- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004130017
感想・レビュー・書評
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ぎこちない日本語に装飾された随筆(読み物)ですが、(今読むとしたら)歴史哲学としてもどの程度の重要性があるのかは分からない。
【目次】
はしがき(一九六二年二月 清水幾太郎) [iii-vi]
目次 [vii-x]
I 歴史家と事実 001
歴史とは何か/事実尊重の時代/歴史的事実とは何か/歴史的事実が生まれる過程/無智の必要について/文書が語るもの/十九世紀の歴史観/歴史家が歴史を作る/先ず歴史家を研究せよ/想像的理解の必要/現在の眼を通して見る/懐疑主義とプラグマティズム/歴史家の仕事ぶり/歴史的事実と歴史家
II 社会と個人 041
社会を離れた個人はいない/個人崇拝の時代/過去は現在を通して/保守主義者ネーミア/時代の流れと歴史家/歴史の産物としての歴史家/歴史研究の対象/個人の行動をどう扱うか/歴史における数の重要性/人間の行為が生む不測の結果/叛逆者をどう見るか/偉人をどう見るか
III 歴史と科学と道徳 079
歴史は科学であること/歴史における法則の観念/道具としての仮説/科学と歴史との間/一般化の意味/歴史と社会学の関係/歴史の教訓について/未来に対する予言/歴史研究の主体と客体/物理学的世界との類似/歴史における神について/歴史家は裁判官ではない/道徳的判断の規準/死骸の山を越えて/超歴史的な価値があるか/価値の歴史的被制約性/もっと科学的に
IV 歴史における因果関係 127
歴史の研究は原因の研究/原因の多様化と単純化/ポッパーとバーリン/自由意志と決定論/思想上の「未練」学派/クレオパトラの鼻/歴史における偶然とは何か/ロビンソンの死/現実的なものと合理的なもの
V 進歩としての歴史 161
過去に対する建設的な見解/歴史における進歩の概念/生物的進化と社会的進歩/歴史の終りということ/進歩と非連続性/獲得された資産の伝達/歴史における方向感覚/過去と未来との対話/「存在」と「当為」/「最も役に立つもの」/真理の二重性
VI 広がる地平線 199
現代の新しさ/自己意識の発展/ヘーゲルとマルクス/フロイトの重要性/現代の歴史的転換/理性の役割の拡大/理性の濫用をめぐって/世界的バランスの変化/地平線は広がる/孤立するものは誰か/それでも――それは動く
原注 [235-254]詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『ある時代の偉人というのは、何か彼の時代の意思を表現し、時代の意思をその時代に向かって告げ、これを実行することのできる人間である。彼の行為は彼の時代の精髄であり本質である。彼はその時代を実現するものである。』
ヘーゲルの古典的な叙述 -
うーん、わかんない。笑
通勤電車でちまちま読んだのがいけなかったのか、そもそもこの本を理解するだけのキャパがわたしになかったのか……
こりゃ両方だな。
でも、大学時代に出会ったいろんな視点が、この本の中にもあった、感じがする。
読み返す元気はないので、何かの折にちょちょっと見返したいと思う。 -
〈事実をもたない歴史家は根もありませんし、実も結びません。歴史家のいない事実は、生命もなく、意味もありません〉
事実は、歴史家が語ることで初めて歴史になる。
という主張にかなーーり共感。
歴史家の主観が入る以上、絶対確かな歴史なんてありえないのです。 -
歴史哲学の名著らしいのだけど、自分には畑違い感もあり、正直敷居が高くて厳しかったか、短い本なのにの読み終わるまで数日かかった。何にせよ、示唆に富むフレーズもところどころあり、ふむふむといった感じ。しかし、このレベルのものを読み込むための、その土台となる教養的部分が不足しているのを気付かされる…。
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オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。
http://books-officehiguchi.com/archives/4199945.html
「歴史学者E.H.カーといえば、「歴史は、現在と過去との対話である」というフレーズを思い出す人がいると思われる。私の今後の研究方針として、テロの事例の研究と事例から今後のテロ対策にどのようにいかすかという研究に取り組んでいきたい。この本で気になる箇所があれば、研究メモを配信したい。 」 -
歴史とは現在と過去との対話である。という言葉で有名なカーの講演。歴史は事実ではなく解釈である、というのが非常に面白いし、ああそうだなと思わせる深さを持つ。現在は物事の真理とか、原理とか、絶対性とか法則とか、そういうものを現実的に考えることがナンセンスになってしまっている。実際的なものというか、実用的なものというか、そういうことが第一であって、なんか躍動感というか平たくなってしまった今の世。
サー・アイザイア・バーリンがとことんこき下ろされて、大体敬称までつけたフルネームで最後まで呼び続けるいやらしさも、そのキャラクターだった。読んでいて楽しかったけれど、流し読みも多かったのでとどまっているものが少ない。もう2,3度読んだら少しは深まるかと思うけれど、後は心と相談。今日はそんな気分。
14/9/9