社会学入門: 人間と社会の未来 (岩波新書 新赤版 1009)

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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004310099

感想・レビュー・書評

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  • 見田宗介への入門

  • 社会学の入門、というより、エッセイに近い。
    前著が良かっただけに、期待していたが、つながりが見えず、雑ぱくな印象で残念。

    ただ面白い部分もあった。以下に抜き書き。
    ・時間を「使う」のは近代。その前は、時間を「生きる」
    ・貨幣は限定され/普遍化された交換のメディア
    ・関係の絶対性と中東問題
    ・〈自立〉の思想
    ・四つの産業革命は継起的ではなく、重層的。
    ・多くの〈良い集団〉のつまづきの石は、必要以上に圏域を拡大しようとしたことにあった。
    ・〈自由な社会〉とは、万人がシーザーである社会。

  • [ 内容 ]
    「人間のつくる社会は、千年という単位の、巨きな曲り角にさしかかっている」―転換の時代にあって、世界の果て、歴史の果てから「現代社会」の絶望の深さと希望の巨大さとを共に見晴るかす視界は、透徹した理論によって一気にきりひらかれる。
    初めて関心をもつ若い人にむけて、社会学の「魂」と理論の骨格を語る、基本テキスト。

    [ 目次 ]
    序 越境する知―社会学の門
    1 鏡の中の現代社会―旅のノートから
    2 「魔のない世界」―「近代社会」の比較社会学
    3 夢の時代と虚構の時代―現代日本の感覚の歴史
    4 愛の変容/自我の変容―現代日本の感覚変容
    5 二千年の黙示録―現代世界の困難と課題
    6 人間と社会の未来―名づけられない革命
    補 交響圏とルール圏―「自由な社会」の骨格構成

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    [ 参考となる書評 ]

  • 気流の鳴る音を読んで見田宗介(真木悠介)に興味を持ち読んでみた。気流の鳴る音は社会学に対する興味を抱かせてくれた1冊で、では社会学とは何かということを示しているのが本書なのかなと。

  • 近代、現代、ポストモダン。現実と対義語となりえる夢、理想、虚構という言葉でそれぞれの時代を表せる。
    社会学は根拠が不明瞭に思える部分が多く軽視していたが社会学の存在意義がこの本を読み少しわかった気がする。
    いろいろな学問を横断し、それをその学問だけの世界にとどめることなく、広く応用していき、よりよい人間としての未来の為に活かす。

  • 読みやすかった。
    社会学は射程の広い学問だから、
    ひとことでまとめるのは難しすぎる。
    でも、この本はきれいにまとまっていると思った。押さえておきたいって感じ。
    これを読んだだけでは、社会学とは?に対する答えはまだ見えないけれど。

    ただし、私は今社会学史を総ざらいしたかったのであって、
    現代社会論を読みたかったわけではないのでそういった意味では役立たずであった。

  • 近代以降の社会の変遷を読み解き、さまざまな例や文献を引用しながら社会学の初歩的な部分について述べた本。

    近代以降の日本社会の基底に何があったのか、筆者の見解も含みながら俯瞰的に社会学に触れているので、教科書的側面も持ちながらも退屈させない。
    様々な問題に通じる分野であるため、どんな分野の人にもおすすめできる。

    中でも「現実」の3つの対義語を挙げ、近代以降の日本を3期に分けて整理した歴史認識はわかりやすかった。
    間・関係性など、社会学に関する気になるキーワードがいくつも発見できる。

  • すべては関係性。

    あたりまえだけれど、「関係性」というフレーズで思考の整理ができた。

    社会とは?
    ということを一度整理したい人にはおすすめ。

  • まずは論理学の野矢先生の言葉から。
    「私は、『入門書』というものには少なくとも二種類あると思っています。ひとつは、これからもっと進んで勉強していくひとのために、その第一段階の基礎を教える入門書。(中略)私が考えるもうひとつのタイプは、少し唐突な言い方ですが、『哲学』です。つまり、その学問の根本的なところ、その本質を、つかみとり、提示する。(中略)表面的なあれこれを拭い去って、根本を取り出そうとするその態度は、まさしく哲学です。」(野矢茂樹『入門!論理学』中公新書)

    本書はまさしく、「哲学」型入門書です。社会学の根本問題、社会とは何で、どのように形成され、どのようにあるべきか、という問題が、人間の根源的な性質 ──愛とか自我とか他者との関係とか──を抜きにしては考えられないものであることを示し、その上でそれらの問題とどう対応して行くべきかをなるべく平易に語っています。

    それは著者の根本に、
    「第一に、人間は必ず死ぬ。人類の全体もまた、いつか死滅する。その人類がかつて存在したということを記憶する存在さえ残らない。すべては結局は『虚しい』のではないかという感覚でした。第二に、その生きている間、すべての個体はそれぞれの『自分』をもって、世界の中心のように感じて、他の『自分』と争ったりまた愛したりする。この『自分』と他の『自分』たちとの関係が、友情や恋愛や家族の問題から、経済や政治や国際関係の問題に至る、実にさまざまな現実的な問題の根底にあり確信にあると把握される」ということが、著者にとって「ほんとうに切実な問題」として意識されているからでしょう。

    行き着くところは人間学であり、その根本へのアプローチという意識で本書は記されています。
    前半は比較的読み易いのですが、後半は図表やグラフなども登場し、やや専門性の高いものとなります。その点、語句や概念の説明をもう少し丁寧にしてくれれば、「新書」としてより受け入れられやすいものとなったのではないか、と思います。

  • メモ)
    p170 ニーチェの生涯、バタイユ
    1.失われた至高性を回復すること、2.他者に強いられる至高性の一切を拒否すること(=キリスト教への抗議)

    <近代社会が個人たちのゲゼルシャフトであるということはフィクションであって、近代の市民社会は、「核家族」を基本形とする他のさまざまの、微分化されたゲマインシャフトの、相互の関係としてのゲゼルシャフトであった。…(ジャン・)ボダンは「市民」を「家族の長が、その指揮する家から出て、他の家族の長と交易し取引する時、……彼は…市民(シトワイアン)と呼ばれる」と定義している。>p184

    p190 交響するコミューンの具体的な形 は、数世代の間「家族」の形式をとるだろう。

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著者プロフィール

1937年生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。著書に『まなざしの地獄』『現代社会の理論』『自我の起原』『社会学入門』など。『定本 見田宗 介著作集』で2012年毎日出版文化賞受賞。東大の見田ゼミは常に見田信奉者で満席だった。

「2017年 『〈わたし〉と〈みんな〉の社会学 THINKING「O」014号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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