やさしい日本語――多文化共生社会へ (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316176

感想・レビュー・書評

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  • ◆英語ではなく、「ひらがな」情報が求められる「多国籍」日本の現実(弁護士ドットコムニュース 2019.12.22) https://www.bengo4.com/c_16/n_10561/

    ◆第4章 注7「外国にルーツを持つ子どもたちの東京都の公立高校への進学率」 https://berd.benesse.jp/special/co-bo/co-bo_theme1-1.php

    ◆「バカにしてる」総ひらがなツイートが炎上した理由と日本の未来(withnews 2019.12.14): https://withnews.jp/article/f0191214001qq000000000000000W0cx10101qq000020202A

  • とりあえず、NHKのwebサービス、NEWS WEB EASYを見てみようと思いました。英語学習よりも、日本人がやさしい日本語を知って使えることの方が、かなりメリットがあるように感じます。

  • 1章 移民について
    多文化共生社会をことばから考える。
    移民2世が日本で生活していく上で日本語の習得が課題となる。
    日本語能力のハンディキャップを埋めるための「やさしい日本語」になり得る。
    それだけでなく、ろう児に対しても有効。
    社会構造の観点から移民は不可避との立場。
    どうやって移民者を受け入れやすい社会にするか、そのツールとしてやさしい日本語を考える。

    2章 外国人への情報提供
    外国人は2種類。
    旅行者などの短期滞在者と定住者。
    短期滞在者には、公共情報の提供が課題。
    和製英語を廃止すること。
    発音記号も注意。
    外国人が母語で言えることを日本語で言えるようにする。

    3章 やさしい日本語の形
    学習モデルを日本語学などの知見から検討。
    やさしい日本語で重要なのは、意味がわかった上で使える「算出レベル」の単語。
    日本語を使って生きていくために重要なのは、「母語で言えることを簡単な文型を使って日本語で言える」こと。
    これに即して文法項目を減らす。
    日本語にも方言があり、共通語としての認識も地域性が現れる。

    4章 外国人の子どもたち
    子どもたちは、自分の意志とは別に日本に来ている。
    日本でどのように生きていけるかが重要。
    外国にルーツを持つ子どもたちにも、日本人の子どもたちと同じ道を歩む機会が与えられるべき。

    5章 障害者とやさしい日本語
    ろう者にとって、「口頭」日本語は母語ではないということが理解されていない。
    手話は言語として認識されていない。
    障害者は言語的マイノリティーである。

    6章 地域の共通言語としてのやさしい日本語
    日本語母語話者に重要なのは「自分の考えを相手に伝えて、相手を説得する」日本語能力。
    日本語母語話者同士では、適当に話しても通じるが外国人ではそうはいかない。
    コミュニケーションとは、自分の考えを相手に伝え、説得するスキル。


    <ソシュールによる「言語の恣意性」>
    イヌという単語の音「シニフィアン」と、イヌが持つ「シニフィエ」の間に因果関係はない。
    もし、それがあるならばどの言語でも同じ単語が用いられるはず。
    言語には、音声(シニフィアン)と対象(シニフィエ)が常に結びついている。

    <参考文献>
    新井一二三『中国語はおもしろい』講談社

  • 新 書 IS||810.7||Ior

  • 807?

  • 日本で国際化とか多文化対策とか言うと、すぐに英語を考えるけれど、日本にいる定住外国人のほとんどは英語がわからない(母国語が英語ではない)。
    周りを見渡せば、中国、韓国、フィリピン、タイ、ベトナム、ブラジル……彼らがわかるのは母国語と「やさしい日本語」
    全ての言語で必要な情報を届けられるのは理想だけど、火急的速やかに間を取り持つことが出来るのは、やさしい日本語ではないか?
    という至極もっともな「やさしい日本語」普及の重要性を訴えるお話。
    多文化共生をテーマにしているので、定住外国人をポイントに絞っていますが、5章では障害をもつ人(特にろう児)に触れ、高齢者にもふれています。(事故や加齢で誰でも障害者になりうるので)
    途中ちょっと難しくてめげそうになりましたが面白く読めました。
    これも科研費で行われた研究の一部だとか。
    蜘蛛の糸のバイオリンの時も思いましたが、一般にも届く研究が、知らないだけでまだまだあるんでしょうね(突き詰めればどれもなんらかの形で役に立つはずではありますが。不正とかは抜きにして)

  • 出版社の紹介ページ:
    http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/43/0/4316170.html

  • 2016.10.15市立図書館
    多文化共生社会の基盤としての「やさしい日本語」の理念と実践例。NEWS WEB EASYや横浜市の多言語対応などすでに身近なものも多く興味深かった。多文化共生を実現するには、日本に暮らす外国人に日本人母語話者並みの日本語力を期待するのではなく、基本的な文法や語彙をベースにした「やさしい日本語」を共通言語にするといった思い切った発想の転換が必要だというアイデアには共感する。ただ、自治体からの発信に配慮を取り入れるような形のものは現実的で、現に少しずつ形になっているのに対して、多くの日本人が「やさしい日本語」の使い手になるという理想はかなりハードルが高そうだと思った。また、理念を誤解なくていねいに説明するために必要なのは重々わかるのだけれど、話の進め方がアカデミックすぎて一般読者向きにはちょっととっつきにくい文体なのが惜しい気がする。
    非母語話者とのコミュニケーションのための言葉のUDは高齢者や障害者など従来型のお役所文書を解読するのが難しいすべての人のためにもなるが、専門家と非専門家のコミュニケーションの問題も「やさしい日本語」でなんとかできないものかしら…

  • 日本在住外国人が増えてきているが、公共の場所に掲示されている案内文や道路標識は、英語併記のものが少なく、特に災害などのときに外国人に情報が届きにくい。
    しかし、実際、日本に住んでいる外国人に、英語と日本語どちらがわかるのかと聞くと、日本語の方がわかる、という答えの方が多い。
    そこで、この本では、普通の日本語をかみ砕いた日本語(やさしい日本語)になおし、ひらがな併記にすることで、これら外国人の理解度を上げることができると提案している。
    難しい日本語からやさしい日本語へ訳した例がたくさん出てくるが、それらがとてもわかりやすい。

  • 相手に対する「さやしさ」が会話にも表現されるということでしょうね。

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著者プロフィール

庵 功雄 (いおり いさお)
一橋大学 国際教育交流センター 教授

「2022年 『日本語受身文の新しい捉え方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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