

  • 欲望というものを如何に考えるか、という対話篇で、
    いくつかの主張が各論者によってなされる。
    ソクラテスのものは美そのものを観取するのだ、というイデア論の先駆け的な主張。

    最後に、アルキビアデスの乱入が描かれたのは、
    アルキビアデスとソクラテスの関係性を書き換え、ソクラテスの立ち居振る舞いをポジティヴに描きだそうとした、というようなプラトンの政治的意図があるか。

  • 【本質的な恋愛論を語る】
    『饗宴』は、パイドロス、パウサニアス、エリュクシマコス、アリストパネス、アガトン、ソクラテスの6人が、ギリシア神話のエロス神を称えるという形で進んでいく。

    アリストパネスが説く恋愛論は、元々男女一緒だった肉体だったが、神によって引き裂かれ、その片割れを探すために恋愛をし続けるものであるが、フィクションチックであるものの、面白い。
    http://shira-chan.deviantart.com/art/Plato-s-Symposium-298480016

    ソクラテスは、生殖の目的は不死のためだという。自分の分身を作り続けることで、滅びるものは生き続けることができる。だからこそ自分の分身を守るためには、自分の身を投げ捨てることを厭わない。

    恋愛については、「肉体美→精神美→思想」へと考えを巡らせていくことが大事だという。思想へ恋愛が至った時、本質的な「愛」を理解し、本当に愛する人を見つけ、一生愛することができるとする。

    現代に言い換えれば、「かわいいなぁ/抱きたいなぁ」から入ることはなんら悪くない。しかし、その後相手の精神/教養までにも美を見出し、それを抽象化させ「愛」の思想へと発展させる必要がある。思想まで辿り着いた時、「他人になんと言われようとこの人を愛している」という状況が出来上がる。

  •  死ぬまでに読んでおいても以下略。有名な部分の前後だけはぱらっと読んでたけど、最初から読んではなかったんよ。読んだっつってもさらっと眺めただけで、内容は理解してないよ、日本語でおk状態。

     この年になってようやく気付いたけど、この系統は序説とか解説はすっ飛ばすべきだわ。本編に入る前になんじゃこら、ってなって結局読めないまま放置する。内容わかんなくても、とにかく本編を読むことに努めた方が全然ましだわ。
     ええと、愛、エロスについてとにかく褒めまくる宴会のお話。
     ちゃんとメモ取りながら読めばよかったけど、読み流したから、解釈違い、勘違いが多いとおもう。
     ファイドロス、パゥサニヤス、エリュキシマコス、アリストファネス、アガトン、ソクラテスの順。
     ファイドロスさんが言うには、エロスってすげー偉大なのよ、最古の神なのよ、少年を愛するのがそのエロスを得ること?なのよみたいな。
     パゥサニヤスさんは、エロスってのは二種類あってね、天上の愛と万人向けの愛でね、天上の愛がすごいのよ、みたいな。
     エリュキシマコスさんはお医者さんで、医学的見地からのエロス賞賛。エロスってのはいたるところで大切なのよ、みたいな。
     アリストファネスさんの部分が有名だよね、人間はもともと顔を二つ、手足を四本持ってたのよ、完全なる一になるために、運命の相手を探すのよ、それを成就させるのがエロスなのよ。
     アガトンさん、エロスってのは一番美しいし、一番幸い。
     ソクラテスさんのお話は、ディオティマという女のひとから聞いたお話を伝えてる感じ。エロスってのは完全無欠じゃねぇよ、むしろ美しくもなく醜くもなく、善でも悪でもない、その中間にいるのよ。じゃないと、美しいものを求めたり、善なるものを求めたりしないでしょ。求めることが愛でしょ、と。
     で、ソクラテスの演説が終わったときに、アルキビヤデスさんが乱入してきて、「みんな聞いてソクラテスってひどいひとなの、でもすごいひとなの!」とぶちかます、と。正直、最後の「僕はこんなにもソクラテスが好きなのにアガトンといちゃいちゃして悔しい!」っていうアルキビヤデスさんに全部持ってかれた感がある。
     抜粋、ソクラテスの演説中のディオティマさんの言葉。

    「(前略)こういう訳ですから、正しき意見〔ドクサ〕とは明かに智見〔フロネーシス〕と無知〔アマテイヤ〕との中間に位するようなものというべきでしょう。」

  • 再読。愛=エロスの本質を求めて男達が語り合い、愛の絶頂即ちイデアを求めて昇り詰めていく対話のエクスタシー。エロス、それは賢者と愚者の狭間であり神と人間の中間にいる神霊(ダイモーン)的存在。善きものの永久の所有を欲求するそれは肉体的不死/生殖へ向かい、それを心霊的生産へと向けることで徳へと至る精神を形成する。初読時には同性愛讃歌と思っていたが完全な誤読。とはいえ相変わらず恋愛体質で愛されボーイなソクラテスの口説き文句は絶好調。「こんなにオシャレをしたのは、美しい人の所へは美しくなって行こうと思ったからだよ」

  •  「研究発表会」「討論会」を意味する「シンポジウム」という言葉は、古代ギリシャの「饗宴」に由来し、「一緒に酒を飲む」ことを意味しました。古代ギリシャ人にとって、飲み会が研究集会であり、研究集会が飲み会だったのです。
     ジョージ・スタイナー曰く「劇作家としてのプラトンは、多くの点でシェイクスピアと互角と言ってもよく、さらに倫理的知性の強度ということになれば、ひとりプラトンの(あるいは双璧としてのダンテを加えてもよいが)独壇場である」「その人物としての厚みと存在感は、フォルスタッフやハムレットやアンナ・カレーニナについてわれわれが経験するところに、それを凌駕するとは言えないまでも、およそ匹敵するのである」。「その人物」というのが、プラトンの師にして、キリスト教以前のヨーロッパ世界における最重要人物と目されるソクラテスそのひとのことなのであります。

  • いつか読もうと思って古本で買ったまま積んどいたものをなんとなく読み始めたもの。しかし、疲弊していたからだとこころには予想以上に響いた。

    多くの参加者が饗宴のなかでエロス讃歌を披露していくわけだが、最終的にはやはりソクラテス(とデュオニソス=プラトン)をして締められる。古代のものとして舐めているとしたらとんでもない。中でもアンドロギュネスの議論とソクラテスの問答がシビれるほど鋭く、本当におもしろい。これを機にプラトンの他の著作にに手を出したくなる名著だった。必読の一冊!

  • エロスとは善への渇望
    物質的なものから、非物質的なものへと段階を追って上昇の歩を進める。
    「完全なる人生の教育課程をここまで登ったもののみが真に生きたと言える」

    愛とは、肉体、心霊、精神の上でも美しいものの中に生産することを求める。
    それすなわち、不死を求めるものとも置き換えることができる。

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著者プロフィール

山口大学教授
1961年 大阪府生まれ
1991年 京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学
2010年 山口大学講師、助教授を経て現職

主な著訳書
『イリソスのほとり──藤澤令夫先生献呈論文集』(共著、世界思想社)
マーク・L・マックフェラン『ソクラテスの宗教』(共訳、法政大学出版局)
アルビノス他『プラトン哲学入門』(共訳、京都大学学術出版会)

「2018年 『パイドロス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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