悪人

著者 :
  • 朝日新聞社
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本棚登録 : 3825
感想 : 820
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022502728

感想・レビュー・書評

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  • せつない

  • 3.5の気持で、☆3に。
    誰が犯人か、誰が悪人か、と読んでいたら、気になって一気読みしてしまった。

    親から子への愛
    恋愛の愛

    読んだ自分の環境によって響くところが違うのかな、と思った。

    それぞれの登場人物の不可解な行動も、生まれた環境や育った環境を一つ一つ丁寧に書かれていて「だからこんな行動だったのか!」と納得。
    本の厚さも内容も、読み応えある本だった。

  • 映画だったかテレビだったか

  • まるでドキュメンタリーを読んでいるかのような切迫感があった。説明も決して口説くなく、淡々と人間を描いている。一人称視点を複数描き分け、そこでの情報差をうまく物語の推進力に変えていると感じた。主観って怖いな、と同時におもしろいな、と思う。事件が突拍子もないかといったら、そんなこともなく、あくまで一つのありそうな事件の域を出ず、だからこそリアルな感じがする。終わり方が、題名の悪人という深みをグッと増すような終わり方で、これが決定的にドキュメンタリーとは違うと感じた。主観とフィクションであることを裏側に隠しながらも、それらをテーマに描き切った作品です。おもしろい!

  • 昔、吉田さんの作品を何冊か読んだ時
    「自分には合わないな~」と思っていたので、
    この『悪人』も気にはなっていましたが、なかなか手をつけられず
    今回、映画化で話題になったこともあり今になってやっと読みました。

    誰もが良い面と悪い面があり、
    一方の人が見ればその人は「善人」で
    一方の人が見ればその人は「悪人」であるということは
    多々あることなんだと思う。

    僕はこの本の登場人物の「悪人」の部分ではなく
    それぞれが抱える弱さや孤独感に、より感情移入して読んでしまった。




    ちなみに僕の中では主人公・祐一のイメージは
    妻夫木さんではなく山田孝之さんでした。

  • 正しく真摯に生きていても、何かの弾みに理性を一瞬失って人を殺してしまうことがあるかも知れない。逆に唾棄すべき生き方をしていても人を殺さなければ、罪に問われることはなく大手を振って生きていける。「人を殺す」ということは人間社会の中で最も罪の重い行為であるがゆえに、それまでどんな生き方をしてこようと、どんな事情があろうと、そういったコンテクストの部分はいっさい斟酌されず切り離されてしまう。この小説では、この切り離されてしまう部分を犯人、被害者、その周囲の人々の視点から丹念に描いている。人を殺したという事実をもって「悪人」と決め付けてしまう世間一般は想定の範囲内だったが、犯人を信じて一緒に逃避行を共にした女性までもが・・・。彼がそれを望んでいたとは言え、なんともやりきれなく切ない終わり方だった。

  • WOWOWで映画版を見たので、再読。吉田修一は、ほぼ全て読んでいるが、これは内容が重いだけに、なんとも言えない読後感。深津絵里好きというバイアスが掛かっているが映画版も悪くなかった。

  • おもしろかったです。九州の話で、博多弁や知っている地名がたくさんでたから余計に親近感が持てました。

    この本はぱらぱらとページをめくって、目次を見たときに読もう!と決めました。

    第一章 彼女は誰に会いたかったか?
    第二章 彼は誰に会いたかったか?
    第三章 彼女は誰に出会ったか?
    第四章 彼は誰に出会ったか?


    最終章 私が出会った悪人



    うーん、なんてそそる構成なんだ。


    一番の悪人は殺人をした彼。だけど極悪人というよりは、ずるい人という感じですかね。

    結局自分一人でいろいろかぶってさ。

    あともう一つ考えたのは悪人ってのは世間じゃないかと。

    本当のことを知らずに騒ぎ立てたり、祐一が嘘をついてまでかばった彼女を「マインドコントロール」と思わせてしまうとか。

    本当は心優しい祐一をおびえる女性を見て興奮するタイプと限定しちゃうところとかさ。

    不覚にも泣きそうになってしまった箇所もあったりで大満足です。

    再読したい1冊です。

  • 「悪人」って、決め付けられる人なんていないんだよなぁ。
    人によって、立場によって、「悪人」はくるくる変わる。

    自分の持っている情報だけで物事を判断するのってすごく危険だなと思った。

    ただ・・・金髪で着古したピンクのトレーナーのイケメンって・・・想像できない。

  • 一気に読んでしまった。
    個々の人間描写がとても良い。

    果たして悪人とは何だろうか。

    佳男が言った
    「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。失うものもなければ、欲しいものもない。だけんやろ、自分を余裕のある人間っち思い込んで、失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。そうじゃなかとよ。本当はそれじゃ駄目とよ」
    言葉がその通りだと思います。

    何だろうか、純粋に重い気持ちになりましたが、人に優しい人間になろうと思いました。
    手を差し伸べられるくらいの器に私はなりたい。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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