悪人

著者 :
  • 朝日新聞社
3.86
  • (527)
  • (799)
  • (607)
  • (81)
  • (16)
本棚登録 : 3825
感想 : 820
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022502728

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • <上>2012.10.12〜16 <下>2012.10.17〜20 読了
    どうもなぁ、自分を捨てた母にわざと金をせびって罪悪感を和らげたり、一緒に逃げてくれた女や世間に自分だけが悪人と思わせる優しさをもった男が殺人を犯してしまう所が理解できないねぇ。佳乃の父親の行動には共感できる、いくら尻軽で節操のない夢見る夢子でも自分の娘だもの。出会い系サイトが従来なら有り得ない人間関係と葛藤を生み出す状況を描いているが、携帯社会を作り出したことは人類にとって幸せだんったんだろうか?

  • 光代の心境が理解できる。できすぎてこわい。
    吉田さんなんでわかるの?
    そういう女って多いの?

    30歳を間近にして、仕事もパッとせず恋人もおらず、
    自分は何をはりあいにして生きていけばいいのかわからない。
    まわりは幸せになっていくのに自分には何もない。
    そういうときに、誰かに求められたら。

    相手が最低な人間でも、犯罪者でも、
    一緒にいたい、離したくないっておもってもおかしくない。

    しかもその人は自分にはとても優しいのだから。

    このひとがいなくなったら、また何もなくなる、
    またひとりになる、こわいこわいこわいいかないで…

    後半にいくにつれてひりひりした。

    佳乃にも理解できるところもあったけれど
    自分はぜったいああいう方にいかないなって違いを感じる。

    一方で光代はわたし自身だった。

  • 『2008年 本屋大賞』第4位受賞作。


    “保険外交員の女が殺害された。捜査線上に浮かぶ男。彼と出会ったもう一人の女。加害者と被害者、それぞれの家族たち。群像劇は、逃亡劇から純愛劇へ。なぜ、事件は起きたのか?なぜ、二人は逃げ続けるのか?そして、悪人とはいったい誰なのか。”―内容紹介より。

     第一章 彼女は誰に会いたかったか?
     第二章 彼は誰に会いたかったか?
     第三章 彼女は誰に出会ったか?
     第四章 彼は誰に出会ったか?
     最終章 私が出会った悪人


    書評等の高評価もあって、ずっと読んでみたいと思ってた作品。初の吉田修一。
    今秋に、映画化されるそうなので、それを機に読んでみました。ワタシとしては、かなりのハイペースで読了。

    うーん…深いです。切ないです。
    犯人が誰かは、かなり早い段階でわかってるけど…はたして“悪人”は誰なのか。

    ハッピーエンドではないんだけど、人に勧めたくなる1冊。ぜひ一度読んでみて欲しいですね。
    方言や地名がかなり出てくるので、福岡~佐賀・長崎出身の人は、それも楽しめるかも。心理描写も秀逸です。

    祐一の言葉が印象的。
    「どっちも被害者にはなれんけん…」

    妻夫木聡&深津絵里が演じる映画版も、ぜひとも観てみたい。

  • 吉田修一さんの作品は初めてだったし、図書館で借りてみたら「レンガ本」だったし・・で返却日までに読めるかどうか心配だった。
    でも読み始めたらグイグイ引き込まれて三日で読んでしまった。

    保険外交員の若い女性が殺され、犯人として逮捕された大学生は、彼女を山の中に置き去りにしたことは認めたが殺してはいないと言う。
    そして彼女と携帯の出会い系で知り合って付きあっていた男性が指名手配される。

    本当に新聞に載っていそうな事件。
    そして私たちは、出会い系で知り合った男に殺されちゃうなんて殺される方もどうかなあ・・とか、犯人は血も涙もないヤツなんだろうとか
    勝手に想像たくましくしたり、マスコミに乗せられてしまったりするのだ。
    しかし、この本では、被害者、被害者の両親、加害者、加害者の家族のこと、そして周りの人たちが語る被害者、加害者のこと・・・など、読んでいるといったい誰が悪人なのだろうかと思わせられてしまう。
    私はこの本のストーリーや構成の面白さよりも、吉田さんの人間を見る目にひきつけられた。どんなにストーリーが面白くても人間を描ききれてない本は面白さを感じない。
    吉田修一ってすごい作家のような気がする。直木賞じゃなくて芥川賞を取っているってこれも驚きだ。ほかの本もぜひ読んでみたいと思う。

  • うーん

  • 殺人犯と出会い系サイトで知り合った女性の逃避行。
    最初そんな二人を冷ややかな目(良い大人が何をやってるんだ!)で見ていましたが、あまりに互いを想い合う気持ちが強くて、切なくて、やるせなくて、涙が止まりませんでした。
    ラストも良く、自分的には文句なし、最高評価です。

  • 面白過ぎてとまらんかった。
    殺人犯やのに、幸せになってほしくてたまらん小説でした。

  • もぅ少し早くに出会いはどぅであれ2人が知り合っていれば・・何だか切なくなる。。方言も好き♪

  • 「アンタ、大切な人はおるね?」

    この言葉にはっとした。今の世の中、大切な人がいない人間が多すぎる、そんな言葉がすごく、突き刺さった。
    なんというか、読んでいて心がずしっと重くなった。この話のタイトルである、悪人というのはだれだったのだろう。ひとを殺した祐一が、そりゃあいっちゃん端的にそれを表していることはわかるのだけど、一概にはいえない。祐一がこの行為に及んだ背景には、たくさんの、なんというか、そこに至るものがあったと思うのだ。様々なものが絡み合って、あれが起こってしまったと思うのだ。だって、佳乃があそこで祐一に対して素直になっていれば、あの場所で殺されることはなかったはず。
    光代の、あの人は悪人やったんですよね?っていう言葉がまた、がつんと胸にきた。わたしには、自分にいい聞かせているようにしか思えなかった。あれが一時の熱ならば、こんなに苦しくなることはなかったのに。
    所々に入る、逃げてはならない、という言葉がつらくて、房枝の立ち向かう姿に泣いてしまった。
    あと、「人の気持ちに匂いがした」っていう表現がほんとに、いい。

    (420P)

  • 前半は、一気読み。
    じわじわと事件の全貌に近づいていく、サスペンスの静かな怖さがある。
    心理面にシフトする後半は、ややトーンダウン。
    殺人は赦されないが、犯人以外は善人というわけではない。
    本当の悪人は誰だったのか、考えさせられる。
    最後は、物悲しい。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-d1a0.html

全820件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

吉田修一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×