- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004308553
作品紹介・あらすじ
文久三年(一八六三)、幕末の京都に誕生した新選組は、「尽忠報国」を掲げながら攘夷ができず、不本意にも市街の見廻り役として行動した。しかし、翌年の四ヶ国艦隊下関砲撃を機に社会情勢は攘夷から開国へと激変する。彼らは、この事態にどのように対応したのか?近藤勇の書簡等を読み解きながら、結成から終焉まで、その実像に迫る。
感想・レビュー・書評
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今まで読んできた資料類の中で、疑問に思っていた書籍・箇所が
名指しで「そうじゃなくてこうでしょう」と描かれていて、すごくすっきりした。
一番「この解釈は面白い」と思ったのは、
近藤勇が天狗になった、と土方さんや沖田さんが言っているというのが、
大抵は近藤さんが調子にのりやすいタイプだったから、慢心したんでしょう
みたいに書かれていたんだけど、それが
「いや、天狗と言えば、芹沢と言えば水戸の天狗党でしょう?」
と言うもの。
だって、慢心したからなんとか言って下さい、って騒ぐだけ騒いで自然消滅。
なんていうのは可笑しいでしょう。
天狗党って話だったら確かに納得がいくかもしれない。
あと、勝さんに近藤さんの助命嘆願に行った土方さんの話とか。
いろいろと興味をもって読めました。
比較的発行年が新しい本だから、というのもあるけれど、
新しく且正解なのでは、と思わされる解釈が多く、勉強になりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日記や手紙から新選組の趨勢を解説。
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当時の人たちの日記や手紙を元に史実を紐解いて読む新選組。面白かった。
「燃えよ剣」くらいでしか知識を得てなかったから、固有名詞が多く難しいところもあったが。 -
新選組
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冷静な切り口。客観的に証拠をとらえて、憶測・推測はその旨をはっきり記述してある。とても面白くためになった。
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新撰組について、「尽忠報国」を標榜した思想集団から、(思想性を失った)幕府内の軍事部隊へと転じるとする。話の骨組みが明解でわかりやすい。しかし近藤勇の書簡が史料集になっていないというのは意外である。現在でもまだなっていないらしい。たぶん史料を囲い込む悪しき文化が新撰組研究の中にあるのだろう。しかも、異常に人気がある分野であるがゆえに、利権化しているのかもしれない。
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新選組のドラマや映画、小説の中の、歴史的な間違い探しをしたいときにおすすめの本です(笑)
誰かと新選組が出てくるドラマでも観ながら、「ここは歴史的には、こうなんだよ。これは間違いだよ」って言えますw(嫌なヤツ) -
人気の高い土方や沖田のなかに埋もれる局長近藤勇の書簡から新撰組に迫っていく流れで進んでいきます。新撰組、幕末好きなのにちゃんとした資料を読んでないなぁと思って調べたところ、この本が良本だということで借りて読んでみました。
読んでいて最初に衝撃を受けたのは、新撰組も長州藩も尊王攘夷という同じ思想をもっていたこと。幕末の動きは本当に複雑でまだまだ理解に及びませんが、攘夷を口約束だけで曖昧にしている幕府側につく新撰組と、早く攘夷をしてほしい長州藩が実は同士であったのか…と深く驚きました。
それが長州藩の倒幕に向かう動きなどでまた幕府側も大いに揺れまくる…。江戸末期の混乱がここに現れてるなぁと思います。
近藤勇がだんだんと政治的な権力をもっていく様がわかりやすいし、なにより時代小説だけで凝り固まっていた自分の認識を正してくれます。
これは幕末、新撰組を知りたい人や好きな人なら読んでおくべき本かもしれません。ただし一度で理解はできないと思います。
わたしは図書館で借りましたが購入を考えてもいいなぁと思いました。
最後に余談ですが、阿部十郎、人斬ってたのか(꒪⌓꒪) -
幕末の京都に誕生した新選組は、「尽忠報国」を掲げながら攘夷ができず、不本意にも市街の見廻り役として行動した。しかし、社会情勢は攘夷から開国へと激変。彼らは、この事態にどのように対応したのか?近藤勇の書簡等を読み解きながら、結成から終焉まで、その実像に迫る。
読もう読もうと買ってから半年たってました・・・。岩波新書なんて普段読まないので、かたいなーと思いながらも何とか読破。今までの研究に比べてかなり切り口が違うようですが、正直何も知らないのでそのあたりはよく分かりませんが、新選組の流れは分かりやすかった。思想集団だったのがそうではなくなったというのは意外でしたね。初心者よりちょっと新選組について知ってる人向けな感じ。この時代だから仕方ないけど、命を落とした人と、生き延びた人の落差が激しくてなんか切ない。 -
新選組がどういった目的を持っていたのか、何をしようとしていたのかなどの政治的、思想的部分を近藤書簡を中心に検証した本。初心者には理解しがたい部分もあると思いますが、ぜひとも入門書の次に読んでほしいと思います。
新書という範囲で出典を明らかにするために注釈が駆使され、見落とさず出典も読んでいただきたいです。
手元において読みたい一冊です。