平安のステキな!女性作家たち (岩波ジュニア新書 976)

著者 :
  • 岩波書店
4.36
  • (5)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 115
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005009763

作品紹介・あらすじ

千年前の彼女たちも、一生懸命生きていた! 源氏物語や枕草子はなぜ書かれたのか? 紫式部が清少納言や和泉式部に抱くジェラシー。明るい枕草子の悲惨な背景。蜻蛉日記に込められた心の叫び。更級日記に綴られた後悔。紫式部、清少納言、和泉式部、道綱母、孝標女――作家同士の関係もわかる、ハートを感じる王朝文学入門書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 図書館の新刊コーナーにあったので手に取りました。
    ジュニア文庫なので平易な言葉で親しみやすく書かれているので理解しやすい。
    平安を代表する女性作家たちも苦悩がてんこ盛り。いつの時代も悩みは変わらない。
    平安文学への入口に相応しい一冊です!

  • 平安時代の女性作家たちの人生や暮らしをざっくりとさらえた。やさしい言葉で書かれているので、わかりやすかった。語り口はポップ。
    たくさん入ってるイラストが綺麗でわかりやすくていい…早川圭子さん(日本画家)の絵だそう。

    コラム(特に、歌集のいろいろ がありがたかった!)や写真、たくさんあげられてる参考文献等、入門書に適してるなと思った◎

  • 平安時代の女流作家を取り上げ、生涯、書いた内容、当時の風習、書いた経緯などが紹介されている。
    それぞれの作家の呼び名も道綱ママ、せいちゃん、むらちゃん、和泉さん、さらちゃん などと親しみやすい。
    関係者系図、略年表で確認しつつ読むと、分かりやすかった。

    道綱母
    兼家とのセレブ婚がハッピーではないことを人に読んでもらう前提で21年間の内容を書いたという。
    兼家が冷たいというようなブルーな話なので、まさか日本三美人の一人だとは意外だった。
    兼家と別れて60歳まで生きたというが、離婚後はどういう風に生きたのだろう。

    清少納言
    褒められた自慢話が多いイメージだったが、大歌人の娘であることや、髪や容姿にコンプレックスがあったりもして、定子に仕えている時が彼女の人生の中でハイライトだったのだなという印象を受け、やはり晩年はどう生きたのか気になった。

    紫式部
    20歳年上の夫が亡くなった悲しさを物語制作にぶつけたと解釈している。
    清少納言、和泉式部を批判したりなど、陰キャラのイメージだったが、道長との仲を匂わせるなど批判相手と似たような部分を彼女も持っていて、ただ負けず嫌いな人という印象を持った。

    和泉式部
    名前は知っているがあまり、彼女について知らなかったので、興味深かった。
    恋愛に関しては少女漫画の主人公のような展開の人生。
    身分違いで頻繁に会えないから、お相手の親王が自邸に彼女を連れてくるあたりは、なんとなく源氏物語の帝と桐壺更衣を連想してしまう。
    愛された自分の身体も、愛した人の形見という表現が色っぽく、モテた人だったのも分かる。
    大スキャンダルの真相をお相手の尊厳を守るために当事者が語ったものが和泉式部日記であるというのもドラマチック。
    再婚相手は20歳ほど年上なので、穏やかな人生を送ったのではないかと感じた。

    菅原孝標女
    更級日記の作者としか知らず、更級日記の内容も知らなかったが、菅原道真の子孫で道綱母とも親戚関係だったりと興味深いプロフィールだった。
    物語好きで源氏物語が憧れ作品と書かれており、今どき女子感があったのと、当時でも源氏物語は本当に人気だったのだなと実感した。夢の伏線回収も、自分の人生の経験も大きな一つの物語として捉えているように思った。

    平安時代の女性たちの想いが窺い知れる一冊だった。

  • 道綱母、清少納言、紫式部、和泉式部、孝標女の経歴と作品が、「川村節」で紹介されていく。
    既刊の「平安女子の楽しい!生活」などの路線で、親しみやすく、読みやすい。

    『蜻蛉日記』について、「ネガティブモード」で貫徹したすごさを指摘していた。
    また、『更級日記』に出てくる宮仕えへの夢を、物語への夢、物語作家としての自己アピールとして読み解いた。
    この辺りは、そういう見方をこれまでしたことがなかったので、新鮮だった。
    川村さんの説なのかもしれない。

    よく取り上げられる作者たちだけれど、こんな話があったんだ、という発見もあった。
    まず道綱母(本文では「道綱ママ」)。
    養女を時姫所産の詮子とともに裳着させたという話は、今まで読み飛ばしていたところ。

    孝標女(本文中では「さらちゃん」)は、道綱母との親戚関係についてはよく話に聞いたことだったが、ここでは定子とのつながりが掘り起こされていた。
    少女時代の孝標女(本文では「さらちゃん」)に親戚の命婦の衛門が贈ってくれた物語が、脩子内親王のお下がり品だったこと、そして彼女が後に仕える祐子内親王は、一条天皇と定子のひ孫。
    狭い貴族社会なんだから、同時代に生きていた人の間には何かしらのつながりはあるでしょうよ、と思う自分もいるけれど、やっぱりこういう話を聞くと、おっ、と思ってしまう。

  • これも一気読み。本当は一緒に購入した『平安男子の元気な生活』の方が先行みたいだけど、明日の『光る君へ』に清少納言の有名なシーン(香炉峰の雪)が出るらしいので、こちらを先に読まずにはいられなかった。
    『平安女子…』と同様の超現代的表現による、川村先生の語り口は、本当に軽快!逆に、こういう表現に慣れてない方々にはちょっと眉を顰められるくらい⁇昔「桃尻版 枕草子」が当時の若者であったはずの自分にはちょっと苦手だったので、今の若い人でも苦手な人はいるかもね。
    道綱母と清少納言のあたりで、一瞬、大石静さんもこの本読んでないか…と思ってしまったけど、発行がかなり最近なのでそれはないかな? ただ、参考文献に上げられてる物のどれかは読んでおられたりするかもしれない。
    大河によるブーム、言葉の鮮度という点からも、今、まさに若い人に読んでほしい1冊。あ、そのノリについていける大人も。
    ちなみに「大人になったら読んでくださいね」という読書案内(?)が何ヶ所かあり、「これはもう、しっかり大人な自分は早いとこ読まなきゃいけないな」と思った次第。

  • 【選書No】035

  • 藤原道綱母、清少納言、紫式部、和泉式部、菅原孝標女のことが書いてありました。有名すぎる清少納言や紫式部のことは多少知ってますが、他のお三方の書いたものについてはよく知らなかったので、興味深く読みました。

    この五人は、書いたものの形式や内容がそれぞれに異なっています。エッセイ、小説、自伝的な日記(主婦の日常、大恋愛の回想や歌、旅)など。セレブ婚だった道綱母、略奪愛の和泉式部の日記を書いた動機などはなるほど~と思いました。
    特に、道綱母の日記は、セレブ婚してても、一夫多妻のなかで生きる女性の焼きもちや焦り・不安なんかが書かれているらしい。で、これが紫式部の心理描写に影響を与えているって話も興味深い。日記を書いた動機が、作り事やうそではなくて本当のことを書く!そして自分の気持ちまでも正直に書いた。で、回し読みされる(回し読みに出す?)。ふつうは恥ずかしいと思うんだけど、よほど怒りのエネルギーがあったのかなとも思ってしまいます。「聞いて、こんなことがあったんだから!信じられない、私の気持ち分かるでしょ!」みたいな感じ?だって、当時の女性は顔もろくろく人に見せないですよね。源氏物語でも女君たちですら几帳を隔てて会話してる(高貴な人だからかな)。なのに、心のうちを暴露するなんて凄いのでは?そして、それが源氏物語に繋がるんだから、またまた凄い。

    形式も内容もさることながら、だれもかれもタイプの違う作家が並んでいて、きっとこの中の誰か一人は読んでみたくなります。

    私は孝標女の更級日記を読んでみたくなりました。すごく身近に感じるし、書かれたものは量的には短いらしい。なのに、孝標女の人生がぎゅっと詰まっているらしい。長いのを読むのが苦手な私にぴったりかも。

    読みたい古典が増えて嬉しいです。



  • 平安時代の女性作家にスポットを当てた本書。藤原道綱母(『蜻蛉日記』)、清少納言(『枕草子』)、紫式部(『源氏物語』)、和泉式部(『和泉式部日記』)、菅原孝標娘(『更級日記』)の作品を引用しながら、彼女たちの生活や作品に込められた思いを解き明かしていきます。

  • 平安女子、男子に続くシリーズ。3冊目もとても分かりやすく面白かった。せいちゃん、むらちゃんそしてさらちゃんなどあだ名がついて、とても親近感も湧くし所々の解説も良い。サクサク読み進められます。さらちゃんの更科日記だけは読んだ事がなく興味が湧きました。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/569189

全15件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

昭和三十一年、東京生まれ。武蔵野大学教授。立教大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期課程修了。博士(文学)。活水女子大学助教授、新潟産業大学教授を経て、現職。

【著書】
単著に『蜻蛉日記の表現と和歌』(笠間書院、平成十年)、『新版 蜻蛉日記Ⅰ(上巻・中巻)』・『同Ⅱ(下巻)』(角川ソフィア文庫、平成十五年)、『王朝生活の基礎知識--古典のなかの女性たち』(角川選書、平成十七年)・『王朝の恋の手紙たち』(同、平成二十一年)・『王朝文学入門』(同、平成二十三年)、『ビギナーズ・クラシックス 更級日記』・『同和泉式部日記』(角川ソフィア文庫、平成十九年)。編著に『王朝文化を学ぶ人のために』(秋澤亙氏と共編、世界思想社、平成二十二年)など。

「2012年 『王朝文学の光芒』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川村裕子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
夕木 春央
凪良 ゆう
アンデシュ・ハン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×